著者 : 小谷野敦
颱風颱風
パリの日本人コロニーを舞台にした“ジャポニズム・フィクション”として、20世紀初頭、欧米各地の劇場を席捲、「黄禍論」の議論を呼んだドラマ。「台風」現象としてセンセーションを巻き起こした、ハンガリーの劇作家レンジェルの代表作。
とちおとめのババロアとちおとめのババロア
ネットお見合いで知り合った女性の深い秘密から、この国の機構のいびつさに接してゆく、『文學界』発表時から話題を呼んだ表題作。消えてゆく煙草とコンビニをペーソスとともに描いた「さようならコムソモリスカヤ・プラウダ」、実家と膨大な蔵書を処分する一幕「実家が怖い」、赤裸々に「艶舗」に通う日々を描く「五条楽園まで」、『ハムレット』の大胆なパロディ「ホレイショーの告白」の全五篇を収録。
東十条の女東十条の女
婚活体験を描く表題作。谷崎潤一郎と夏目漱石の知られざる関係、図書館員と作家の淡い交流、歴史に埋もれた詩人の肖像…“いまの文学”に飽き足らない、あなたに贈る“ほんとうの文学”がここに!
弁慶役者 七代目幸四郎弁慶役者 七代目幸四郎
明治から昭和敗戦後に生きた歌舞伎役者・七代目松本幸四郎。團十郎不在の時代に、劇壇・文壇と交流し、「藝」を守った名優である。その裏の顔は、妻に次々と先立たれながらも三人の子を名高い歌舞伎役者に育てあげたひとりの男だった。その知られざる生涯をたどる本邦初の伝記小説。
花影花影
女の盛りを過ぎようとしていたホステス葉子は、大学教師松崎との愛人生活に終止符を打ち、古巣の銀座のバーに戻った。無垢なこころを持ちながら、遊戯のように次々と空しい恋愛を繰り返し、やがて睡眠薬自殺を遂げる。-その桜花の幻のようにはかない生に捧げられた鎮魂の曲。実在の人物をモデルとして、抑制の効いた筆致によって、純粋なロマネスクの結構に仕立てた現代文学屈指の名作。
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