著者 : 小路幸也
「楽園の話を、聞いてくれないか」そう言いかけて、父さんは逝ってしまった。山、紫、水、明と名付けられた僕らきょうだいと、一通の手紙を遺して。僕たちの母親は、4人とも違う。手紙には、それぞれの母親について書いてあった。「必要があると考えるなら、会ってこい」なぜ父さんは、結婚離婚を繰り返し、僕ら「家族」を作ったのか。一夏の旅の果てに明らかになる真実とは…。鮮烈な結末が胸を打つ、ビタースイート家族小説。
平凡な日常をそれなりにこなす印刷会社のサラリーマン・石井は、人身事故を起こし、パニックで逃げてしまう。伝説のギタリストでありながら、今はホームレスの辰吾、メジャーを夢見るバンドマン・小嶋を巻き込んで辿り着いた先は、寺の土蔵。そこは引きこもりの高校生・聖矢の住処だった。年齢も人生もバラバラ、けれど唯一の「共通点」を持つ彼らが出会ったとき、起こった「キセキ」とはー!?小路幸也が描く大人の青春小説!!
夢、希望、怖れ、孤独、友情…。人気作家で贈る11の物語。ときに切なく、ときにほのぼのと、子供と大人たちの間に起こる様々なドラマ。『東京バンドワゴン』シリーズで知られる小路幸也ワールドから、単行本未収録を中心に、少年少女を主人公にした作品を選りすぐった傑作短篇集!巻末に作家本人による自作解説を付す。
舞台は花咲小路商店街。英語塾を営む亜弥の父は日本に帰化したイギリス人で、既に隠居の身だが、その実、若い頃は美術品を中心とする泥棒として名を馳せていた人物。商店街で起こる事件をその手腕で解決していく。楽しくて心温まるエンターテイメント。
堀田家随一のイケメン、青の出生の秘密とは?(「紺に交われば青くなる」)、藤島社長と堀田家の初めての出会いとは?(「縁もたけなわ味なもの」)、地味な紺が、亜美を射止めたきっかけは?(「愛の花咲くこともある」)。老舗古書店「東京バンドワゴン」に舞い込む謎を、大家族の堀田家があふれる人情で解決する人気シリーズ第8弾、番外編。知られざるエピソードが満載。書き下ろし3編を含む全11編。
東京下町で老舗古書店“東京バンドワゴン”を営む堀田家は、四世代の大家族。勘一のひ孫・花陽は受験生になり、研人は中学校に入学、かんなと鈴花もすくすく育っている。ひとつ屋根の下、ふしぎな事件が舞い込んで、今日も一家は大騒ぎ。だが近ごろ、勘一の妹・淑子の体調が思わしくないようで…。ご近所さん、常連さんも巻き込んで、堀田家のラブ&ピースな毎日は続く。大人気シリーズ第6弾。
優等生の委員長と不良少女の淡い恋、すべてはそこから始まった。彼女が自力で人生を立て直すことができたなら、十年後にあるものを渡そう。そして約束の日、三年前から行方不明だという彼女の代わりに、夫を名乗る人物がやってきたがー。ニューヨークから帰ってきた青年と、幽霊騒動に巻き込まれた少年少女、そして最高の「相棒」が織りなす、約束と再会の物語。
世界的アーティストだが病気で色がわからないアーチ、朝と夜それぞれ真逆の時間に眠る不思議な双子の妹キサとトア。不便な事もあるけれど、“風のエキスパート”である父と海辺の町の愉快な仲間と共に楽しく暮らしている。だが父の仕事が原因で一家は少し困ったことに…。やさしい四季の物語。文庫書き下ろし掌編を収録。
やりたいこと、夢、特になし。自慢は家事の腕前だけ。そんな佳人が背中を押されて始めたのは、見ず知らずの男女6人+管理人のタカ先生での共同生活。“シェアハウス小助川”という名前の医院を改築した大きな“家”でー。優しすぎて生きづらい、不器用な若者たちの成長を温かい視線で描ききった長編エンタメ。
1920年代のニューヨーク。裏通りの小さな博物館“BAM”の収蔵品は一風変わったものばかり。そこでは、物に触れると未来を予知できる不思議な少女フェイとワケあり個性派揃いのキュレーターが、悲劇を防ぐべく日夜活躍しているのだ。ジャズエイジの世界へ貴方を誘います。文庫版ボーナストラック「ドラキュラのマント」収録。
50時間起きて20時間眠る特殊体質のメイジ。草食系でのんびりした性格に反し、15年前、父親を殺されたというハードな過去の持ち主。現在はゲームプランナーをしつつ、体質を活かした“監視”のバイトをしている。だが、そのバイトのせいで二億円を拾ってしまい、裏金融世界の魔手に狙われる羽目に。メイジは戸惑いながらも知恵と友情を武器に立ち向かうが、この利とも枷ともなる体質が驚愕の事態を招く。
唯一の堅気者、新人キュレーター・エディ、魅力的な赤毛の美女“ダンシング”メイベル、100キロの巨漢“ベビーベッド”ブッチ、ベビーフェイスの伊達男“キッド”バーンスタイン、滅多にしゃべらない寡黙な“セイント”モース、そして、物に触れるだけで未来の悲劇を読み取ってしまう不思議な少女フェイ。悲劇を阻止すべく、BAMの面々は事件解決に乗り出す。
帆奈、13歳。両親の別居でNYから単身帰国中。日本の学校に馴染めない帰国子女。斗六、28歳。高校時代のある事件が原因で外に出られなくなった、本当はイケメン。叔父と姪、それぞれの「問題」を抱えた二人は一緒に暮らすことになる。帆奈はおじさんを立派な大人にするために、恋をさせようと奔走するが…。
トトロみたいな野山じゃなく、こんな寂れていく都市の光景が、俺の美しい故郷だ。僕たちは、たぶん、この団地に囚われてしまったんだ。『東京バンドワゴン』シリーズの著者による、“消された記憶”のミステリー。
ハルとカホは違う小学校に通う、六年生。接点などなかったふたりが、運命のいたずらによって引き寄せられる。心に傷を負った少年、少女、そして彼らを見守る大人たち。それぞれが懸命に、前を向いて歩いていく-。
合唱コンクールの全国大会常連校・七浜高校で、合唱部のソプラノパートリーダーを務める荻野かすみは、自分の歌声とルックスに異常なまでの自信を持つ女の子。ある日、憧れの生徒会長・牧村純一から、写真のモデルを頼まれて有頂天となるが、歌っている顔が「産卵中のシャケみたい」といわれて、すっかり自信を喪失し、合唱へのやる気を失ってしまう。そこに突如、湯の川学院高校“ヤンキー”合唱部の番長・権藤洋が現れて…。