著者 : 大石英司
南沙諸島海域は潤沢な原油資源をめぐり、中国・台湾・ASEAN諸国が領有権を争う、国際的紛争地域である。その緊張関係が持続する中、中国海軍は、自国の石油掘削リグが何者かに攻撃されたとの報を受け、出動準備を整えた。この事態に対応するため、国連執行機関は、日本政府に海上自衛隊の派遣を要請する。利権渦巻く海で、日本と中国・台湾連合軍が大激突。
半導体の中枢部をなす超高純度シリコンは、日本のハイテク産業を支える“戦略物資”であった。ノルウェーの孤島にあるその第一次精製工場が、元米軍特殊部隊の精鋭を中心とするテロリスト集団に武装占領された。ノルウェー国軍による救出作戦は犠牲者を出して挫折。日本では政府の黙認を受けて危機管理会社主導の制圧部隊が編成され、彼らは暴風雪のなか、氷の断崖へ向けて急襲降下し、奪還作戦を決行する。
尖閣列島は日中両国が主権を主張する、不可侵海域。武器・麻薬の売買や密輸が横行する無法地帯だ。海上自衛隊は極秘裏に最新鋭艦『ゆきかぜ』を送り、無国籍船を装って密輸犯を撃滅してきた。人呼んで「海の悪魔」。密貿易の巨利で経済特区を支配する中国海軍の巨魁・劉淵丹は、北京政府と対立、ついに尖閣列島に、北京政府転覆の軍事基地を築きはじめた。海戦シミュレーション長篇。
バブル経済が崩壊し、国内が混乱すると予言した極秘のレポートが作成された。それを受け取った内閣情報調査室は、治安強化を求める世論の喚起を目的に、ある組織を使って各地でテロ事件を頻発させる。それを阻止するため、一人の捜査官が首相官邸に呼ばれ、動き始めた…。危機迫る、情報サスペンス小説。
1995年11月23日の感謝祭当日、三沢・横田・厚木の米軍基地を、完全武装の自衛隊が突然襲撃、無血占領した。米国の経済的報復措置や、核燃料処理施設への米軍機墜落などに業を煮やした日本政府が、基地返還を求めて起こした行動であった。一方、奪還を宣言した米国は、先制攻撃でステルス爆撃機B-2から対地ミサイルを放つが、国産VTOL艦上戦闘機「海燕」によって撃墜されてしまう…。
日米経済界トップが和平工作に奔走する最中、米軍第7艦隊が政治的事情で日本の防衛ラインを強行突破した。無弾頭の対艦ミサイルでこれを迎え撃ち、米軍のイージス艦、空母「インディペンデンス」のほか、数多くを葬り去った自衛隊だったが、その腹中は両軍の被害を最小限に止めることと、戦争の政治的解決にあった。しかし、徒に時を費やす頑迷な両国首脳のために、戦局は最悪な方式へと進んでいく…。
ケネディ暗殺前夜、英仏独ソによるアメリカ壊滅作戦を託された英国潜水鑑が大西洋の深海に消えた…それから二十五年、米海軍深海調査艇シーナイトが謎のメッセージを残し、同一ポイントで消息をたった。必死の捜索活動をする米海軍。それを妨害しようとする英仏独ソ。迫真のハイテク軍事サスペンス。
仏から六トンもの核物質を搬ぶため、最新鋭輸送船「ふげん」が横須賀を出港した。核物質の戦略的価値に注目し、原油価格の高騰を目論む産油国経済官僚の秘密組織はバックィン大佐の傭兵チームの「ふげん強襲計画」にゴーサインを出す。一方、このアラブの動きに警戒感を抱いたモサドは自衛隊特殊部隊と接触する。各国の思惑が錯綜し情報機関の暗闘が続く中、核を載せた「ふげん」がフィリピン沖で攻撃を受けた。
台湾海軍の新鋭原子力潜水艦の協力を得たバックィン大佐率いる傭兵チームは核物質輸送船「ふげん」占拠に成功する。護衛の海保ヘリの反撃に続き、イスラエルの特殊工作船「シバの女王」号の強襲を受けるが撃退。ついに頼みの綱は陸・海・空の自衛隊のみとなった。革新政権の初代女性宰相神崎は、愈々自衛隊特殊部隊に出動を要請する。巨大な迷路のような輸送船で繰り広げられる死闘の行方は。
対馬海峡に設置された米軍最高機密「DESUBEL」。わずか直径一mの聴音器が半径一万キロの船舶・潜水艦の機関音を拾う。この超兵器を狙い、ソ連の特殊潜水艇「ミゼット」が忍び寄る。が、超音器を護衛する「ソードフィッシュ」機雷の攻撃を受け行動不能に。起動すると自ら索敵・迎撃するホーミング魚雷を内蔵したこの機雷が、付近を航行する一般船舶を攻撃するのを阻止するため、海自の掃海艇「なるしま」が出動した。
札幌の陸上自衛隊北部方面総監部が、ソ連極東戦域軍の動きに北海道侵攻の意図ありとの情報を入手。首相官邸に呼び出された防衛研修所の柳瀬の元へ、時を同じくして石狩湾にF級ソ連潜水艦が強行突入し坐礁との報告が入る。いやが上にも緊張が増す中、柳瀬達はこれらが極東戦域軍によるクーデターの一連の動きと分析するが、米国はその動きを黙認する。これは脅しか、それとも最高度の政治的謀叛戦略なのか?
グアムのアンダーソン米空軍基地から核ミサイルを装備した爆撃機が飛び立った。極右組織の指令を受けてモスクワ攻撃に向うロックウェルB-1D戦略ステルス機である。米ソ全軍はこれを撃墜できるか?核戦争の危機をはらむ、米ソ首脳たちの焦燥と苦難の一日を描く迫力にみちた戦略テクノ・サスペンス。
繁栄の終幕-バブル経済の崩壊を正確に予言する一通の極秘経済レポートを受け取った内閣情報調査室は、秘密セクション7を使い、不安定化工作を画策。続発するテロ、警察高級官僚が謎の死を遂げた翌日、ひとりの極秘捜査官が首相官邸に呼ばれた…。今日の日本を見事に予見した迫真の情報サスペンス。
ケネディ暗殺の前夜、アメリカ壊滅作戦を託された英国潜水艦が大西洋の深海に消えた。英仏独、そしてソ連までもが参画した超極秘作戦だったのだ。それから25年、米海軍深海調査船「シーナイト」が同一ポイントで消息を断った。必死の捜索活動をする米海軍、それを妨害せんとする英仏独ソ。迫真の軍事サスペンス。
硫黄島沖で、アメリカ原子力空母「カール・ヴィンソン」に、急浮上をかけたソ連原潜「V・K・ブリュッヘル」が激突した。原潜は沈没、空母はメルトダウンの危機を孕んで横須賀ドックへと向かった。日本政府は海上自衛隊の最新鋭潜水艦「わかつき」に、空母の寄港阻止命令を下す。好機に乗じ空母撃沈を狙うソ連艦隊と米艦隊の攻防の陰、「わかつき」は静かに空母に近づきつつあった。海洋戦略サスペンス。