著者 : 宮尾登美子
松風の家 上松風の家 上
明治初年、京の茶道宗家・後之伴家は衰退し、その日の食事代にも事欠くほどの窮乏ぶりであった。家元も出奔してしまい、残された者たちは、まだ幼い家元を立て、必死の思いで苦難に立ち向かう。成長した家元は宗家再興を期して、東京に向かった。千利休を祖とする一族の愛憎の歴史を秀麗な筆致で描く。文芸春秋読者賞受賞。
松風の家 下松風の家 下
明治四十年代、茶道宗家・後之伴家十三代家元の伴秀室と一族の苦闘により、後之伴家はようやく隆盛の時代を迎えようとしていた。十四代家元は仙台から才ある嫁を迎え、ますます繁栄をとげていくのであった。千利休を祖とする名族の、明治、大正期における孤高の歩みを余韻嫋々、香り高く謳う傑作長篇。文芸春秋読者賞受賞。
きのね(上)きのね(上)
せつない嫉妬のほむらに身を灼く光乃。辛抱していればいつか花咲く日もくるかもしれない。女中として仕えながら、端麗この上ない歌舞伎役者、のちの十一代目松川玄十郎に寄せる献身と苦悶。
きのね(下)きのね(下)
たったひとりで主の子を産んだ光乃。一生かげの人間でいいんです。歌舞伎界不世出の名優、十一代目・松川玄十郎との宿縁に、つつましくも激しく燃え、やがて妻となった60年の忍耐の生涯。
朱夏(上)朱夏(上)
綾子、19歳。土佐の開拓団の子弟教育のため、夫の要の満州(現、中国東北部)行が決まると、大陸での生活を夢み、生後50日目の美耶を抱え、故郷を旅立った。広野での生活は不便さ半分、楽しさ半分だったが、戦局は悪化し、やがて日本の敗戦が知らされた…。宮尾文学の原点、自伝的長篇小説。