著者 : 子母沢寛
おとこ鷹(下)おとこ鷹(下)
深川の元芸者を娶った勝麟太郎は、蘭学塾を開き、西洋兵術を講じて声望を上げる一方、佐久間象山との交流を通じて、“海”への関心を高めて行く。時は弘化から嘉永。来航する異国船はいよいよ繁く、やがて海防御係・大久保忠寛(一翁)の訪問を受ける日が来た。しかし、幕閣の顕官に麟太郎は臆するどころか、幕府の無為無策を説くのだった…。日本転換期を骨太に生きた傑物父子を描く、巨匠の代表作。
父子鷹(上)父子鷹(上)
江戸の分限者・男谷平蔵の子に生れた小吉は、型破りで自由奔放、剣術の腕は確かでも大の学問嫌い。旗本勝家の養子となるも周囲は気のもみどおし。なんとか無役から御番入りに決りかけたところ、顔合わせの宴会で嫌味な同僚に絡まれ、誤って殺害。やがて座敷牢からだされ、長男麟太郎(のちの海舟)も生れるが、喜びも束の間、最愛の理解者・平蔵を失って…。幕末を縦横無尽に駆けぬけた勝父子の豪放人生。
父子鷹(下)父子鷹(下)
長男麟太郎が将軍家慶の子・春之丞のお対手役に選ばれて、勝家にも春が巡ってきたかに見えたが、その麟太郎は春之丞の死でお宿下がりの上に、犬に睾丸をかまれて瀕死の重傷。しかしそんな不幸にめげる小吉ではない。町人たちからも「親分」と慕われるほどの気っ風の良さを発揮、地借りしている岡野家が借金苦にあえいでいると知るや、ご法度を犯す覚悟で大芝居を…。波瀾万丈、痛快無比の幕末親子物語。