著者 : 幸田露伴
虚空に飛ぶ能力を持った蹴鞠の名人の物語「空飛ぶ大納言」。奇想天外な食物幻想譚「饗宴」。中世室町時代を舞台にして、考証と空想のはざまを自在に往還する「開かずの箱」。夢の中の生と生の中の夢が迷路の中で呼びかわす「土偶木偶」。他全46編。
技量はありながらも小才の利かぬ性格ゆえに、「のっそり」とあだ名で呼ばれる大工十兵衛。その十兵衛が、義理も人情も捨てて、谷中感応寺の五重塔建立に一身を捧げる。エゴイズムや作為を越えた魔性のものに憑かれ、翻弄される職人の姿を、求心的な文体で浮き彫りにする文豪露伴の傑作。
技量はありながらも小才の利かぬ性格ゆえに、「のっそり」とあだ名で呼ばれる大工十兵衛。その十兵衛が、義理も人情も捨てて、谷中感応寺の五重塔建立に一身を捧げる。エゴイズムや作為を越えた魔性のものに憑かれ、翻弄される職人の姿を、求心的な文体で浮き彫りにする文豪露伴(1867-1947)の傑作。
尾崎紅葉と幸田露伴の初期作品各一編「二人比丘尼色懴悔」「対髑髏」について簡潔明解な頭注を付け、ハンディーなテキストとして編集。補注並びに同時代評を付け、巻末には略年譜を添えて読解の便をはかった。
蒼茫と暮れゆく海上,その薄暗い水面にふっと現れてはまた消える細長いもの…。不審に思った釣客が舟をよせるとー。ほかに「骨董」「魔法修行者」など、晩年の傑作5篇をあつめた。
あるときは仙人、戦国の武将を、あるときは宋代の文豪書聖を、生き生きと語って余すところがない露伴史伝の世界。これら諸作には当代文明への痛烈な批評も蔵されている。初期作品の幽幻の俤を残す「観画談」、少年との心温まる釣行を描く「蘆声」をあわせ収める。
明の建文永楽の交、中国を二分して相争ったこの二帝のたどる数奇の運命を軸に、群臣諸将の盛衰を描く一代の雄篇「運命」。一片の盃に人生の来し方を映し出す佳品「太郎坊」。露伴の人間観照を直載に示す諸作を収録。