著者 : 宇能鴻一郎
肉の壁肉の壁
敗戦後、基地のボーイ竜也は進駐軍婦人将校ジェーンに性の下僕として弄ばれる。彼女の要求で白い裸身に鞭を打つ竜也は、強烈な快感でしびれた。だが通訳の伯父が物資横流しに絡み謀殺されると竜也も解雇に。以後、飢餓生活を経て再びジェーンの飼育に頼るが、今度は伯父の復讐を図って生きる。宇能文学を方向づけた初期の名作。
花魁小桜の足花魁小桜の足
江戸時代、長崎の遊廓丸山では、御禁制の宗旨である耶蘇教を封じるため、遊女たちにもキリストの聖像銅牌を踏ませる儀式が毎年正月に行なわれていた。17歳で処女の身を蘭館の老甲比丹に俸げ、耶蘇教に入信した花魁小桜は、絵踏の当日、美しい可愛らしい足を。(『花魁小桜の足』)。表題作の他、様々な性のかたちを謳う異色の官能ロマン8編収録。