著者 : 後藤安彦
閑散とした真冬の避暑地ノース・ウォルポールで、ボストンの大富豪ドレグゼル夫人が殺された。そして、明らかにされた彼女の遺書には、巨額の遺産を自然保護団体に遺すことが記されていた。死体の発見者で元新聞記者のマックは、記事の執筆を元依頼され、取材を開始する。夫人が殺されたのは開発絡みなのか、それとも…。大富豪未亡人殺人事件の謎に挑む元新聞記者マックの活躍。
ナチ・ドイツの崩壊を目前にした1945年春。英米軍は西から、ソヴィエト軍は東から、ベルリンに迫っていた。そのソヴィエト軍のなかに密かに〈大天使〉作戦なる計画を企む者たちがいた。〈大天使〉作戦-それは、東部戦線の全ソヴィエト軍を結集してドイツ軍を撃破したのち、その兵力で英米軍を攻撃、いっきょに全ヨーロッパを席捲しようという極秘の軍事作戦だった。作戦の計画文書を手に入れた英国は、ソ連の企みを撃破するため〈守護天使〉作戦を発動する。ドイツの最新鋭機を使って、チェコ領内にいる計画の中心人物シャポシニコフ元帥を秘密裡に抹殺するのだ。かくて密命を帯びた英軍パイロット、クルーズが、戦乱のドイツに潜入する。だが、クルーズはゾヴィエト側に恐るべき最終手段があることを知るよしもなかった。「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリィ」の元編集者が史実をおりまぜて壮大なスケールで描く航空冒険巨篇。
クリスマスを控えてにぎわうマンハッタンに爆破事件が続発した。政治テロか?狂気の無差別殺人か?警察の必死の捜査を嘲笑うかのように犯人は爆破予告を送りつけ、次々と実行に移してゆく。街は恐怖に怯え、マスコミは〈クリスマス爆破魔〉と呼んで騒ぎ立てた。遅々として進まぬ捜査に、責任者のカウフマン警視はしだいに苦しい立場に追いこまれて行くが…。息もつかせぬスリルが横溢する大型警察小説シリーズ第二弾。
スコットランドの石油貯蔵基地に錨をおろしたマンモス・タンカー〈カローリア〉。ペルシャ湾から長途の旅を終え、これから積載した12万トンの原油を積下ろすのだ。だが、見る者を威圧する外観の下では、恐るべき事態が進行していたー。老朽化した船内ではさまざまなトラブルが発生、航海士のミスと偶然が積み重なり、船はまさに壮絶な死を迎えようとしていたのだ。巨大タンカーに潜む危険を克明に描く海洋サスペンス。
ニューヨークのどこかで、ある日、大がかりな犯罪が起こるー16分署署長カウフマン警視が逃亡犯から得た情報はそれだけだった。どこまで信用できるかわからないが、警察としては見過ごすわけにはいかない。非常事態に備え緊急動員作戦〈パンドラの匣〉が立てられた。だが厳重な警戒にもかかわらずメトロポリタン美術館が何者かの襲撃をうけ、高価な名画5点が奪われてしまった!カウフマンはただちにニューヨーク全市に作戦を発令、総力を挙げて未會有の捜査網をしいたが…。壮大なスケールで描くエキサイティングな警察小説シリーズ第1弾。
1940年夏、英国占領を目論むドイツと英国空軍は激しい航空戦を展開していた。その〈英国の戦い〉のさなか、ハリケーン戦闘機を駆る一パイロットの目から空中戦の様相を刻明に描く「アダージオ」をはじめ、ヴェトナムで道に迷った二人のアメリカ兵が辿る奇妙な運命「コーラの飲める基地」、冷徹な撃墜王の姿を通して第一次大戦の空中戦の苛酷な現実を描く「ヴィンターの朝」、戦後再会した大佐と伍長がそれぞれ回想する一台のシャーマン戦車をめぐるエピソード「べつの二人だったに違いない」など、巨匠が13の短篇に戦争の真実を映しだす傑作集。
英国国防省の高官ブラックロック卿が、自宅で何者かに殺された。首を切り取りテーブルの上に置くという残虐な手口だった。国防省に勤務するハリー・セドールは、首相からの命令を受け、調査を開始する。だが、その数日後、ブラックロック卿の屋敷を謎の一団が襲撃する事件が起きた。警備員たちとの銃撃戦で襲撃者は3人死亡、その遺体からセドールは貴重な手がかりをつかんだ。黒い圧力と妨害を受けつつも、セドールは敢然と捜査を進める。やがて、英米仏共同の巨大な陰謀と、悲劇的事件が浮かび上がってきた!注目の新鋭が放つ力作スリラー。
戴冠式を目前にひかえた1902年、国会議員が連続して殺された。さらに、捜査を任されたロンドン警視庁のレストレード警部をあざ笑うように次次と議員が殺されていく。そして、事件を追う彼の前に、死んだはずの名探偵シャーロックホームズの姿が…。ワトソン博士、ホームズの兄、従弟も登場し、事件は意外な方向にー。20世紀初頭のロンドンを舞台にレストレード警部の活躍。
劇場内のボックス席で、バレエ団のワンマンオーナーが殺された。そして、殺害時の状況から犯行が可能な人物は一人に絞られた。その重要容疑者の父親から、息子の無実を証明するよう依頼されたマグナス・ゴールド。しかも今度はバレエ団がモスクワ公演に発つ前に、というデッドラインが設けられたのだ!新本格派の雄が、再び不可能犯罪に挑戦する。
イギリスへ向うフェリーの船室で、劇作家アンソニー・ムーアは殺人事件を目撃した。驚いた彼は事務長に知らせに行くが、戻ってみると船室は空だった。数日後、二つの死体がイギリス南部で発見された。警察の依頼でムーアが確認したところ、それは件の殺人事件の加害者と被害者だった。内務省に所属する二人の男の話では、事件に莫大な額の金が絡んでいるという。不可解な思いに捕われつつも、ムーアは仕事でカナダへ赴く。だがそこにも邪悪な黒い影が迫ってきた!トロント市街と雪の森林地帯に展開する死の計略。新鋭が放つ力作サスペンス。
43日間に及ぶ北極海での調査行を終え、わたしはスコットランドの潜水艦基地に帰還した。情報機関を退き、ロンドンの軍事研究本部に勤務する身には、これも日常の仕事の一つにすぎない。だが昔借りていたフラットに、わたしを装う人物の影が現われ、陰謀好きの右翼政治家が事故に遭うなど、周囲で奇怪な事件が頻発。元上司のドーリッシュやKGBのシュトーク大佐も姿を見せ、背後に謀略の存在を仄めかす。否応なく昔の仕事に引き込まれ、再び厳寒の北極海へ赴くわたしを待ちうけるものは?巨匠が過去を断ち切れぬスパイの姿を哀感をこめて描く。
西側安全保障の中枢といわれる情報機関GCHQ(英国政府通信本部)-その一部局に勤務する息子が不慮の死を遂げた。訃報を聞いた父親のフランクは愕然とした。警察の調べでは、息子はアパートの屋上から墜落死したという。が、数日前の息子の言動からすれば、自殺はありえなかった。疑惑を抱いたフランクは密かに調査を開始するが…。次々と現れる謎、そして彼を脅かす黒い圧力。やがて米英ソ3国の苛烈な情報戦の影がちらつき始めた。全英を揺るがせた機密漏洩事件を題材に、一市民の孤独な闘いを不気味なタッチで描くスパイ・サスペンス!
入ることも出ることも不可能な鉄壁の密室。その中で殺された著名な建築家。その脇に凶器を手にしてたたずんでいた青年ー彼以外にその犯行をなしえた人物はいないはずだった。だが、本人は無実を主張する。この困難な弁護を引き受けたハンスリックは、友人のゴールドにパズルの解明を依頼する。ニュータイプの名探偵が登場する期待の本格推理!
英国の情報機関に属するわたしは、CIAのマン少佐と共にサハラ砂漠に派遣された。ソ連の科学者ベークフ教授を亡命させるためだ。教授は西側の科学情報漏洩の秘密を握っていると見られていた。武装ヘリの攻撃をかいくぐり、熱砂の亡命作戦は成功。意外な漏洩ルートの存在が浮かびあがる!巨匠がスパイ衛星時代に生きる現場工作員の姿を鮮烈に描く。
“もし1941年にヒトラーが英国を制圧していたら歴史はどう変わっていたか?”鉤十字に全土が塗りつぶされた占領下の英国。国王ジョージ6世はロンドン塔に幽閉され、国民は圧政に喘いでいた。治安維持の任にあたるナチ親衛隊は強大な権力を持ち、ロンドン警視庁もその支配を受けている。その中で同殺人課のアーチャー警視に委ねられた事件は、闇物資の取引きをめぐる平凡な殺人と見えた。だが、ベルリンから野心的な親衛隊将校フートが着任、捜査は意外な展開を始める!巨匠が綿密な調査を基に、もう一つの歴史の中で展開するスパイ戦を描く。