著者 : 坂岡真
戦国史に新たな光を当てる驚きと興奮の歴史ミステリ!!申してみよ、秀吉はいったい誰に毒を盛られたのじゃ?信長・秀吉・家康の囲碁の師として対局を重ねた本因坊算砂。この男だからこそ知り得た豊臣家の秘密と天下人の死の真相ー。
「信長公の首級は何処にある」囲碁名人の本因坊算砂は息が止まりかけた。慶長十二年師走、大坂の陣が勃発する七年ほど前の駿府城。すでに将軍職を嫡男の秀忠に譲り、今は大御所政治を敷いている徳川家康と対局している最中の出来事だった。心中深く見通すような眼光で睨んでくる家康に、沈黙するほかない算砂ー。が、家康の気迫が込められた、堅固な盤を打ち抜かんばかりの碁石の音が、算砂の“炎の記憶”を呼びさましたのであった。なんと算砂は、日海と名乗っていた若かりし頃、戦国の荒波に翻弄され、図らずも本能寺の変に触れていたのだ。いまだ見つからない織田信長の亡骸、依然と知れない明智光秀の肚の内。茶会や連歌の会、安土築城などに潜む数々の謎。いったいなにが謀反を引き起こしたのか?若き日の本因坊算砂が戦国人の間近で見た歴史の棋譜を描く!
反物さえ買えば絶品弁当にありつけると聞き越後屋へ馳せ参じた浅間三左衛門は、元同心の八尾半兵衛と鉢合わせする。食いっぱぐれた三左衛門にさんざん自慢する半兵衛だったが、店で大奥女中と下男の姿を認めるや表情が一変。かつて越後屋を狙った凶賊雨燕が再び蠢き出したのを看破し、危険を顧みず探索に動き始める。一方、越後屋にも言うに言われぬ秘密があったー。日ノ本一の人情小太刀が江戸の悪を迎え撃つ!!話題の新装版、第三弾。
将軍家毒味役を務める矢背蔵人介は、将軍の御膳の毒味中、毒が盛られていることに気づく。毒を盛ったのは、御膳所同心だと判明するが、その同心は蔵人介に謎の言葉を残す。背後を探る蔵人介だったが、陰謀を企んだ闇の勢力から矢背家が狙われる。蔵人介は窮地をどう乗り越えるのか。そして、見えざる「黒幕」の正体とはー。壮大な物語となるシリーズ二十八弾。
連れ子のおすずと両国広小路を訪れた浅間三左衛門は、一撃で柿を十字斬りにする浪人、轟十内と出会う。居合の達人でありながらどこか素朴な人柄に、自らも小太刀の遣い手である三左衛門は親しみを覚える。そして偶然、同じ長屋に住む子持ちの洗濯女おせいの想い人が十内であると知り仲を取り持つが、契りを結んで程なく、なぜか十内は姿を消した。行方を追う三左衛門は、やがて男の苛烈な運命を知る。名手・坂岡真の代表シリーズ、堂々の新装版第二弾!
日本橋魚河岸と背中合わせの、履物屋と傘屋がひしめく照降町。九尺二間の貧乏長屋に仲人稼業のおまつ、連れ子のおすずと肩寄せ合って暮らす浅間三左衛門は一見冴えない痩せ浪人だが、元は上州七日市藩士、しかも富田流小太刀の遣い手だ。己も素寒貧なのに困った者を放っておけず、今日もおまつに尻を叩かれ、筋を通して一肌脱ぐ。江戸の四季を巧みに織り交ぜ、人の情けと男女の機微をたっぷり描く名手・坂岡真の代表シリーズ、堂々の新装版第一弾!
日本一の盗賊霞の丑松か否かを見極めてほしいと、越後出雲崎の代官に頼まれた伊坂八郎兵衛。拷問蔵へと渋々向かったが、縄で繋がれた男を目にした途端、勘が働いた。素知らぬ顔で数日ー。出雲崎から離れ、小千谷で宿を取った八郎兵衛に、泣きぼくろのある女が近づいてきた。嘘か真か、女は丑松の情婦おきくと名乗り、丑松殺しを引き受けてくれとまで言う…。賞金首となりながらも、次々に襲いかかる刺客たちを返り討ちにする八郎兵衛。しかし、中山道板橋宿で思いも寄らぬ“七曲がりの罠”が仕掛けられていた!?悪党を薙ぎ倒す、大反響の剣豪放浪記第三弾!
将軍家毒味役を務める矢背家から用人の串部六郎太が姿を消し、当主の矢背蔵人介の前には町方が現れた。串部には、辻斬りの疑いがかかっているのだという。臑斬りを得意とする串部にとって次々に悪い材料ばかり見つかるが、それでも串部を信じる蔵人介。はたして衝撃の真相とはー。超人気作品を支える脇役に号泣必至の物語があった。震えるシリーズ二十七弾。
元飛脚の盗賊「葵蜥蜴」は韋駄天揃い、白昼堂々と人を殺め、金を盗む。「しノ字組」はその塒を急襲するが捕縛に至らず。そこでさる寺の閻魔像から消えた右目を発見した伊刈運四郎は、帰路、隻眼の雲水に襲われる。「小平太に伝えよ。わしはまだ生きておる」。葵蜥蜴、雲水、しノ字小平太の絡みあう因縁。謎が謎を呼ぶシリーズ第三巻。
江戸町奉行所が飼っていた元隠密廻り同心「南町の虎」こと、伊坂八郎兵衛は、廻国中に行き着いた加賀金沢で、武家の妻女から、「夫の利き腕を折ってほしい」と頼まれた。冨田流小太刀を遣う夫の上川兵馬を、御前試合に勝たせるわけにはいかないという。涙ながらに訴える志乃に、心ならずも兵馬の右肘を外してやった八郎兵衛だったが、なんと戻り道で闇討ちされー。半死半生で真相を探ってみれば、兵馬の妻はすでに死んでいるうえ、御前試合には莫大な金が動いており、腐れ藩士が謀略まで企てていると知れて…。立身流の剛剣が唸りを上げる、剣豪放浪記第二弾。
家老からの密命に背き、丹波篠山藩を出奔した若き武士・小柴陽太郎。杜氏についてきた灘の酒蔵で、名酒「一分」造りに勤しんでいた。陽太郎は「一分」を江戸に運ぶ船に乗りこむものの難破する。酒蔵は窮地に追い込まれ、時を同じくして篠山藩は財政難に陥っていた。藩と酒蔵の危機を同時に打開するため、陽太郎が持ちだす起死回生の秘策とは…。幕末の激動の時代、その仰け反るほどの逆風に立ち向かう青年を鮮烈に描く物語。
さる由縁で旅に出た伊坂八郎兵衛は、京の都で命尽きかけていた。「南町の虎」と恐れられた元隠密廻り同心も、さすがに空腹と風雪には耐え切れず、ついに破れ寺を頼り、草鞋を脱いだ。冷えた粗菜にありついたまではよかったが、胡散臭い住職に恩を着せられ、盗まれた本尊を奪い返さねばならぬ羽目に。自棄になって島原の廓に繰り出すと、なんと江戸で別れた許嫁と瓜二つの、葛葉なる端女郎が。一夜の情を交わした翌朝、盗人どもを両断すべく、一条戻橋へ向かった八郎兵衛を待ち受けていたのは…。立身流の秘剣・豪撃が悪党を乱れ斬る、剣豪放浪記第一弾!
義父と古い付き合いのある古手屋の親分・勝五郎が殺された。入り婿で十手持ちの岡っ引き六兵衛は、勝五郎の娘と昵懇である妻のためにもと下手人捜しにやる気をみせるが、手がかりがつかめず途方に暮れる日々。そんな中、心中未遂騒ぎを起こした男女と知り合い、偶然にもご法度の巨砲の絵図面を手に入れた六兵衛と義父は、何者かから命を狙われ…。情けをもって悪を成敗する岡っ引きが、「どろぼう長屋」に住む怪しい仲間とともに活躍する、傑作捕物帳第三巻。
将軍家毒味役の矢背蔵人介は、姿を消した養母志乃の行方を案じていた。ある日、長州萩藩毛利家の重臣が襲われたところを蔵人介が救う。刺客は同じ毛利家の下士で、矢背家をつけ狙う刺客「痩せ男」と同じ技を遣った。再び「痩せ男」の影を追う蔵人介だがー。ついにその正体が明らかになる。そして気になる消えた志乃の行方は…。超人気シリーズ、驚愕の二十六弾。
三剣豪を打ち破るべく、一年余りの廻国修行で強さを増して江戸に戻った若侍・慎十郎。ある日、慎十郎に絶大なる信頼を寄せる老中・脇坂安董から呼び出され、家斉公逝去の報とともに思わぬ密命を言い渡された。水野越前守を亡き者にせよというのだ。安董のために命を賭けても事に臨みたい慎十郎だったが…。金にも権力にも無欲の男が、世のため人のために正義の鉄槌を下す!大人気シリーズ、感涙必至の堂々完結。
書院番与力の月崎兵衛が小伝馬町の揚り座敷から破獄した。目付たちが必死に行方を捜す中、将軍の毒味役である御膳奉行の矢背蔵人介の前に月崎が現れた。月崎は、蔵人介が以前、御前試合で唯一不覚をとった相手。剣友として事情を聞いた蔵人介は、苦界へ身を落とした月崎の妻を捜し始めたが…。そして、衝撃のラストが待つ!超人気シリーズ、待望の二十五弾。
愚か者に痴れ者、弾かれ者にろくでなし、寂しがり屋に甘えたがり屋…。日本橋芳町にある「ひなた屋」には、夜ごと浮かばれない連中が集まってくる。みな、切なくて哀しい逸話を求めて、ひなた屋の暖簾を振り分けるのだ。岡場所の元女郎、情も情けもない親分、敵持ちの元藩士、のて者…。読めばほっこりする、「鬼役」で人気の坂岡真が描く傑作人情小説が初文庫化。
元小見川藩士の朝比奈結之助は、かつて藩主に抵抗して自ら右腕を斬り落とした。その腕を供養したという小見川藩の元徒士目付・轡籐十郎が、火付けの罪で処刑された。しかし、轡が嵌められた疑いが浮上する。怪力僧、鏡心明智流の遣い手とかつてない強敵に、結之助は「無住心剣術」の豪剣で向かう。「鬼役」の坂岡真が描いた「涙のシリーズ」が新装版で登場。慟哭の第四弾。
火付盗賊改方の伊刈運四郎ら「しノ字組」は、白兎の面を被る極悪非道の凶賊「因幡小僧」を追うが、杳として尻尾が掴めない。一方、内勤の同心・野々村が質草に流した妖刀・村正が辻斬りに使われたことが判明。買い手を探る運四郎を白兎の凶刃が襲う。絡み合う事件の背後に蠢く巨悪を討て!新参侍の活躍を描くシリーズ第二弾。