著者 : 君嶋彼方
十代のあなたに会いにいこう。 声を殺して泣いた日も、無理して笑ったあの日も。 ぐっと押し込めた心の痛みを、君嶋彼方は掬いとる。 学校の片隅で紡がれる、青とも春とも限らない日々を描いた連作短編集。 ■収録作品 走れ茜色 「俺と同じ人を好きな君。だからこの嘘は、絶対に隠し通す」 樫と黄金桃 「小学生時代の忘れたい過去。あの子だけがそれを知っている」 灰が灰に 「屋上で出会った不良。ある日、彼に屋上に呼び出されーー」 レッドシンドローム 「偶然見つけてしまった親友の裏アカ。一体どうしてこんなこと」 真白のまぼろし 「初めて漫画を描いていると話せた友達。一緒に描こうと決めたのに」 青とは限らない 「唯一心を許せる男友達。男女の友情って成立しないの?」 大人になれば忘れてしまう、全力でもがいたあの日のこと 『君の顔では泣けない』の著者最新作 読むならここから! 走れ茜色 樫と黄金桃 灰が灰に レッドシンドローム 真白のまぼろし 青とは限らない
道沢一番という名前は、「何事にも一番になれるように」という父の願いで付けられた。 重荷に感じたこともあったが、父には感謝している。「男らしく生きろ」という父の期待に応えることで一番の人生はうまくいってきたからだ。 しかし二年の交際を経て恋人の千凪にプロポーズしたところ、彼女の返事は「好きだけど、愛したことは一度もない」だったーー。 千凪はアロマンティック・アセクシャル(他人に恋愛感情も性的欲求も抱くことがない性質)で、長年、恋愛ができないが故に「普通」の人生を送れないことに悩み、もがいていたのだった。 千凪への思いを捨てられない一番と、普通になりたい千凪。恋愛感情では結ばれない二人にとっての愛の形とは。
■朝倉宏景、君嶋彼方、砂村かいり、額賀澪で贈る読切特集「駅×旅」。■新連載 オールブラックス入りした日本人ラガーマンを描いた物語、開幕! 堂場瞬一『フルハウス』。■読切 冷戦末期を舞台に繰り広げられる、異色の陰謀劇。赤野工作「“たかが”とはなんだ“たかが”とは」。雪の降り積もる屋敷で女優が企む殺害計画を描く、本格ミステリ。東川篤哉「暮林紅子の誤算」。■芦辺拓『明治殺人法廷』、高田大介『記憶の対位法』、感動の連載最終回。■創元ホラー長編賞選評ほか。
高校二年の冴木旭には、時間を止めるという特殊能力がある。だが旭にとって一番大事なのは、普通の場所で、普通の人と同じように生きていくことだ。異質な存在に向けられる無遠慮な視線や偏見に耐え、必死で笑顔をつくっていた旭だったが、大量の机が教室の窓から投げ捨てられるという怪事件が起こり、能力者が犯人ではないかと疑われる。旭は真犯人を見つけて疑いを晴らそうとするも、悩みをわかり合えると思っていた能力者仲間の篠宮と我妻にも距離を置かれてしまう。焦りを覚えていたところに、また新たな事件が起きて……。
高校1年の坂平陸は、プールに一緒に落ちたことがきっかけで同級生の水村まなみと体が入れ替わってしまう。いつか元に戻ると信じ、入れ替わったことは二人だけの秘密にすると決めた陸だったが、“坂平陸”としてそつなく生きるまなみとは異なり、うまく“水村まなみ”になりきれず戸惑ううちに時が流れていく。もう元には戻れないのだろうか。男として生きることを諦め、新たな人生を歩み出すべきかーー。迷いを抱えながら、陸は高校卒業と上京、結婚、出産と、水村まなみとして人生の転機を経験していくことになる。