著者 : 山崎ナオコーラ
生まれてからずっと友だちが欲しかった向井アマネは、「女子」でも「男子」でもない小学五年生。ただの人間。学校や集団にうまく馴染まずいつもひとりで過ごすアマネに、ある日、学年一明るくて人気のある陽ちゃんが「女子、みんなで遊ぼう」と声をかけてきた。「女子」という言葉にひっかかりながらも初めて陽ちゃんという友だちを得たアマネは、中学、高校、大学と、出会いと別れを繰り返しながら、少しずつ友だちを増やしていく。その後就職し恋愛ではなく友情から子どもを授かり、やがて老年期を迎えたアマネは、自分の人生を見つめるうちに、生物の種、生や死などの線も超えてあらゆるものと「友情」をはぐくめることに気づいた。世界は優しい。新しい友情小説の誕生!
登山で頂上まで行く? 途中で降りられる? 「『あきらめる』って言葉、古語ではいい意味だったんですってね。『明らかにする』が語源らしいんです」 近所の川沿いを散歩するのが日課の早乙女雄大。 入院中の愛する人との残り少ない日々の過ごし方や、 ある告白をきっかけに家を出てしまった家族のこと、 あれこれと思い悩みながら歩いていると、親子風の二人組に出会う。 親に見える人は何やら思い詰めた表情で「自分の人生をあきらめたい」と言う…。 ふとしたきっかけで生まれた縁だったが、 やがて雄大は彼らと火星に移住し、「オリンポス山」に登ることを決意する…!? 「あきらめる」ことで自らを「あきらかにしていく」-- 火星移住が身近になった、今よりほんの少し先のミライが舞台の新感覚ゆるSF小説。 【編集担当からのおすすめ情報】 山崎ナオコーラさんデビュー20周年に刊行される本作のテーマは「あきらめる」。 現代では一見ネガティブな響きのある言葉ですが、あきらめることで自分の輪郭が見えて、きれいなばかりではない本音や進みたい方向、ありたい姿、自分の限界が「あきらかになっていく」物語です。 何かの頂点に立つことや他者からの評価などをあきらめたときに、登場人物たちに起きる変化は、読者の皆様にもぜひ追体験していただきたいです。 読後に清々しい風が胸に吹き込んでくる長編小説です。ぜひお楽しみください。
芥川賞候補作 島清恋愛文学賞受賞作 死ぬなら、がんがいいな。 がん大国日本で、医者との付き合い方を考える病院小説! ある日、サンドウィッチ屋を営む妻が末期がんと診断された。 夫は仕事をしながら、看護のため病院へ通い詰めている。 病室を訪れるのは、妻の両親、仕事仲間、医療従事者たち。 医者が用意した人生ではなく、妻自身の人生をまっとうしてほしいーー がん患者が最期まで社会人でいられるのかを問う、新しい病院小説。 解説・豊崎由美
芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を! 仕事と経済、カップルでいること……をみずみずしい筆で紡ぐ、新感覚小説! 仕事と経済、カップルでいること……をみずみずしい筆で紡ぐ、新感覚小説! 芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。 決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。 退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。 香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を!
“おばあさん”になりたい、自称68歳の村崎さん、未来でなく“今”を生きたい紫さん、“徐々に”年をとりたいスカート男子・加藤くん。町の公民館の「編み物クラブ」に通う未来は未定!高校3年生の冬ものがたり。
幸福寺の小さな本屋さん「アロワナ書店」。三代目のハッコウは店長とは名ばかりで店内をぶらぶらするばかり、ともに育ったいとこの昼田はIT企業に勤めていた。しかし正月早々大事件が起き、書店は存続の危機に。昼田とハッコウは、二人でゆっくり立ち上がる。自分と世界のつながりを考える、著者渾身の長編。
アロワナ書店は毎朝開店し、客をはじめ、さまざまな人を迎え入れて、夜には閉まる。その日常が壊れた「あの日」を境に、「町の本屋さん」の店長として動き始めたハッコウと昼田の関係は、じわじわと変わっていく。仕事をすること、家族になること、人とつながること。続いていく毎日をゆるやかに更新する物語。
夫を亡くしてひとり暮らしの荻原萩子・五十五歳が抱く、バイト仲間の年下女子・早蕨へのときめきと憧れ。-「反人生」。世界を旅する寅次郎、ユーモアのセンスあふれる桃男。男友だちから新たな感覚を学ぼうとする大沼の行く末は…。-「越境と逸脱」。自由でゆるやかな連帯のかたちを見つける全四編。
芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を!
管理栄養士を目指す大学生は野球選手との結婚に憧れ、 子育てを終えた中年の女性がファッションデザイナーと巡り合う。 引きこもりニートは松田聖子に恋慕し、 その弟は誰に対しても自分から「さようなら」を切り出せず、 兄弟の父親は妻と再会する。 人と接するのが苦手な少女は思いがけず人気アイドルになって、 アイドルの付き人は嫉妬に苦しみ、 三流俳優は枕を濡らす。 植物屋の店主は今日も時間を忘れてサボテン愛に耽る。 年齢も性別も境遇も異なる男女が出会い、恋をし、時には別れを経験する。 「絶対的な恋なんてない」 不格好でも歪でもいい、人それぞれの恋愛の方法を肯定する連作小説集。 人気多肉植物店・叢Qusamuraの店主・小田康平が植物監修を務める。
憧れの人気写真家ニキのアシスタントになったオレ。絶えず命令口調の傲慢な彼女に、オレは公私ともに振り回される。だがオレは一歳年下のニキとつきあうことになる。そして仕事の顔とは全く別の、恋に不器用なニキを知ることになって…格差恋愛に揺れる二人を描く、『人のセックスを笑うな』以来の恋愛小説。
『人のセックスを笑うな』『論理と感性は相反しない』など、時代の空気感を掬い取るビビットな文体とセンスで人気の山崎ナオコーラの中短編集。年配の男性の顔や指の写真を集め、ブログに載せることは罪であろうか? おじさんを研究する二十五歳の女性の視点から、異性を個人ではなく集合体として捉える切なさを描いた「手」。NHKラジオ文芸館で紹介され異例の話題となった、血のつながらない娘と暮らす44歳のサラリーマンが主人公の、『お父さん大好き』など4作を収録。おじさんたちが可愛く思えてくる、ウィットと切なさに満ちたナオコーラ・ワールドが堪能できます(2009年刊の単行本『手』を改題)
十九歳のオレと三十九歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てたーー「思わず嫉妬したくなる程の才能」と選考委員に絶賛された、せつなさ百パーセントの恋愛小説。第四十一回文藝賞受賞作。映画化。