著者 : 宇野輝雄
第一部-陪審。ある殺人事件を裁くために選ばれた十二人の陪審員。彼らのなかには誰にも知られてはいけない秘密を持つ者もいる。そんな陪審員たちの職業や経歴、思想などが浮き彫りにされ、各々が短篇小説を読むような面白さとなっている。第二部-事件。莫大な遺産を相続した十一歳の少年と後見人の叔母。孤独な少年が唯一愛する一匹の兎をめぐり、二人は静かなる闘いを繰り広げ、やがて異様きわまる殺人事件へと…第三部-審理と評決。証言ごとに揺れ動く陪審員の心の動きをメーターの針で図示。様々な思惑を秘めた十二人の評決は。
娼婦ライラのベッドで、ブリーム神父が腹上死した。“やもめで片目でアル中気味”の私立探偵ラルフ・ポティートは、階上に住むライラの頼みを断れず、神父の死体を教会に運ぶのを手伝う。その直後、彼女の部屋が突然ガス爆発。本人は大火傷を負う。事件に巻きこまれたポティートは、教会と神父の謎を追う。
二億ドルという巨額の保険金の掛かった競走馬が死亡した。保険調査員ブレイニーは死因確認のため牧場を訪れ、女性厩務員から、見慣れぬ人間が馬の首に注射をしていたという話を聞く。直後、彼女は事故で重傷を負い、ブレイニーも何者かに襲われた。一方馬主の富豪ガラティが資金不足だという噂が…。徐々に正体を現わすガラティの隠された過去と陰謀。大スケールの冒険ミステリー。
優秀な成績をおさめ、奨学金までうけて大学に進んだ黒人青年ウイリアムは、はたから見ると、スラム街からの脱出に成功し、将来が約束されているようにみえた。それがなぜ、心理療法にかよい、ガールフレンドの白人学生ジェニファーを撃ち殺さなければならなかったのか?私立探偵ジョン・カディは、旧友のマーフィー警部補がウイリアムの母親の知合いだったことから、事件の裏づけ調査を依頼された。しかし、事件には疑問の余地などなかった。ウイリアムは催眠療法の席で殺人を告白し、凶器の拳銃をとりだしたのである。病んだ現代人の心の襞に隠された事件の真相に、ボストンの知性派探偵ジョン・カディが迫る問題作。
1940年5月、ダンケルクの勝利に乗じて、ドイツ軍は、優勢な空軍による英国本土爆撃作戦を遂行。最前線と化した英空軍基地の全要員は、祖国の命運を担い、本土防衛作戦“バトル・オブ・ブリテン”に挺身した。いま、ドイツ軍の《鷲》作戦を迎え撃つべく、英空軍精鋭スピットファイアが飛びたつ。鬼才エルストン・トレバーが自らの青春を投影して描く、第二次世界大戦の趨勢を決めた空戦アドベンチャーの傑作。