著者 : 大谷羊太郎
ある夜、大学生の翔はゆきずりの美女に一目惚れした。なんとか近づきたいと尾行した翔は青山霊園で美女を見失う。さらに彼女が名乗った名前のOLは既に自殺して青山霊園に葬られていることが判明した。やがて、夜だけその美女が翔の前に現れるようになると同時に不可思議な事が…。そしてついには隣人が殺された!名探偵貴船があやかしの謎に挑む書下ろしミステリー。
女が我に返った時には、自分の右手に青銅の花瓶をしっかりと握っていた。床には頭から鮮血を流して倒れている男の姿があった。-翌朝、殺人事件の第一報が入り、ただちに警視庁捜査一課は現場に急行した。死体は大型デスクの上に置かれ、殺害場所から動かされていた。奇妙な殺人現場。そして被害者は家具販売会社の専務、戸井村吉継、次期社長の有力候補だった。流しの犯行か怨恨か。捜査は難航し、更に次の殺人事件が。八木沢警部補の「謎を解く鍵は伊豆修善寺に」の推理は果して…。
殺された若い女性の部屋は、窓やドアが完全にロックされておりごていねいにもチェーンまで掛けられていた。この密室殺人解明に乗り出したのが八木沢警部補だった。八木沢は警視庁では変わり者と言われているが抜群の推理力を持っている。必死の捜査を嘲笑う様に次々と女性が殺されてゆく、そしてなぜかどの死体の側にも奥州平泉からの絵葉書が…。
宮崎県はイザナギ・イザナミ神話を初めとする神話伝説の王国である。海幸・山幸の物語もその著名なものだ。那須で起こったアパレル産業の女社長殺人事件解決の鍵はこの龍宮伝説の中に隠されていた…。「おれは、いま、薄笑いを浮かべながら、この手紙を書いている。だれも知らない犯人を、このおれだけが知っている。おれは見たんだよ。犯行が行われた瞬間を…」。脅迫者は犯人の指紋のついたオペラグラスを手に入れていた。しかし、それが何故か紛失する。
上原厚子は愕然とした。それは27年間の人生で初めての衝撃だった。虎の子の貯金2000万円が押し入れから消えていたのだ。盗んだのは木野昌広。証券会社のセールスマン、彼女の財テクの相談役だった。が、やっと追いついめた木野はすでにカネは持っていなかった。そして揉み合っているうちに彼を殺してしまった厚子。その厚子の手に意外や2000万が。
都内のアパートで若い女性の死体が発見された。情況は殺人だが、ドアも窓も内側からロックされている。密室殺人?ただちに警視庁から御存知八木沢警部補たちが出動する。物盗りの仕業ではなさそうだ。しかし被害者の人間関係を洗っても殺されるような動機はまったく見つからない。死体の胸元から平泉の絵葉書が発見される。ダイイングメッセージ?やがて第二の殺人が湯沢で起こる。そして第三の殺人が東京の夜の路上で…。被害者はいずれも若い女性、そして平泉の絵葉書が登場するのだった。
子どもの頃から目立ちたがり屋の拝原欣治はひと回りも年上のレストラン・チェーン店の女社長と結婚した。もちろん、金が目当ての結婚だった。だが、思惑は見事にハズれ、拝原が自由に使える金は僅か。拝原の胸に殺意が芽生えた。完璧なアリバイを用意して妻殺しを実行に移したのだが…。本格派の著者が放つサスペンスあふれる長編ミステリー。
藤堂新一は10年前、亡父から引き継いだ事業が困窮のどん底にあり、窃盗を働いた。藤堂の代わりに誤認逮捕された男がなぜか犯行を自供、そして服役。事業が順調に軌道に乗った今、藤堂はその男に償おうと接近を計った。男はなぜ冤罪を主張しなかったのか?-巧妙なアリバイの罠と結末の意外性、書下ろし力作。
一人の男が関わった4つの悲鳴。最初の悲鳴は、人影の少ない海岸での若い女性のもの。2番目は、彼の上の階に間借りしているホステスの悲鳴。第3の悲鳴は自らがあげることになった。そして、第4の悲鳴の後に殺人が…。本格推理の名手が巧みに織り成す表題作「悲鳴」ほか、珠玉のミステリーを揃えたオリジナル短編集。
亡父から真面目だけを取り柄に育てられた西並玄一郎。彼は、彼の婚約者の父親であり、父の友人であった赤堀養治から旅行バッグを託された。その数日後、赤堀の他殺体が自宅で発見された。そして、西並が預かっていたバッグも何者かに盗まれていた…。『邪魔な男』で新境地を拓いた著者の洒脱な人間ミステリー第3弾。
商事会社勤務のOL、得田彰子は、結婚を前提に交際していた、車のセールスマン、常沢尚広に裏切られ、傷心旅行のドライブに出かけた。そこで親密になった内村が、つづいて高田が不審な死を遂げる。彼女は事件を報らせるTVをみて、2人の死があまりにも似ていることに愕然となった。事故死か、殺人か?一方、警察は検証の結果、両方の事件にマスコット人形が媒体になっていることをつきとめた。が、今度は常沢が自宅で死体となって発見され、彰子は参考人として呼ばれる。そこでうかびあがった意外な真犯人とは?
おれは、必ず有名人になる。もしその才能がなければ、金持ちになって名声を手にしてやる。拝原欣次はこうして財産のある女性を狙う。志摩子はレストラン・チェーンの女社長。豪華な邸宅に住み、伊豆と軽井沢に別荘を持っている。年齢は一回り上の44歳だが何、構うものか、金のためだ!こうして拝原は志摩子と結婚する。ところが夢は無残に破れて拝原は僅かな金を受け取るだけ。裏切られた思いの拝原に殺意が芽生える。完全なアリバイを設定し、妻が在宅なのを確かめて寝室に忍び込んで殺そうとするが意外や意外そこには…。緻密な、二重三重に用意されたトリック、絶対失敗のない殺人計画、それが何故?本格派の巨匠がサスペンスを充分に盛り込んだ書き下ろし傑作長編。
高井沢文雄は神保貞介殺害のため、神保家の別荘の床下にダイナマイトを仕掛けた。ところが、床下から出たところで、何者かに襲われ、気が付いたときには手足を縛られ、自らがセットしたダイナマイトの近くに横たわっていた…!主人公が犯人であり、被害者であり、探偵役でもあるという、画期的な設定で書き分けた問題作。
実業家・黒住泰造のもとに、“殺されかけたお前の息子より”という奇妙な脅迫状が届いた。脅迫者は、25年前に岩手県宮古市で起きた母子放火殺人事件の犯人が黒住であると述べ、その口止め料として3千万円を要求してきた。殺されかけた息子とは誰なのか!?公になることを恐れた黒住が、独自に脅迫者の正体を調査し始めた矢先、執事の池上が密室状態の部屋で短剣で刺されて殺された。謎の脅迫者の犯行なのか。捜査に乗り出した警視庁捜査一課の八木沢警部補と新米刑事の村岡は、殺人と脅迫事件とを結ぶ鍵となる25年前の惨劇を追うが…黒住の別荘で第二の密室殺人が。密室トリックで読者に挑戦、書下ろし長編推理小説渾身作。
横地邦生の婚約者、河内三枝子は、一人旅に出た水上温泉で他殺体で発見された。邦生は、三枝子の親友、桃谷順子とともに、犯人探しを始める。意外にも数多い男性関係の中に、一人の男が浮かび上がった。そして、彼女は過去、見知らぬ男女の殺人事件にも関係が!意外な結末を迎える、男と女の謎に挑む、著者渾身の書下ろし。
芸能評論家・町田卓二はある夜、誰も入れるはずのないマンションの自室に帰ると、吸いかけの葉巻きが灰皿で煙を上げていた。そして深夜、失踪中のアイドル歌手・古三沢涼子から、町田のせいで自殺する、という電話がかかってくる。ちょうどその頃、ある男が町田の名刺を持って殺されていた。町田は身に覚えのない殺人事件の容疑者にされてしまう。「密室と瞬間移動」。不可能犯罪に挑む本格ミステリー。
3年半の刑期を了え、出所した柴山は思わず目を疑った。かつて雑木林だった場所に中学校が新設され、強奪した2500万を埋めた欅の巨木のそばに住込みの警備員室があった。これが複雑怪奇な事件の発端となった。夜の校庭に忽然と現われた机文字〈9〉、机に彫られた〈怨〉の鏡文字、またその文字が記された脅迫状、さらに欅の下の殺人…。これら一連の事件は同一犯の仕業か、それともー。巧妙なトリックと画期的な手法で読者に挑戦する長編本格推理の傑作。
資産家、鍋原家の主、栄造はガンに冒され療養所で伏している。留守宅は、長女の左多子夫妻、長男の孝夫、高校生の謙二で守っている。ある朝、謙二の部屋で見知らぬ男が死んでいた。そして孝夫、謙二は行方不明…謙二のライダー仲間矢崎らは捜索に乗り出した。多彩な登場人物と巧妙なトリックで魅了する著者渾身の新境地。