著者 : 宮本昌孝
伊藤博文、陸奥宗光、渋沢栄一…舞台は明治の英傑がつどう別荘地・大磯。少年・吉田茂が、数々の怪事件に挑む!吉田家の別荘・松籟邸に住み、後に総理大臣となる若者が、謎の隣人・天人とともに事件を解決しながら成長していく連作活動ミステリー。
けがれなき飛騨白川郷をこの手で守るためにー。戦国武将が喉から手が出るほど欲しいもの…金銀と、鉄炮火薬に欠かせない塩硝。それらは天離る地で豊富に産するという。天下の覇者へと邁進する織田信長に送り込まれたのは、津田七龍太。天才軍師・竹中半兵衛の愛弟子だ。白川郷では、七龍太の出生に関わる思いがけない出逢いが待っていた。
たとえ天下の大軍が攻め寄せようともー。織田信長の後継者となるも、恋い焦がれてきたお市を手に入れることができなかった秀吉は、怒りの矛先を津田七龍太に向け、その処刑を黒田官兵衛に命じる。一方、徳川家康の支援を仰ぐべく、真冬の立山連峰越えに挑む猛将・佐々成政の前に、内ケ嶋の姫が現われ…。秀吉・家康らが虎視耽々と狙うなか、天離る地の小国は、生き残れるのか。
刀匠おどろ丸は、呪われた秘剣櫂扇を鍛刀する技を捨て、山を下りた。京で将軍暗殺の陰謀に巻き込まれた際、国を盗らんとする野望が湧き上がったのだ。目指す地は、戦の絶えぬ美濃。櫂扇の滅亡を目論む暗殺集団と戦いながら唯一の友の助力を得たおどろ丸は、武将としての礎を一歩ずつ築き始めるが…。ふたりの梟雄斎藤道三の壮大な夢を描く戦国大河小説!
京の学僧から油商人となった松波庄九郎は、その類稀なる才知で相州三浦を討ち取り、さらなる戦を求めていた。狙ったのは乱の続く美濃。庄九郎もまた国盗りを胸に秘めていた。だがそこには、長井新左衛門尉の名で有力武将となったおどろ丸が、立ちはだかっていた。お互いの哀しき血の因縁を知らずに手を組むことになったふたりは、美濃盗りの激闘に名乗りを上げた。
大乱が勃発した美濃は、相次ぐ裏切りと権謀術数とで混乱を極めていた。庄九郎あらため長井新九郎は、一時、美濃を追われたが、長井新左衛門尉と再び手を組むと、ふたりはついに乱を鎮圧する。もはや残る敵はお互いのみ。美濃の覇者となるのはどちらの梟雄か。やがて暗殺集団との死闘を制したとき、ふたりの哀しき因縁が明らかに!必読の傑作大巨編、堂々の完結。
美濃の斎藤道三の娘・帰蝶。親譲りの胆力と才覚を備え、父に愛されて育った彼女は、尾張の織田信長の元へ嫁ぐ。お互いの器の大きさと夢を認め、愛し合う二人は、共に尾張平定に乗り出した。だが、道三の息子・義龍が叛旗を翻す。信長は美濃へ援軍を送るが間に合わなかった。道三の死は、帰蝶と信長の関係にも影を落とすことに。
帰蝶の死から八年…。天下統一へ着々と版図を広げる織田信長。妻・煕子が帰蝶に仕えていた明智光秀も、今や織田軍団の出世頭。だが、光秀夫妻は帰蝶の仇を討つことを密かに誓っていた。やがて、信長はひとりの美女を目撃し、直感する。帰蝶だ。生きているのか、それとも幻なのか。すべての「糸」は、本能寺へと繋がってゆく。
慶長五年九月十五日。美濃国関ヶ原で起こった大会戦は、東軍・徳川家康と西軍・石田三成の戦いとして知られるが、勝敗の鍵を握る人物がもう一人いた。小早川秀秋。彼の裏切りは予想されていて、味方に引き入れようと両軍の将たちは蠢いていた…七人の作家が戦場を活写する、大好評「決戦!」シリーズ第六弾!
大軍で東進を始めた今川義元を、織田信長が尾張・桶狭間で奇襲。永禄三年五月十九日、三国の太守が寡兵の一撃で落命した。「群雄割拠」から「天下布武」へ。戦国時代の流れを変えたこの変事は、本当に奇跡だったのか、それとも必然か!…戦国最大の逆転劇を、七つの視点で描く、大好評「決戦!」シリーズ第五弾!
戦国時代でいちばん長い夜だった。すなわち本能寺の変。天正十年六月二日、天下人目前の信長を、討った男と守った男。そして、何もできなかった男たちー。野心と業にまみれた男たちのそれぞれの生きざまとは!日本の歴史の流れを変えたその「瞬間」に、作家七人が集結した。大好評「決戦!」シリーズ第三弾!
出っ歯の透きっ歯で極端な縮れ毛ー。上杉家当主・景勝の前に現れた真田家の人質・弁丸(後の幸村)は大変な醜男であった。その上、美男の兄・源三郎(後の信之)では気に入らないだろうと言い放つ。景勝と跡目を争った義兄弟・三郎景虎が美男で名高かったからだ。手討ちになるかと思いきや、その明るい人柄で気難しい景勝に気に入られる。秀吉の出陣命令にも、時勢を読んだ的確な助言をし、武将としての厚い信頼も得る。上杉家中での存在感を増していく中、弁丸は父の名代として秀吉に謁見することになるが…。真田幸村を描いた「ぶさいく弁丸」他、自ら作った薬で家臣団との絆を強めた徳川家康、高貴な身分と偽った豊臣秀吉、北条早雲、武田信玄、上杉謙信、織田信長ら、天下に名を轟かせた七武将の知られざる“初陣”を鮮やかに描く!
「風神の子」と恐れられ、北条氏に仕える忍びの中でも、風魔の小太郎は、桁外れの巨躯と相まってその能力は抜きんでていた。その小太郎が武田を滅亡に追いやった織田信長より名指しで呼び出される。待ち構えた信長は、進上馬に乗り小太郎に銃口を向ける。そして、発射された銃弾の行方はー。戦国の猛将らと闘った希代の忍び『風魔』、その知られざる物語。
猛将・森三左衛門の三男として美濃・金山城に生をうけた森乱丸。それは織田信長が天下布武を決意した年のことだった。やがて才気溢れる若者に成長した乱丸は、天下人を目指す信長の側近くに小姓として侍ることになる。魔王の覇道を共に歩む近習衆、そして名だたる戦国武将たち。美しき若武者の目に映じた彼らの姿と心の裡とは…。主君の大望を果たすため、乱丸は自らの命を賭ける!(宮本昌孝×火坂雅志「特別対談」を収録)
近侍たちの中でも信長の厚い信頼を得る万見仙千代に亡き兄の俤を重ねる森乱丸は、才気ほとばしる言動で頭角を現してゆく。長年の宿敵であった本願寺を降し、朝廷さえ足下に組み伏せる勢いの信長であったが、その心の裡は孤独だった。百年の乱世を畢わらせ、天下をひとつにすることを己に任じる信長が第六天魔王ならば、乱丸は魔王の子。乱丸にとって主従の絆は絶対のものだった。
織田家の出頭人のひとり惟任日向守光秀の裡に兆した翳りに気づいた乱丸は、光秀とイエズス会の動向を探りはじめていた。乱丸は安土城下屈指の女郎屋を営む謎の女キリシタン・アンナにイエズス会の内情を探らせるとともに、彼女に思いをかけていたのだ。もとより主君への忠誠とアンナへの思いは比べるべくもなかったが、運命の日の朝、乱丸は自らの存念を問われることになる…。