著者 : 坂口玲子
冒険好きな若夫婦のトミーとタペンスが、国際探偵事務所を開設した。平和で退屈な日々は、続々と持ちこまれる事件でたちまち慌ただしい毎日へと一変する。だが、二人は持ち前の旺盛な好奇心と若さとで、猟犬のごとく事件を追いかける!おしどり探偵が繰りひろげるスリリングな冒険を描いた短篇集。新訳で登場。
論理的で現実派の歴史学者マイクは、教え子である感覚的な妻ギャリーと、ロンドン郊外の田舎にマイホームを捜していた。数百年前の廃屋に惹かれたギャリーは、修繕改築費を心配する夫を説きふせ、この館を手に入れた。ふたりの前に突然現れた老人ファーニー。ある日老人はギャリーに、この館の秘密と1300年前から自分たちが夫婦であることを告げ、奇妙な愛の年代記を語り始めた…。
鋭い嗅覚をもつ、34頭のブラッドハウンドーそれがジョー・ベスの家族だ。彼女は犬たちを追跡犬として訓練し、警察と契約して行方不明者の捜索や麻薬捜査に携わっている。次々と舞いこむ仕事の依頼に追われるなか、亡き父親の遺言の件で弁護士のウェイドがジョー・ベスを訪ねてきた。彼女の父の死後、遺言がずっと執行されないことに疑問を抱いたという。彼女はウェイドと共に不可解な遺言状に絡む謎を密かに探り始めるが…。
ここは何か変だわー知人に招かれ,黒人専用の高級リゾートを訪れた家政婦のブランチは、到着早早、不穏な空気を感じとった。はたしてその直前、皆に嫌われていた女性が不審な事故死を遂げていた事実が判明する。数日後、今度は滞在客の男性が謎の自殺を…タフな黒人家政婦ブランチが、鋭い観察眼で特権階級の黒人たちの実像を暴きだす。アンソニー賞、アガサ賞、マカヴィティ賞を受賞した『怯える屋敷』に続く第二弾。
ひょんなことから警察に追われるはめに陥った黒人家政婦のブランチは、身を隠すためにある富裕な一家の別荘で働くことにした。だが、屋敷には不穏な空気が漂っていた。どうやら、莫大な財産をめぐる対立があるらしい。やがて、一家と親交のある保安官が謎の死を遂げて…家政婦ブランチ・ホワイトが、知恵と勘を働かせて事件の謎を解きあかす。アンソニー賞、アガサ賞、マカヴィティ賞の最優秀処女長篇賞に輝いた話題作。
真夏だというのに窓を閉めきった書斎で、飛行機の爆発事故の取材中の新聞記者が撲殺された。そばには、凶器と思われる真鍮の電気スタンドが落ちていたが、書斎は中から鍵を掛けられており、犯人が出入りできたはずはない。記者の死は、取材中の事故と何か関係が?休暇中に事件と出くわした統計コンサルタントのマギーは、犯人探しに乗りだすが…。好奇心あふれる人情家の素人探偵が、密室殺人の謎に挑む本格ミステリ。
その女が望めば手に入らないものは何ひとつなかった。ロビイストとしての名声も、財務大臣夫人の座さえも。そんなエリート女性の失踪事件に世間は騒然とした。捜査に乗り出したマクリーシュ警部は、背後に醜悪な人間関係が潜んでいることを知るが、やがて彼女は変わり果てた姿となって発見された。愛と憎悪が交錯する政財界を舞台に、注目の女性作家が描く人気のシリーズ第3弾。英国推理作家協会賞長篇賞ノミネート作。
高名なアルピニストが、アルバイト先の建設現場で謎の転落死を遂げた。彼は数週間前にも登山中に岩場から転落し、奇跡的に無傷で生還したばかりだった。死因に不審を抱いたマクリーシュ警部と恋人のフランチェスカは、建設会社の人間関係にわけいっていくうちアルピニストが資材横流しにかかわっていたとの噂を耳にする…。CWA賞受賞の新鋭が、おしどりコンビの活躍を知的でスタイリッシュに描く注目の新シリーズ第二弾。
ロンドンの裏通りで起きた殺人事件は背後に異常な動機をうかがわせた。最初の一撃で意識を失い瀕死の男に、金づちでとどめの一撃を加えるという残忍な手口だったのだ。捜査にあたるマクリーシュ警部は、被害者が勤めていた繊維会社が倒産寸前であることを知る。一方、資金援助を検討していた貿易産業省は、女性事務官フランチェスカを派遣し経営状態の調査にあたらせていた。協力して調査を進める二人の前で意外な犯人が明らかになる。無骨な警部とキャリアウーマンの活躍をスタイリッシュに描く新シリーズ。英国推理作家協会賞新人賞受賞作。
弁護士は喉を掻き切られ、デスクに突っ伏して死んでいた。わたしは急いでキャビネットを探り、関係書類を宿泊中のホテルに持ち帰った。そもそも、昔の恋人カールの依頼など受けなければよかったのだ。だが養子にしたメキシコ人の子供を返せと脅迫をうけている、といって泣きついてきたカールをむげに追い返すわけにもいかなった。わたしは交通違反や離婚訴訟の弁護を放り出し、養子を斡旋した弁護士に会いに、アルバカーキからメキシコ国境ぞいの町に飛んだ。ところが、養子斡旋の際の事情に精通しているはずの弁護士は、詳しい話を聞く前に殺されてしまった。芯が強く、助けを求めてくる者を捨ててはおけないアルバカーキの女弁護士ニール・ハメル初登場。
倒産寸前の音響メーカーに革命的な新スピーカーを売りつけた老人が殺された。殺人の現場は完全防音された実験室で、密室も同然の状況だった。しかも老人が何者であるのかを知る者はなく、犯人の動機さえわからないー投資会社の社長でやり手の父親と哲学者で世間知らずの息子の凸凹親子が不可能犯罪の謎に挑む、ハートウォーミングな本格派パズラーの好篇。