著者 : 小林泰三
ここは監獄だ。 さあ、脱出ゲームを始めようーー。 サブロウは森に囲まれた老人ホームらしき施設で、平穏な日々を送っていたが、 自分は何者でいつ入所したのか、そもそもこの施設は何なのか、全く記憶がないことに気づく。 不審に思っていると、謎の「協力者」からのメッセージが見つかった。 「ここは監獄だ。逃げるためのヒントはあちこちにある。ピースを集めよ」 サブロウは情報収集担当のエリザ、戦略策定担当のドック、技術・メカ担当のミッチという仲間を集め、施設脱出計画を立ち上げるが……!? 想像を超える「未来」の真相に辿り着けるか? 楽園(サンクチュアリ)から逃れ、本物の自由を手に入れろ。
日常では理系の大学院生、しかし夢の中では間抜けな〈蜥蜴のビル〉となって不可思議な世界を渡り歩いている井森建。彼はある日の夢の中で、ピーター・パンという無邪気な少年とウェンディという優しい少女、そして妖精ティンカー・ベルに拾われる。彼らに連れられてやってきたのは、海賊や妖精をカジュアル感覚で殺して回るピーター・パンによって修羅の国と化した〈ネヴァーランド〉という場所だった……『アリス殺し』シリーズ第四弾!
会社というワンダーランドに迷い込んだアイドルに襲い掛かる不条理の数々! ……あなたにバカと戦う覚悟はありますか? 握手会で起こった事件のせいで、アイドル活動ができなくなっていた河野ささら。 そこに降って湧いたのが、ある大企業からの社外取締役のオファー。 たまたまテレビを見ていた社長が、ちょっと気の利いた発言をしたささらを気に入って、思いついた起用だった。 その企業、レトロフューチュリア株式会社は、アンプ用の真空管や、テープレコーダーやカセットテープやビデオテープ用の磁気ヘッド、計算尺や手回し計算機の交換部品といった古い規格の製品の隙間産業で儲けていたが、ある大学で、学生が面白半分にレトロフューチュリア社製の真空管を極低温に冷やしたところ、それが量子ゲートとして作用することが発見され、原理はわからないが、とにかくレトロフューチュリア社製の真空管を使えば、今までより桁違いに安く、量子コンピュータが実現できると、この一点において、いっきに世界規模の大企業となった会社。 「目指せ、世界一」や「売上1兆円」というあり得ない目標も、イエスマンだらけの役員会では、社長の一声で決まってしまい、研究所では、データ改ざんは当たり前、逆らった社員には陰湿ないじめが待っている……。 そんな会社で、お飾りにでなく、自分の頭で考えようとするささら。 敏腕美人秘書・菜々美とともに、ダメ会社の危機をささらは救えるのか⁉ 笑っている場合ではない、本当は怖い企業小説!
若い夫婦と五歳の一人息子が、地震と洪水が重なった大災害に襲われる。その時、一方の世界ではお父さんが亡くなりお母さんが生き残った。もう一方の世界ではお母さんが亡くなりお父さんが生き残った。息子のヒロ君はこの二つの世界を同時に生きていた。大災害で崩壊した家族を蘇らせるためにヒロ君は…。奇才・小林泰三が描く、パラレルワールド・サスペンス・ミステリー!
女子高生の梨乃はある日、記憶が短時間で消えてしまうことに気付く。この現象は全世界で発生し人類はパニックに陥ったー。それから数十年。記憶する能力を失った人類は、外部記憶装置なしでは生きられなくなっていた。記憶=心が切り離せるようになった世界で「わたし」は何人分もの奇妙な人生を経験する。これは本当に自分の記憶?「わたし」は一体、何者なのか…?『アリス殺し』の鬼才が贈る、予測不能のブラックSFミステリ。
京都には、裏の戦いがある。失恋旅行で訪れた京都。そこで滝沢陽翔は本気の殺し合いをはじめた謎の異能集団に遭遇してしまう。彼らは青竜、朱雀、白虎、玄武、そして麒麟という神獣の眷属として人知れず生きる者達だった。ある裏切りによって引き起こされる未曾有の災害から日本を救うため、青年は問答無用で非日常へ巻き込まれていく。現代京都の裏側を縦横無尽に駆け回る、空前絶後の異能力ファンタジー。
大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。ある日ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見た後大学に行ってみると、玉子という綽名の男が屋上から転げ落ちていた。次に見た夢の中でグリフォンが生牡蠣で窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死。そして不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋が犯人捜しに乗り出していたが、なんとアリスが最重要容疑者に……。悪夢的メルヘンが彩る驚愕の本格ミステリ!
今宵、お目にかけますは、 命をかけたサーカス・ショー。 惨劇に隠れた秘密を見抜けるか。 『玩具修理者』『アリス殺し』著者による究極のサバイバル・ミステリ! 脱出マジックに失敗して以来、トラウマを抱える手品師の蘭堂。所属する経営不振の「インクレディブル・サーカス」で、親友のクロスボウ使いやアシスタントに励まされながら、完全復活を目指し日々練習を重ねている。 ある日、サーカス団を異形のモノ達が襲うーー彼らは世界中に密かに存在する、人の血肉を喰らい生きる吸血鬼だった! 圧倒的な身体能力と回復力を持つ吸血鬼たちに、団員たちは恐怖するも、生き残るため、それぞれの特技を駆使して対抗し始める。だが、団員のピンチに駆けつけようと森の中を走る蘭堂は、あることに気がつきーー? ショックとサプライズに溢れたサバイバル・ミステリの幕が上がる。
抜群の頭脳と美貌、そして最悪な性格を併せ持つ女探偵・新藤礼都が、よりブラックにパワーアップして還ってきた!ナンパ教室講師やマルチ商法会員、鴬嬢など、相変わらず怪し気なバイトを掛け持つ礼都。その先々で、傲岸不遜な発言と驚異の推理力で隠された真実を容赦なく暴き出していくー。厄介なヒロインの奇妙な活躍を描く異色の連作ミステリー第二弾。
ウルトラマンが去った後の地球でー世界各国は、異星人や怪獣に対抗できる新戦力の開発を進めていた。科学特捜隊の井手光弘はメテオールの実用化に成功する。翻ってインペイシャント博士は、巨人兵士を非人道的な方法で造り出していた。各国の利害が剥き出しになった開発競争のさなか、早田進に関係する実験の事故に巻き込まれた富士明子。彼女は、かつてメフィラス星人に操られていた、あのときの姿へと戻ってしまう!
色とりどりの恐怖をどうぞ召し上がれ。あのとき、目をそらしていたら。でも、もはや手遅れ。あなたはもとの世界には二度と戻れない。恐怖へ誘うのは、親切な顔をした隣人、奇妙な思い出を語り出す友人、おぞましい秘密を隠した恋人、身の毛もよだつ告白を始める旅の道連れ、そして、自分自身……。背筋が凍りつく怪談から、不思議と魅惑に満ちた奇譚まで。作家たちそれぞれの個性が妖しく溶け合った、戦慄のアンソロジー。
夢の中にある世界〈不思議の国〉の住民である蜥蜴のビルは、砂漠を彷徨う中でドロシイと名乗る、案山子とブリキの樵とライオンを連れた少女に出会う。彼女の助けを借りて不思議の国へ戻ろうとするビルだが、その最中にオズ支配者・オズマ女王の宮殿の一室で死体が発見される。強力な魔法と軍人たちに守護されていた部屋で、だれがどうやって殺したのか? 夢と現実双方で起きる事件の意外すぎる真相とはーー『アリス殺し』シリーズ最新作。
江戸川乱歩生誕120年を記念して刊行され、テレビや新聞など様々な媒体にも紹介されて話題にもなったアンソロジー『みんなの少年探偵団』。 だが、数々の人を魅了したのは「少年探偵団」だけではない。ポプラ社の歴史において、「少年探偵団」と双璧を成す「怪盗ルパン」シリーズもまた、多くの人の読書体験に強い影響を与えてきた。 世界一華麗な怪盗“ルパン”を現代を代表する作家が描くと、どのような世界になるのかーー 子供時代、怪盗ルパンに胸を躍らせた過去を持つ作家陣が集結し、「怪盗ルパン」のオマージュ小説に挑む!
世の中、間抜けばかりーあんな簡単な事件の真相も見抜けないなんて。自らの才能を生かすべく探偵事務所開設を計画する新藤礼都だが、まずは先立つものが必要だ。資金作りにアルバイトを掛け持ちする中、次々と奇妙な事件に遭遇して…。容赦のない発言と冷徹すぎる推理。抜群の頭脳と最悪の性格を併せ持つ女探偵が縦横無尽に活躍する、異色の連作ミステリー。
ウルトラマンが去った後の地球でーー。科学特捜隊の早田進と富士明子は、原因不明の実験事故に巻き込まれてしまうが……。彼女の名はウルトラマンF。誰も見たことのないのウルトラ戦士、誕生!
大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは不思議の国ではない緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向こうでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきたのだが…。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る、冷酷な殺人ゲーム。
ようこそ、謎と人間の新しい可能性へーー。 『アリス殺し』の鬼才が贈るブラックSFミステリ、ここに開幕。 全人類が記憶障害に陥り、長期記憶を取り外し可能な外部装置に頼るようになった世界。 心と身体がバラバラになった今、いくつもの人生(ル・ものがたり)を覚えている、「わたし」は一体何者ーー? ◆女子高生の結城梨乃は、自分の記憶が10分ともたないことに気が付いた。いち早く状況を理解した梨乃は急いでSNSに書き込むーー「全ての人間が記憶障害に陥っています。あなたが、人類が生き残るために、以下のことを行ってください」。それから幾年。人類は失った長期記憶を補うため、身体に挿し込む「外部記憶装置」(メモリ)に頼り、生活するようになった。 ◆「わたし」の中には、なぜか何人分もの記憶、思い出が存在している。「替えメモリ受験」をしようとした学生の話。交通事故で子供を亡くした父親の話。双子の姉妹の話。メモリの使用を拒否する集団の話。謎の「声」に導かれ、「わたし」は自分の正体をついに思い出す……。 物語の終幕に、「進化の果て」が浮かび上がる。