著者 : 宮本昌孝
天正十年六月二日(一五八二年六月二十一日)。戦国のいちばん長い夜ー本能寺の変。天下人となる目前の織田信長を、討った男、守った男。その生き様には、人間の変わることのない野心と業が滲み出る。名手七人による決戦!第3弾。
織田信長に最も頼りにされ、かつ最も恐れられた漢、魔羅賀平助。その手柄は戦国の世に響き渡る。だが、女に優しい平助は、伊豆で房州里見の女忍びに捕らえられてしまう。猛将北条綱成の暗殺をもくろむ女は、協力しなければかつて平助が情を交わした遮那姫の娘を殺すという。夫婦を装って綱成と遮那姫がいる玉縄城を訪れた平助は、思いもかけない事実を知るがー。
化け物か、異形の神かー織田信長が銃口を向けた巨躯。それは戦国武将から恐れられた忍び・風魔の小太郎だった。天下統一に迫る信長が危惧する唯一の存在。信長は決して狙いを外さない。魔王と風神の子、最初で最後の対決の行方は?秀吉を脅かし家康を懼れさせた戦国の英雄とその仲間たちの知られざる物語!
「わたしは、天下布武の子なのだ。何があろうと、決して上様を裏切らない。上様の御為に生きて死ぬ」。信長に初期から仕え、武名高き森三左衛門。その子として美濃・金山城に生を受けた森乱丸は、幼き日に、敬愛する父と兄を戦で失った。やがて美しく才気溢れる若者に成長した乱丸は、信長自らに請われ、近習として仕えることになる。完成間近の安土城、天下の頂点に立とうとする主君。その傍らで苦楽を共にする近習、そして名高き戦国武将たち。十三歳の若武者の目に映じたその姿と心の内とは…。百年の乱世を畢わらせる。主君の大望を果たすため、若武者は、自らの生を賭ける!
永年の宿敵だった本願寺をくだし、朝廷さえ足下におき、天下布武の大望を果たす目前まできた信長。だが、心のうちは孤独だった。長く信長に仕える武将たちはおろか、もっとも身近な近習でさえ信長を恐れ、惑う。ただひとり乱丸のみが、「魔王の子」としてひそやかに信長と父子の絆を交わしていた。やがて乱丸は、光秀の心に兆した翳りに気づき、探りはじめる。すると、乱丸の心を揺らす者が現れた。女郎屋を営む謎のキリシタン女性・アンナ。主君への忠誠とアンナへの想いは秤にかけるものではないはずだったが…。運命の日の朝。乱丸は自らの想いを問われることになる。
独力で三河一国を平定した家康が凶弾に倒れた。時に26歳。その死が伝われば、桶狭間で勝った織田信長、甲斐の武田信玄、衰えたとはいえ今川氏真らに挟まれた脆い均衡が揺らぎ三河存亡の危機を招く。家康の第一の側近、世良田次郎三郎は、広忠寺の住職に収まっていた家康の異母弟・恵最を急遽身代わりとして擁立した。
ついに暴かれる暗殺の首謀者と大いなる陰謀。家康になりきり、まったく怪しまれずにいる恵最。その役目は真の嫡男・信康の家督相続までのはずだった。しかし恵最はしだいに世良田次郎三郎の思惑から逸脱し始める。そして、信玄の三河への侵攻、天下人をめざす信長からの驚くべき命令、乱世の風雲が三河を激動させる。
「陣借り平助」とその名を馳せる魔羅賀平助は、弱小だった毛利元就や織田信長の陣に加勢し、大勝利に導いた男。その平助が諸国を放浪中に上杉謙信の軍師・宇佐美定満の陣を借りることに。武田軍と相見えるが、勇敢なはずの定満が、なぜか一騎打ちを請う敵の猛将・原虎胤と戦わず、平助に名代を務めさせた…。天下無双の快男児が戦国を駆け抜ける、痛快武人伝。
良人との離縁を望み最後の助けを求めて女が駈け込む「縁切寺」として名高い鎌倉の東慶寺。門前にある餅菓子屋の倅で忍びの未裔でもある平左十手の使い手・和三郎が、寺役人の野村市助、公儀御庭番の息女紀乃とともに、夫婦の事情の背後に隠された意外な真実を鮮やかに暴き出す。表題作「おねだり女房」を含め全四編。
南蛮人と見紛う異相、生まれながらの巨躯と膂力。箱根山塊に「風神の子」ありと恐れられた英傑がいたー。時は戦国。関東の雄・北条氏一門は、関白豊臣秀吉率いる桁外れの軍勢を小田原城で迎え討たんとしていた。北条百年を影で支える風魔一党の束ね小太郎は、主君を救う奇策を講じるが…。謀略渦巻く乱世に、自由を求め生きた、稀代の忍びの生涯を描く歴史巨編。
今、徳川と戦になれば勝ち目はないー。太閤の奇矯な振舞いと石田三成の暴走を案じる秀吉麾下の忍び曾呂利新左衛門が助力を請うたのは、古河公方氏姫と静かに暮らす小太郎だった。一方、虎視耽々と機を窺う家康の影には、先代服部半蔵を凌ぐ頭脳を持つ剣士が。家康の世子秀忠に迫る、独り忍び唐沢玄蕃の兇手…。乱世再来を望む忍びたちが歴史を動かそうとしていた。
天下を取った家康の、唯一の気がかりは小太郎率いる風魔衆だった。折しも新開地江戸で、日本橋の大店が兇賊に蹂躙される。何者の仕業か?徳川忍び衆総帥柳生又右衛門は、小太郎一派に相違なしと断定、ここに風魔狩りの命が下ったー。勝利するのは剣の極意か、徒手空拳の技か。乱世を締め括る影の英雄たちが、箱根山塊で激突する!迫力の時代巨編、堂々の完結。
慶長二十年、大坂夏の陣において、真田幸村の猛撃に徳川旗本衆は総崩れとなり、家康の命もあわやという土壇場、ひとり踏みとどまり、御大将の窮地を救った初代から数えること、百三十年。時は八代将軍の御世が終わりを告げる頃。下膨れの童顔に大きな瞳。眉間には「桃割れきず」。八百八町、その名を知らぬ者なき茶乙女家七代目、留主水之介康景。「身の生業も旗本の、分を超えた人助け。只今参上仕る!」。
そちの嫁とりは、天下の一大事ー朋友、田沼意次によれば、縁組は前将軍、吉宗のお声がかりらしい。窮した留主水之介はあの手この手を使うが…。九月末の深更、ついに婚礼の支度が相整う。花嫁は熊本藩主の妹君で、名は冴姫。その花嫁が遁走した。捨て台詞は「奪いに来るのを待つ。心して参れ」。じゃじゃ馬姫に一目ぼれした留主之介にふりかかる災難とは?時代小説界の気鋭が放つ幻の続編。
慶長三年、天下人・豊臣秀吉が歿し、時の流れは徳川家康のものとなった。仕官への誘いを辞し、古河公方氏姫と静かに暮らす風魔の頭領・風間小太郎は政権基盤を固める家康にとって最大の脅威であった。徳川忍び衆を率いる稀代の謀士・柳生又右衛門に、風魔狩りの命が下るー。氏姫を護るため、小太郎は古河の地を離れ徳川の本拠・江戸へ向かった!風魔の地・箱根山塊に風雲、急ー。勝利するのは剣の極意か?徒手空拳の技か?乱世の英雄を活写した痛快時代小説。
東海の小藩で青春を送る筧新吾、花山太郎左衛門、曽根仙之助の三人の青年武士たち。厳格な身分社会の中で、立場や家格の違いをこえて、かたい友情に結ばれた三人だったが、彼等にもやがてそれぞれの道へ進むべき時が訪れる。藩命を受けて江戸へ向かった彼等に、藩をわがものにしようと企む蟠竜公の陰謀が牙をむくー。若き侍たちの旅立ちと胸のすく活躍を描く、青春時代小説の傑作。
新吾は、藩主の菩提寺で謎の遣い手と死闘を繰り広げる。どうやら藩の内部に蟠竜公一派が再び深く根をはりめぐらせているらしい。そのうえ幕府の高官ともつながりを持っているようだ。果たして蟠竜公の狙いは何か?また隠密組織「白十組」も動きだした。江戸藩邸の誰が敵で、誰が味方なのか?新吾、太郎左、仙之助は力を合わせて、陰謀に立ち向かうー。傑作青春時代小説、感動の大団円。
浅井亮政の美濃出兵に端を発した争いは、それぞれに思惑を秘めた諸勢力を巻き込んで大永の動乱へと発展した。新左衛門尉と新九郎は闇の住人を操り、知略の限りを尽くしてこの争いを勝ち抜いていく…。策略と陰謀のドラマをダイナミックに描いた超話題作。