著者 : 土橋章宏
幕末、江戸幕府が大政奉還をし、旧幕府と薩摩・長州の間で大きな戦が起ころうとしているその時、“元”忍びの里・甲賀は揺れていた。忍びとして戦国では大いに活躍したにもかかわらず、戦がなくなると時の権力者たちは難癖をつけて身分と領地を没収。気づけば忍びの術は失われ、百姓として困窮するまでになっていた。そんな折の大戦。忍びの技を再び世に示し、甲賀忍者ここにありと知らしめれば、武士の身分に返り咲けるのではー。そんな願いのもと、集められた甲賀の里の若者たち。その中でも、鬼っ子・山中了司、宮司見習い・安井金左衛門、箱入り息子・大原伴三郎、誇り高き血筋・鵜飼当作、少々年のくった薬術師・間瀬勘解由の五人組は喧嘩ばかりのはちゃめちゃで!?
嘉永六年(1853)江戸。好奇心たっぷりの銀次と絵師の歌川芳徳は、妖怪伝説やゴシップネタなどを追う、低俗なかわら版を売りさばいて人気を博していたが、浦賀に来た黒船を見に行き、勢いで乗り込んだことがきっかけで人生が変わる。江戸一番の物知りと評判が高い佐久間象山に師事し、勝麟太郎や坂本龍馬、吉田松陰、西郷吉之助など、様々な幕末の英雄と出会い、大地震や大火災、死の疫病をかわら版で報じるうちに、銀次は報道の使命に目覚め、弱き大衆のために立ち上がる。幕末の動乱の中で、真実(たまに嘘)を追い求めるかわら版屋を描いた、痛快時代小説!!
徳川吉宗の時代ー。幕府に勤める旗本、井戸平左衛門は引退を控え、隠居生活を楽しみにしていた。隠居後の楽しみは諸国を回り、甘味を満喫すること。だが、隠居届けを出そうとしたその日、あろうことか町奉行の大岡忠相から異動を命じられることにー飢饉と悪政に喘ぐ、石見銀山の地に行って欲しいというのだ。自らの能力を誉められ、心が揺れる平左衛門。さらに、将軍が食するという“嘉祥菓子”を褒美にちらつかされたのが、とどめとなり、快諾してしまう。だが、江戸から四十二日の旅の果てにたどり着いた石見の土地は、想像を絶する悲惨な状況だったー。
若村未来の前に、疎遠だった祖母の妙子が現れた。しかし会うなり祖母は倒れ、介護が必要な状態にー。「いっそ、ぽっくり死んでくれたら」と実家の両親は祖母を見捨て、未来はひとりで看る決意をする。日に日に物事を忘れ、暴れ回る祖母。老人ホームなどの施設も空きがなく、お金に困った未来は、自分の身体を売り、ある事件を引き起こす…。
しまなみ海道沿いの中学に通う巧海、千佳、啓太の三人に、ある日、四台のロードバイクが届けられた。なんと世界的ロードレーサーからのプレゼントだという。これを機に「ツール・ド・しまなみ」に出場することを決意した三人は、地域おこしに来ていた女性の桜井にコーチを依頼。だが、しだいに桜井のつらい過去が明らかになりー。
函館市内の中学校に通う関口俊太は、ロードバイクにあこがれていた。だが、父は失踪、母は水商売で、お金にも愛情にも恵まれず、一人、ママチャリでトレーニングする毎日だった。そんな俊太を周りは憐れみ、あるいはからかう。だが、ある日、岩熊自転車という自転車屋の店長との出会いが、俊太を変えることに!
天正十一年四月二十日(一五八三年六月十日)。突如、砦を襲う鬼武者に神速の用兵で立ち向かうー。秀吉の天下と七本槍の英雄を生んだ、もう一つの「天下分け目」。七本槍、首獲り競争の顛末を見届けよ!荒ぶる若武者が駆ける、決戦!第7弾!
時は天保元年おかげ年。伊勢参りを終えた辰五郎、沙夜、三吉、翁丸は、次なる目的地・金毘羅へ向け出発した。旅の途中、ガマの油売りの師匠からある巻物を渡された辰五郎。そこには、巷を賑わす大泥棒・鼠小僧次郎吉が隠した埋蔵金の在処が記されているという。次々と襲いかかる刺客、赤い金毘羅犬との出会い、一世一代の花札勝負…。果たしてお宝は誰の手に!?
時は明治2年。日本人を見下すお雇い外国人リチャード・ブラントン、出自ゆえに孤独に生きる通訳の丈太郎、天才発明家“からくり儀右衛門”こと田中久重の3人は長崎伊王島で条約に定められた近代灯台の建設に取りかかる。言葉と文化の壁、牙を剥く日本の地震、予期せぬトラブル…。立ちはだかる困難を前に、男たちは貧しい漁村に光を灯すことができるのか?
時は天保元年おかげ年。博徒の辰五郎は、深川の賭場で多額の借金を背負った夜、お伊勢講のくじに当たり長屋代表として伊勢参りへと出発した。途中で出会った代参犬の翁丸、奉公先を抜け出してきた三吉、訳ありな美女・沙夜と、ひょんなことから家族のふりをすることになった男の、旅路の結末や如何に!?
「5日で参勤」の難題をやりきり、命じた老中の顔を潰した湯長谷藩の面面はのんびり帰路につくはずだった。そこへ老中が国許へ2日で戻り、さらに江戸城天守閣再建の沙汰を下す。絶体絶命の窮地に陥った藩主らは智恵を絞る。巨悪と対峙する痛快時代エンターテインメント。
どす黒い野望の陰に見えてきた“徳川将軍家乗っ取り”計画。「時間・カネ・人が足りない」をはるかに超える難問が湯長谷の男たちに突きつけられた。東北の貧乏藩が再び絶体絶命の危機に…。生きていたのか!?雲隠段蔵!
東北の湯長谷藩は、ある日お上から謂われのない難癖をつけられ、急遽5日以内に江戸へ参勤せよと命じられる。叛けばお取り潰し必定。-時間がない。財政難の小藩には費用も、行列を組む人手もない。心優しき藩主内藤政醇は知恵者の家老と共に策をこらす。妙案と頓智で難所を切り抜けていく殿と家臣の爽快劇!
吉原で開業する医師・宇田川光蘭。腕に遠島の刺青があり、専ら遊女の医者として生活する変わり者だ。吉原界隈で起こる事件の探索を手伝い、時には裏で奉行所に代わって悪を『捌く』。忍者だった父の死の謎を解き明かし、ひそかに想いを寄せ続けている加賀藩の姫に一目会うため、光蘭は忍者修行を再開する。時代が幕末へと動き出す中で、吉原のはぐれ医者が“光”を求めて闇を斬り裂く。気鋭の著者が放つ、渾身シリーズ第2弾!
明治2年、日本を「未開の国」と見下すお雇い外国人リチャードと、ハーフゆえに日本で爪弾きにされてきた通訳の丈太郎は、船の故障で長期滞在することとなった長崎の伊王島で、佐賀藩の天才発明家・田中久重や伊王島の村人らと条約で定められた洋式灯台の建設に取りかかる。言葉と文化の違い、頑迷な日本の役人、想定外のトラブルなど立ちはだかる困難の前に孤島に光を灯すことはできるのか?
ときは享保二〇年初夏、改革の嵐吹き荒れる八代将軍徳川吉宗の時代。一万五〇〇〇石の磐城湯長谷藩に隠し金山嫌疑がかかり、老中から「五日以内に参勤せねば藩を取り潰す」と無理難題ふっかけられた。八日はかかる六十余里を実質四日で走破せねばならない。カネも時間も人も足りない小藩は、殿様以下七名で磐城街道と水戸街道、さらには山野を踏み越えて江戸城本丸へとひた走る。一行の前に立ちはだかるのは公儀隠密、御庭番、百人番所の精鋭部隊。湯長谷藩の運命や如何!?