著者 : 宇佐川晶子
言葉がどこへ旅をするかは誰にもわからない。アパルトヘイト以前・以後ー社会変革の渦中で激動する「奇跡の国」南アフリカ。プレトリアで農場を営む白人のスワート一家とその黒人メイドとの間に交わされた土地をめぐる約束が、30年以上にわたり一家の運命を翻弄する。圧倒的になめらかな神の視点で描かれる、アフリカ文学の最先端にして英国最高峰ブッカー賞受賞作。
1954年、アメリカ。18歳のエメットは更生施設を出所し、弟が待つネブラスカの自宅に戻って来たが、そこには施設から逃げ出したダチェスとウーリーもいた。エメットと弟は、母が暮らしているはずのカリフォルニアに行き、心機一転、新しい生活を始めるはずだった。だが、ダチェスとウーリーに愛車のスチュードベーカーを奪われ、仕方なく二人の後を追ってニューヨークに行くことに。ダチェスは、上流階級出身のウーリーの一族がニューヨーク州北部に所有する屋敷の金庫の金を、みんなで山分けすると豪語していたのだ。孤児院のシスター、胡散臭い牧師、妻と別れた善良な黒人男性、売れないシェイクスピア俳優、憧れの作家ー道中、エメットと弟は多くの出会いと別れを経験する。『モスクワの伯爵』著者が、少年たちの出会いと10日間の冒険を描く、アメリカで100万部超のニューヨーク・タイムズ・ベストセラー。
1932年、ミネソタ。ネイティヴアメリカンの子供たちが集団生活を送るリンカーン教護院。施設の中で、唯一の白人である孤児のオディとアルバート兄弟は、生意気な態度で日頃から院長に目を付けられていた。ある日、横暴な管理人をふとしたことから殺してしまったオディは、兄のアルバート、親友でスー族のモーズ、竜巻で母親を失い孤児になったばかりの幼いエミーと共に、教護院から逃げることを余儀なくされてしまう。オディとアルバートのおばが住んでいるというセントポールに行くため、四人はカヌーで川を下り、一路ミシシッピ川を目指す。旅の途中、出会いと別れを繰り返した四人が知った秘密とはー?エドガー賞受賞『ありふれた祈り』の著者が贈る、少年少女のひと夏の冒険と成長を描いた感動のミステリ。
1536年5月、王妃アン・ブーリンが斬首された。国王ヘンリー八世はジェーン・シーモアと結婚する。宮廷が落ち着いたと見えたそのとき、北部で王の改革を糾弾する大規模な反乱が勃発する。王の秘書官にして王璽尚書のトマス・クロムウェルは、反乱の鎮圧に、また、ヘンリー八世と教皇を支持するその娘メアリの和解に、奔走する。貧しい生まれから高位にのぼりつめた政治家クロムウェルの人生を描いた『ウルフ・ホール』『罪人を召し出せ』につづく三部作最終巻。
三番目の王妃ジェーン・シーモアは、ヘンリー八世が熱望する男児を産むものの、直後に世を去る。ふたたび国王の結婚問題に直面したクロムウェルは、国家の安定を支えるような縁組を整えようとするが…。諸外国の思惑と、貴族たちの陰謀が錯綜するなか、時に自問自答しながらも、彼は自らの信じる道を進んでいく。己の手腕だけを頼りに生きたトマス・クロムウェルの人生を、新たな視点で描いた傑作歴史小説三部作、ついに完結。
1937年の大晦日、25歳のケイティはルームメイトのイヴと訪れたグレニッチ・ヴィレッジのジャズバーで、若き銀行家ティンカー・グレイと出会う。紳士的でチャーミングな彼との偶然の出会いは、つましく暮らしていた読書好きのケイティを、ニューヨークの上流社会への旅に導くことになる。ニューヨークの四季、そして30年代に生まれた文学や音楽の名作とともに綴られる、友情と恋愛、自尊心と臆病さが織りなす人間模様の行方は…。ベストセラー小説『モスクワの伯爵』の著者エイモア・トールズのデビュー長篇。
メキシコ・アカプルコ。書店を経営し、夫と息子と幸せに暮らすリディアの平仮な日々は、カルテルに親族16人を殺されて一変した。彼女はたったひとり生き残った息子のルカを連れて、カルテルの力の及ばないアメリカへ行くことを決意。ふたりは“野獣”と呼ばれる貨物列車の屋根に飛び乗り、出会う人々の誰が敵で誰が味方かも分からないまま、死と隣り合わせで北へと向かうー悲しみの底に突き落とされた者、明日も生きのびることを信じて逃げる者、そして理不尽な暴力に人間愛で立ち向かおうとする者たちの希望を描いたロード・ノヴェル。
1922年、モスクワ。革命政府に無期限の軟禁刑を下されたロストフ伯爵。高級ホテルのスイートに住んでいたが、これからはその屋根裏で暮らさねばならない。ホテルを一歩出れば銃殺刑が待っている。そんな不遇を乗り切るために彼が選んだのは、紳士の流儀を貫くこと。人をもてなし、身のまわりを整え、人生を投げ出さない。やがて彼は宿泊客や従業員たちと友情を深めるが…。いまも世界中の名士から愛されるホテル、メトロポールを舞台に上流社会のドラマを描く、陶酔と哀愁に満ちた長篇小説。全米で140万部突破、“ワシントン・ポスト”など8紙誌の年間ベストブックに選出。
ジャスティーン・エヴァンズは恋人との暮らしに耐えかねて、娘を連れて逃げ出した。彼女たちが移り住んだのは亡き大叔母ルーシーが遺した湖畔の別荘。大叔母は六十四年前に妹の失踪と父親の自殺が相次いで以来、ずっとこの湖畔に留まっていたという。死者たちが影を落とす家でのジャスティーンの生活は娘との確執や母親の訪問によって次第に息苦しいものになっていく…。ルーシーが書き記した過去の事件の一部始終と、現在のジャスティーンの葛藤。二つの物語によって明かされる悲しみに満ちた家族の秘密とは?
それはパーティーの夜に起きた。だが、わたしの記憶はそこだけ消えている。何が起き、誰が死んだのか?-学生時代の友人だったクレアの独身さよならパーティーへの招待。かつてクレアとの間には色々なことがあったのに、わたしは誘い込まれるように招待に応じてしまった。森の奥に孤立した別荘に集まった六人。ぎくしゃくした奇妙な雰囲気のパーティーが始まった…悪夢のような週末と惨劇を描く、気鋭のサスペンス!
1961年、ミネソタ州の田舎町。13歳のフランクは、牧師の父と芸術家肌の母、音楽の才能がある姉や聡明な弟とともに暮らしていた。ある夏の日、思いがけない悲劇が家族を襲い穏やかだった日々は一転する。悲しみに打ちひしがれるフランクは、平凡な日常の裏に秘められていた事実を知ることになり…エドガー賞をはじめ4大ミステリ賞の最優秀長篇賞を独占し、「ミステリが読みたい!」で第1位に輝いた傑作。
1535年秋、ロンドン。ヘンリー八世の王妃になったアン・ブーリン。しかし、その地位はおそろしく脆いものだった。卑しい生まれのトマス・クロムウェルは、いまや王の重臣となっている。だが、平穏な日々はいまだ遠い。国家はキリスト教国のあいだで孤立し、貴族たちはそれぞれの思惑を抱え、熱望する世継ぎがなかなか得られない王は女官ジェーン・シーモアに心を移す。クロムウェルは王と国家にとって最善の道を探るがー16世紀イギリスの宮廷に生きる冷静沈着な政治家クロムウェルを描く、『ウルフ・ホール』に続く歴史文芸大作。ブッカー賞、コスタ賞受賞!
16世紀のイギリス、ロンドン。息子が生まれないと悩む国王ヘンリー八世は、王妃との離婚を願う。しかし、教皇の反対により、一向に離婚協議は進まない。トマス・クロムウェルは、卑しい生まれから自らの才覚だけで生きてきた男。数カ国語を流暢に話し、記憶力に優れ、駆け引きに長けた戦略家だった。仕える枢機卿の権勢が衰えていくなか、クロムウェルはヘンリー八世に目をかけられるようになるがー16世紀のイギリス宮廷を、希代の天才政治家クロムウェルの目から描いた興奮の歴史大作。ブッカー賞、全米批評家協会賞、ウォルター・スコット賞受賞。
少壮の実業家ニックが姿を消した。夢の抗癌ワクチン開発成功かと報道された直後だった。墜落した専用機の残骸が見つかるが遺体は発見されず、ワクチンの実態も不明のまま、社は存亡の危機を迎える。事件に巻き込まれた女性経済コラムニストのカーリーは、調査を始めた。ニックは本当に死んだのか?彼は癌患者を救う救世主なのか、それとも公金横領を企む詐欺師だったのか。
太古の昔、莫大な力を秘めた宝石“珠”をめぐって神々が熾烈な戦いを繰り広げた。争いの末に魔術師ベルガラスが邪神トラクを倒し、その復活の日まで争いにひとまず終止符を打ったのだった…老人ウルフの語る神話は、平和な農園で暮らす少年ガリオンの一番の楽しみだった。しかし少年の人生はある日を境に一変する。世界の命運を賭け、予言を成就する冒険の旅に連れだされたのだ!大好評ファンタジイ巨篇、新装版登場。
雪に閉ざされたゲストハウスに電話が入った。ロンドンで起きた殺人事件の関係で警察が向かっているという。やがて刑事がやってきて…マザー・グースの調べにのって起こる連続殺人劇、戯曲「ねずみとり」の原作をはじめ、ポアロ、ミス・マープル、クィンら、名探偵たちの推理がきらめく珠玉の短篇集が新訳で登場。
イタリア、トスカーナ地方の小さな村サント・フィーコ。足の便の悪さゆえ、訪れる観光客もないこののどかな村に、ひとりの男が帰ってきた。レオ・ピッゾーラ。18年ぶりの帰郷だった。その夏のある日、地震が村を襲った。そして、奇跡が…。
究極の書物を作るため、不思議な冒険の旅に出た職人の姿を描く、めくるめく物語。ときは18世紀。ロンドンの印刷工フラッドは、スロヴァキアのある伯爵から、からくりに満ちた奇妙な家に招かれた。奇書コレクターの伯爵は、「始まりも終わりもない無限に続く本を作製せよ」とフラッドに命じる。だが、フラッドは伯爵の美しい娘イレーナと恋に落ちて伯爵の逆鱗に触れ、城の地下に幽閉されてしまう。11年後、地下牢のフラッドの前に、彼の娘と名乗る少女パイカが現われた。伯爵も亡くなったいま、二人は魔法の活字、哀しみを誘うインク、伝説の製造法による最高級紙など、極上の材料を探し求め、仲間とともに世界中をめぐる航海に出る。だが、ヴェニス、アレキサンドリア、広東と行く先先で一行を妨害する人物が…!すべての本好きに贈る奇想天外な幻想譚。