著者 : 山本光伸
ハリウッドの著名なTVプロデューサーが、取材先で事故死した。テレビに毒され、病んでしまったアメリカ文明の実態を記録するため、大陸を横断し、最終地でネットワークの陰の大物にインタビューした直後だった。撮影済みのテープをめぐって、残された妻ジャンヌの周囲は急に騒がしくなった。夫の死に疑念を抱いた彼女はその謎を解くため、夫の足跡をそっくり辿る決心をしたー。
謎を秘めたた取材のテープを手に入れようと、テレビ界の実力者たちの追撃は執拗に続く。皮肉にもTV番組で旅程が公開されることによって、身の安全を保証されながら、ジヤンヌとその同行者は最終地に近づいた。様々な利権が絡むネットワークの醜悪な実態を目にし、気づかぬうちに先入観を植えつけられ操られる大衆の姿を見ながらー。現代文明への鋭い批判を込めた問題作。
イスラエルのキブツに隠遁していたソールは、元モサドである義父が失跡したために課報の世界に戻ることになった。一方、砂漠で贖罪の生活を送っていたドルーは、バチカンの枢機卿の行方不明事件を追及すべく、〈石の結社〉の召喚を受けた。世界各地で、老人たちが次々と謎の失踪を逐げていたのだ。まるで〈夜と霧〉が甦ったかのように-〈夜と霧〉とは、反ナチ分子を恐怖の底に陥れるためのヒトラーの勅令だった。そのナチの悪夢が再び到来したのだろうか?それぞれの失踪事件を追ううちに、ソールとドルーは邂逅する。二人の戦士は手をたずさえ、奥深い陰謀に立ち向かっていくことになるが…?屈指のストーリー・テラーによる、手に汗握る冒険長篇。
1945年4月、ソ連軍に包囲され廃墟と化したベルリンに、SS大佐ギュンター・ブルムが単身パラシュート降下した。彼に課せられた任務は、替え玉の死体を地下豪に残して、総統アドルフ・ヒトラーを無事にベルリンから脱出させることであった。一方、暗号名〈犬鷲〉に率いられたソ連特務チームは着々とベルリンに近づきつつあった。スターリンがベルクートに課した密命は“ヒトラーを生きたまま捕獲せよ”であった!