著者 : 川村二郎
20世紀ドイツ文学の記念碑的小説復刊!古代ローマの大詩人ウェルギリウスの死の直前の18時間を描いたヘルマン・ブロッホの畢生の大作。詩人ウェルギリウスは、アテナイからローマへの帰国の途中ブルンディシウムの港で熱病に侵され、死の思いに耽り詩人としての自分に思い及び、やがて未完の大作『アエネーイス』についてある決断をすることに。現実と非現実、過去と現在と未来、意識と超意識が内的独白で融解していく。1977年発行集英社版『世界の文学』に収録の同書名の復刊し、解説(原田義人)を追加。
20世紀ドイツ文学の記念碑的小説復刊!古代ローマの大詩人ウェルギリウスの死の直前18時間を描いたヘルマン・ブロッホの畢生の作。詩人ウェルギリウスは自らの決断を友人たちに伝え、やがてそれを知った皇帝アウグストゥスが現れる。詩人と皇帝は芸術、詩、生と死について激しく語り合っていく。そしてついに肉体の死を迎える。オーストリア出身でユダヤ系の著者がナチスに拘禁された際の個人的な死の覚悟から、抒情的作品にまで発展させた大作。1977年発行集英社版『世界の文学』に収録の同書名の復刊。
19世紀末より今世紀にかけ戯曲、小説等多彩な作品を書いたホフマンスタールは、ユダヤ人、イタリヤ人、ドイツ人の混った血統と伝統の都ウィーンの文化に育まれた。「チャンドス卿の手紙」は17世紀イギリスの貴族チャンドス卿が友人にあてた手紙という形式をとり、表現とその根底にある認識を追求した作品で、「アンドレアス」と並んで現代小説の出発点である。
屋根裏部屋に隠されて暮す兄妹、腹を上にして池の底に横たわる150匹のメダカー脈絡なく繋げられた不気味な挿話から、作家中田と女たちとの危うい日常生活が鮮明に浮かび上る。性の様々な構図と官能の世界を描いて、性の本質を徹底的に解剖し、深層の孤独を抽出した吉行文学の真骨頂。「暗い部屋」の扉の向こうに在るものは…谷崎賞受賞作。
『枯木灘』『鳳仙花』等の力強い文学的達成のあと、更に新たな表現の地平を拓こうとする果敢にしてエネルギーに溢れた“挑戦する志”。現代の文学を全身で担おうとする中上健次の奔騰凝集しつづける表現の“渦”。
現実界を超え、非在と実在が交錯しあう幻視の空間を現出させる鏡花の文学。その文章にひそむ魔力は、短篇においてこそ、凝集したきらめきを放ってあざやかに顕現する。そうした作品群から、定評ある『竜潭譚』『国貞えがく』をはじめ、絶品というべき『二、三羽ー十二、三羽』など9篇を選び収める。