著者 : 小松左京
SFマガジン誌上での連載から半世紀の歳月を経てもなお、日本SFのオールタイム・ベストとしてランクインし続ける不朽の名作3長篇。その原点たる連載時の誌面を完全復刻、詳細な解説やコラムを付して合本のうえ、豪華装幀を施しておくるファン必携の1冊。
あと5時間でこの世界は消滅するーー。歴史を正しい方向に戻さなければ! 直木賞候補作となった記念碑的作品。 「あの戦争」で無条件降伏したはずの日本が本土決戦をしているーー! 「その年」の10月にはいると、ソ連軍は敦賀に、アメリカ軍は四日市に大上陸作戦を展開した。18歳までの男子で本土防衛特別隊が組織されたが、ほとんどは全滅。いまや、山奥の農村の村民までもが敵に通じている。俺は敵弾をあび、頻死の重傷だ。その時、Tマンと名のる男が現われ、「この世界はまちがっている」と告げたーー。時空を超えて日本の歴史の変革を謀る男の見たものとは?! 第50回直木賞候補作となった小松左京初期の傑作。貴重な図版を含む解説も収録。
『果しなき流れの果に』『復活の日』『日本沈没』-。日本SF史に輝く傑作の数々を遺した小松左京の原点は、戦中戦後の動乱期を過ごした旧制中学・高校時代にあった。また京大人文研とのつながりから、大阪万博にブレーンとして関わった顛末とは。幻の自伝的青春小説と手記によって、そのエネルギッシュな日々が甦る。若き日の漫画家デビューなど、新事実も踏まえた文庫オリジナル編集版。
吹雪のアルプス山中で遭難機が発見された。傍には引き裂かれたジェラルミン製トランクの破片。中には、感染後70時間以内に生体の70%に急性心筋梗塞を引き起こし、残りも全身マヒで死に至らしめるMM菌があった。春になり雪が解け始めると、ヨーロッパを走行中の俳優が心臓麻痺で突然死するなど、各地で奇妙な死亡事故が報告され始めるーー。人類滅亡の日を目前に、残された人間が選択する道とは。著者渾身のSF長編。
生物化学兵器として開発されたMM-88菌を搭載した小型機が、冬のアルプス山中に墜落する。やがて春を迎え、爆発的な勢いで世界各地を襲い始めた菌の前に、人類はなすすべもなく滅亡するー南極基地の1万人たらずの者たちを残して。だが、最後の砦である南極までが、超大国の負の遺産である戦略核兵器の脅威にさらされる。果たして、人類という種は生き延びることができるのか。著者の長篇代表作を生頼範義カバーで復刊。
独立記念日を前にしたある日、アメリカと外界との連絡、交通が突然遮断された!?40年前にトランプ大統領登場を予言したかの如き表題作に加え「眠りと旅と夢」「鳩啼時計」「幽霊屋敷」「おれの死体を探せ」「ハイネックの女」の、いずれも未来を的確に見通した六篇を収録。SF界の巨匠の面目躍如たる短編集。
現代日本SF誕生から60周年を記念して、第一世代作家6人の傑作選を日下三蔵の編集により刊行するシリーズ。第2弾は、日本SFの巨大なる父、小松左京。デビュー短篇にして直木賞候補作「地には平和を」、小松自身が最も好きな自作と語る中篇「神への長い道」、そして半世紀前にネットワーク社会の弱点を予見した長篇『継ぐのは誰か?』ほか、人類進化を生涯のテーマとした小松SF傑作中の傑作8篇を収録。
同居の老人の奇行に悩まされ追い詰められた主婦が、一線を越えた末に信じがたい事実を知ることになる(「厭な老人」)。静かな部屋で時を告げる古い鳩啼時計には、遠く離れた恋人との悲劇の結末が隠されていた(「鳩啼時計」)など、歴史ある日本推理作家協会賞を受賞し、ミステリー界が誇る作家六名による、幻想と怪奇に彩られた物語を収録した珠玉作短編集シリーズ第五弾。
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。 第15回配本となる第4巻「超常能力者」は、SFの一大テーマともいえる「エスパー」の活躍と葛藤、栄光と挫折を描いた、時代を超えて輝ける名作の数々全10編を収録。 ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] 「SFの時代」は遠くなった。しかし、当時の興奮は忘れられるべきではない。とはいえ網羅するのは無理である。 ここに収録した作品群は、SFのテーマのひとつ「エスパー」とその変遷である。 異形であるから、逃げる。隠れる。闘う。 彼らそれぞれの人間たちとの対応を味わっていただきたい。 連作の一編を無理に収録した短編もあるが、それもこの際、いいことにさせていただきたい。傑作は、永遠なのだから。 [収録作] 【長編】 小松左京「エスパイ」 半村良「黄金伝説」 【短編】 平井和正「エスパーお蘭」 筒井康隆「水蜜桃」 宮部みゆき「燔祭」 恩田陸「大きな引き出し」 【掌編】 星新一「超能力」 北杜夫「月世界征服」 阿刀田高「触媒人間」 眉村卓「ピーや」 ◇解説/大森望 解題/夢枕獏
小松左京生誕80年記念/追悼出版。代表的短編、長編の抜粋、エッセイ、論文を自在に編集し、SF作家であり思想家であった小松左京の新たな姿に迫る、画期的な傑作選。第一弾のテーマは「日本」。
大学生になった甥の堅さを心配した叔父が、昔なじみの女将に…。初心な若旦那が騙されて吉原へという落語を現代の艶笑譚に昇華した『明烏』。「天神山」と「立ち切れ」を芸能の本質に迫る人情譚に仕立てた『天神山縁糸苧環』。他、「三十石夢の通路」「反魂香」など有名落語を、奥深い芸道と色恋の艶を加えて、粋で鮮やかな世界に完成させた珠玉の作品集。全四編。
海底に眠る「日本」の遺跡が慰霊祭で映し出される。日本列島が海の底に沈んでから二十五年がすぎていたー。国土を失った日本人は、パプアニューギニアやカザフスタンなど世界各地に入植していたが、現地の人々との軋轢もまた厳然と存在していた。一方、中田首相を中心とした日本政府の研究グループは国の復興のために、あるプロジェクトを密かに進めていた。旧日本海上に広大な人工島を建造する計画ーだがそれは中国や北朝鮮など、周辺国との利害対立を生むものだった。四〇〇万部ベストセラーの刊行から三十三年の時を経て、ついに描かれた衝撃の続編。
日本列島の沈没は、単なる前触れにすぎなかったー。断続的な冷害に襲われ、深刻な飢饉に見舞われていた北朝鮮に、中国が軍事侵攻した。日本列島の物理的消失により、東アジアの気象が大きく変動し、その影響も拡大していた。日本政府は、もうひとつのプロジェクトー日本人の技術を結集した全地球の環境予測システム・地球シミュレータの実用化に乗り出す。皮肉にもそこにシミュレーションされたのは、地球全体を「新たな異変」が呑み込もうとする悪夢のような内容だった。この地球の未来をも予測し、全人類に警鐘を打ち鳴らした世紀のSF巨編、堂々完結。
伊豆・鳥島の東北東で一夜にして小島が海中に没した。現場調査に急行した深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫は、地球物理学の権威・田所博士とともに日本海溝の底で起きている深刻な異変に気づく。折から日本各地で大地震や火山の噴火が続発。日本列島に驚くべき事態が起こりつつあるという田所博士の重大な警告を受け、政府も極秘プロジェクトをスタートさせる。小野寺も姿を隠して、計画に参加するが、関東地方を未曾有の大地震が襲い、東京は壊滅状態となってしまう。全国民必読。二十一世紀にも読み継がれる400万部を記録したベストセラー小説。
とにかくその日が来る前に。政府は日本人全員を海外へ移住させるべく、極秘裏に世界各国との交渉に入った。田所博士は週刊誌で「日本列島は沈没する」と発言して、物議をかもしていた。小野寺は極秘プロジェクトからはずれて、恋人・玲子とともにスイスに旅立とうとするが、運悪く玲子は、ついに始まった富士山の大噴火に巻き込まれ行方不明となってしまう。そして、日本沈没のその日は予想外に早くやってきた。死にゆく竜のように日本列島は最後の叫びをあげていた。日本人は最悪の危機の中で、生き残ることができるのか。未来をも予見していた問題作。
太平洋戦争末期、空襲で家を焼かれ、家族とともに路頭に迷いかけていた“僕”は、縁あってある裕福そうな邸に住み込ませてもらうこととなる。邸には上品そうな女主人と病気の娘の二人が住んでいるだけで、夜になるとどこからともなく悲しげにすすり泣く声が聞こえてくるのだった…。戦争という時代の狂気を背景に驚くべき事実が明かされる表題作の他、“女”シリーズ六篇を含む、幻想の物語全十一篇を収録。
二十二世紀、火星で驚くべき発見がされた。火星の北極の永久氷床の下から、太古の宇宙人が残したと思われる“地上絵”が見つかったのだ!絵に秘められたメッセージの解読を進めるうち、木星の大気中に何か重要な秘密が隠されていると知った宇宙考古学者・バーナード博士は、「木星太陽化計画」主任の本田英二に、協力を要請するのだったが…。広大な宇宙を舞台に描く一大SF巨篇。