著者 : 大塚英志
新左翼の伝説的指導者、藤堂蒼子が逮捕された。押収された七枚の写真には、「L資金」の融資条件である「ルーシー7」が写し出されている。捜査官・笹山徹が、深夜のアジアの都市に潜む危険な人脈を追った先で浮かび上がったのは、子供たちを街に消し去る笛吹き男の都市伝説、あるいはアメリカ統治に入る驚くべき日本の運命だったー。雑誌連載後、未刊行のまま20年近く放置された小説版『多重人格探偵サイコ』最終章。陰謀論に満ちた現代社会を抉り取る「ゼロ年代で最もイカれた小説」が不意打ちで単行本化!
木島平八郎、帰還。偽史と陰謀と地政学が錯綜する戦争前夜、仮面の古書店主と潔癖症の民俗学者・折口信夫が正史に「あってはならないもの」を仕分けする。未刊行の新作長編、20年振りの書籍化!
昭和初期ーオカルト、猟奇事件、ナショナリズムが吹き荒れる東京。民俗学者の折口信夫は古書店「八坂堂」に迷い込み、その棚にあるはずのない、未だ構想中の自分の小説『死者の書』を見つける。「何が書いてあるか読んでごらんなさい」。奇怪な仮面を被った店の主人、木島平八郎に促され、その奇妙な書の頁をめくった時から、折口のまわりで奇怪な出来事が起こり始める…。「あってはならない物語」へ誘う傑作怪奇ミステリ!
仮面の男、木島平八郎。古書店「八坂堂」の店主にして「この世にあってはならぬもの」の仕分け屋。だがその素性は未だ知れない。一方、木島につきまとわれる学者・折口信夫。女嫌いのはずが、霊的能力をもつ少女・美蘭を側に置く羽目に。彼らが行く先々で常に事件が待ち受ける。『八つ墓村』のモデルとなった津山三十人殺し事件、心中ブーム、人間避雷針…。正史と偽史の狭間に葬られし物語を暴く、怪奇ミステリ事件簿・第二弾!
僕達に、生まれてからの記憶はない。左眼のバーコード、ドッグタグ、十六歳。それだけが、僕のアイデンティティ。何をしても自由、モノに溢れたこの街では十七歳になると、みんな消えてしまう。一花の十七歳のバースデイまで、あと一週間。壁に囲まれた永遠に真夏のこの世界から、僕は彼女を連れて逃げられるのだろうか。“十七歳の儀式”を通じて描かれる、美しくも残酷な思春期の寓話。「教室」シリーズ、待望の完全版。
乞丐相ー民俗学者の折口信夫博士は自らの鼻梁にある青インキの染みの如き痣をそう呼んだ。それはロールシャッハテストの如く、見る者の闇を映し出した。正史と偽史の隙間に浮かんでは消えるあってはならない物語を、仮面の古書店主・木島平八郎が“仕分け”する。『八つ墓村』のモデルになった津山三十人殺し事件。心中ブームと人間避雷針。迷い子塔と優生政策。昭和初期の世相を記録した『木島日記』から、あってはならない物語が平成の世に浮かび上がる…。超民俗学伝奇小説の傑作。
十四歳、夏。伏姫麒麟は、一度だけ死のうと思った。ここではないどこかへ行きたいーコインロッカーで生まれた犬彦は願った。麒麟の夢に現れる、前世の記憶。遙か昔より、幾たびも生まれ変わり、出会いと別れを繰り返してきたひとりの少女と三人の少年の物語。そして現代。海辺の町で、同じ記憶を持ったふたりは出会った。麒麟と犬彦の、仲間を捜す最後の旅がはじまる…。切なく、狂おしく、そして泣きたいほど優しい青春小説。
恋人の復讐のため連続殺人犯を射殺した刑事・小林洋介。その時から彼は、「多重人格探偵・雨宮一彦」となった。その雨宮を収監先の刑務所で待ち受けていたものは…。卑屈でサディスティックな暴力看守、所内で隠然たる力を持つニューハーフの謎の受刑囚、彼が仕切るあやしい賭博ゲーム、そのゲームを動かす悪意に満ちた双子の女の子。そして雨宮一彦の最初の事件が幕を開けた。六〇〇万部を突破したベストセラーコミックの原作者自身によるノベライゼーション。すべてはここからはじまる。
連続殺人犯の射殺をきっかけに新たに生まれた人格・雨宮一彦。そんな彼に興味を抱いた精神科医・伊園磨知だったが、雨宮とともに何者かに拉致されてしまう。そして雨宮は、犯罪専門の海賊FM局「ラジオ・クライム」のスペシャル・ゲストに。街で次々と発生する童話をモチーフにした犯罪、明らかになるカニバリズム事件の犯人・田辺友代の秘められた過去、覚醒する第四の人格・久保田拓也。彼と伊園磨知の関係とは?六〇〇万部を突破したベストセラーコミックの原作者自身によるノベライゼーション。
昭和初期。オカルト、猟奇事件、ナショナリズムが吹き荒れる東京。歌人にして民俗学者の折口信夫は偶然に、しかし魅入られるように古書店「八坂堂」に迷い込む。奇怪な仮面で素顔を隠した主人は木島平八郎と名乗り、信じられないような自らの素性を語り出した。以来、折口のまわりには奇妙な人、出来事が憑き物のように集まり始める…。ロンギヌスの槍、未来予測計算機、偽天皇、記憶する水、ユダヤ人満州移住計画。-昭和の闇を跋扈するあってはならない物語。民俗学伝奇小説の傑作、登場。
死体に書き込まれた意味のない数字…この世を呪う双子の少女…運命を統べる数値を弄び賭博する男…そして、恋人の復讐で連続殺人犯を射殺した刑事・小林洋介の内部に新たに生まれた幾多の人格…。透明な語り部によって刑事・小林洋介の「最後の事件」かつ多重人格探偵・雨宮一彦の「最初の事件」が語られるとき、殺人者へと人を誘うルーシー・モノストーンの歌声がこの世の「真実」を引き裂く。『多重人格探偵サイコ』ワールドのすべてはここからはじまる。