著者 : 宮本昌孝
時は江戸時代後期、泰平の世の黄昏。東海のとある小藩に藩校が設立されることになった。その学校の剣術教授方を決するために、藩を代表する二つの道場の門弟たちが御前仕合にのぞむのだが…。藩校を舞台に、厳しい階級社会の中で権力闘争や陰謀に巻き込まれながらも、あつい友情を育む三人の少年剣士たちの成長をさわやかに描く青春時代小説の傑作。どんな時代にも、輝く少年たちがいたー。
舞台は鎌倉の東慶寺。別名駈込寺。男に愛想の尽きた女が一目散に逃げ込んでくる。寺役人の市助と門前にある菓子屋の和三郎が協力し、駈込みの子細を辿っていくと、女の性をめぐる凄まじいドラマと巧妙な悪企みが浮かびあがってくる。和三郎は忍びの裔。影十手を躍らせ江戸の闇に挑む。痛快な時代ミステリー。
縄田一男氏をして「逸品との心踊る邂逅。剣の修羅場を通して瞬時にして結ばれる高誼を、実に巧みに、そして確実に描いている」と評させた宮本昌孝。続刊を心待ちされた第二巻も、期待に違わず気合の篭った作品に仕上った。多言は無用。義輝の雄渾孤高の旅へいざ。
魔風海峡を渡ったタリオン一行が漂着したのは、海面よりも低く位置し沼地や密林が広がる一大陥没大陸だった。そこでタリオンらはラドゥ七賢人の苗裔三人と邂逅、その助力を得て義勇軍と合流すべく、妖魔の細胞が跋扈するこの大陸を北上し始める。一方フォルタ率いる義勇軍は、冷酷非道なハザル・モルティーギによる思いも寄らぬ攻撃を受け、かつてない窮地に陥っていた…。愛の戦士タリオンの活躍を描くシリーズ第11巻。
デモイン帝国の追及は熾烈をきわめ、ラドゥ王国軍は苦難の逃避行を強いられていた。そしてついにタリオン以外の全員が帝国側に捕えられてしまう。帝国の大軍の集結する大君の城塞へと単身潜入したタリオンは、思わぬ味方を得て王国軍の救出に成功、かねてより計画していた西方への脱出をはかる。それは船で海を渡り西方へ行くというものだった。だが、ゆくてには毒虫飛び交い、怒涛逆巻く魔の海峡が待ち受けていた…。
時は江戸時代。いままさに八代将軍吉宗から九代家重に移ろうとする時世であつた。そんな世に男がひとり。名は茶乙女留主水之介。眉間にふしぎな桃割きず、そして放屁自在の技を持ち、代々江戸城内での放屁を許された三千石の旗本、茶乙女家の当主であった。そんな彼がさまざまな放屁の技を駆使し、将軍の落としだね騒ぎ、大盗賊日本左衛門騒ぎなど江戸八百八町に起る事件の解決に活躍するー傑作痛快娯楽時代小説登場。
わが子タリオン2世を擁するラドゥ王国軍の危地を救うべく大陸の東側へとやってきたタリオン。だがタリオン2世の生母ローゾは王国軍の裏切り者グルジャによって拉致されたあとだった。タリオンはラドゥ王国軍とともにローゾの捜索を開始する。やがて一行はデモイン帝国の王女ジニーの滞在している町にローゾが囚われているのを発見した。タリオンは単身その町に乗りこみ、剣の腕前と美貌をもって王女の親衛隊にうまくもぐりこむ。だがローゾ救出はあと少しのところで失敗。逆に王女を捕えたタリオンは、ローゾと交換しようとするのだが…。
時を同じくして妖魔の火円に灰を撒くという、義兄グラトンとの妖魔殲滅の計画は、タリオンがヴァンクリフによって帝国側に捕えられることにより頓挫した。タリオンはグラトン側の様子を探るべく心眼をこらすが、なぜか突然その心眼が閉ざされてしまう。グラトン側の様子のわからぬままに、タリオンは斬首刑に処されることになった。だが処刑の直前、ラトーと、謎の美髯の戦士デイオーザ率いる一団の戦士達の死を賭した活躍によって、無事に危地を脱することに成功した。そしてタリオンはディオーザから驚くべき事実を明かされたのだった…。
義勇軍と帝国軍、そして黄の修道僧軍団が三つ巴の戦いをくり広げているとき、タリオンは義勇軍の根拠地コメルチに帰還した。妖魔を滅ぼす唯一の武器、女神サンディーヌの母親の遺灰と共に。タリオンを迎えたレヴィ王女ら義勇軍の人々は喜びにわく。しかしその頃、最前線ではフォルタの娘サルティーが帝国のヴァンクリフ将軍の手に落ち、命とひきかえの降伏を迫られていた。それを知ったタリオンは一散に敵陣へラダを駆る。いまや義勇軍の闘士となったフリオも後を追う。将軍の示した刻限にはもう幾許もない。果たしてサルフィー救出はなるか!?
民間人初の宇宙飛行士、ウェイトレスのサンディーと探偵のデュークを乗せてスペース・ローリーは飛び立った。直後に地球は核戦争で壊滅。孤立無援の船はやむなく地上に降りた。しかし、地上に破壊のあとはなく、原始の自然が広がるのみ。しかも口のきけない村人達はサンディーを神とあがめるのだった。-故郷の石塔の中で女神サンディーヌがタリオンに語った不思議な物語。それは女神自らの運命をも巻き込んだ妖魔と人間の遥かな戦いの歴史だった。そして神々の血を受けついだタリオンの使命とは?いま新たなる戦いがタリオンを待ち受ける。
自らの出生の謎を解き明かすべく、タリオンは故郷の村を目ざす。氷雪に閉ざされた酷寒の地。自然の猛威に加え兇悪な三兄弟の率いるならず者の軍隊が行く手を阻むが…。一方、東方の蛮族の帝都侵攻を好機として、フォルタらは帝国への反乱の狼煙を上げた。帝国打倒の呼びかけに諸国の人々は立ち上がるのか?また、タリオンを育んだ小人族の島に迎えられたレヴィ王女のその後は?さらにミシュリーヌ殺害がもたらしたフリオ侯爵と狂気の剣士バランの確執のゆくえは?いま大陸全土を戦雲が覆いゆく。