著者 : 平岩弓枝
江戸幕府の始祖・徳川家康の継嗣・秀忠と浅井長政の娘・江与の間に生まれた千姫は、政略により幼くして豊臣秀頼に嫁いだ。しかし18の春、ついに家康は大坂城に総攻撃をかけ、千姫は速水甲斐守の娘・三帆とともに逃れた。千姫の第2の人生の始まりであったー。動乱の戦国時代に生を享け、数奇な運命に翻弄されながらも、徳川揺籃期の後見として天寿を全うした千姫の情熱にあふれる生涯を描く、長編時代小説。
南町奉行根岸肥前守の懐刀隼新八郎、神道無念流の名手で頭脳明晰、心やさしい好青年だが恋には晩生。あからさまに出来ない犯罪を、密かに探る内与力の役についている。折しも、淀橋と成子坂で2つの殺人事件が発生、さらに、雑司ヶ谷鬼子母神での惨劇に拡大する…。斬新な江戸ミステリー、待望の文庫化。
御目付遠山金四郎景晋の配下、花房一平と、幼友達の町方同心、三枝源次郎は、おたがい住む世界は異なっても、情報の提供などで助け合い、江戸の闇に蠢めく悪の面々が引き起こす事件の数々を、快刀乱麻の推理の冴えで解決する。連作時代推理長編。
妻は海外旅行社の優秀な添乗員。夫は外出嫌いの人気旅行作家。御推察の通り、資料と経験談の提供者は妻である。さて、今日も、それぞれの思惑を秘めた参加者たちと共に、ツアーが出発した。行先はローマ、スリランカ、チュニジア、ニューヨーク他。そして旅先で起こる不倫、嫁姑の確執、殺人事件…。妻の報告に、夫の推理が冴える。練達の著者ならではの異色連作ミステリー集。
この頃、お江戸に流行るもの地震、大水、船幽霊 退治したくば、飛鳥にござれ 花の下なる、平将門 この奇妙な張り紙が、隼新八郎を窮地に陥れる、血なまぐさい事件の発端になった。…江戸に跳梁する海賊の正体は?
遠山金四郎景晋の配下、花房一平は不正を取り締まるため京へ上った。清水寺から町を眺めていると…。表題作他、殺人事件のカラクリに挑む一平の活躍を描いた作品集。(解説・伊東昌輝)