著者 : 後藤安彦
スターリンが遺した秘密文書がある。死の直前、個人用金庫の鍵を奪った側近のベリアが中身を持ち出し、ある場所に隠したのだー。モスクワ滞在中の英国人歴史学者ケルソーは、ベリアの警備員だったという老人ラパヴァの突然の訪問を受け、その話に強い興味を覚える。しかしラパヴァはすぐに姿を消してしまった。裏にはロシア情報機関の暗躍が…?歴史の闇をえぐった長編サスペンス。
老人の娘ジナイダの助けを得て、ケルソーはスターリンのノートをついに発見。それはアルハンゲリスクから共産党の命で呼び出され、スターリンの身辺に仕えた少女アンナ・サファノヴァの日記だったが、ページが途中からちぎり取られていた。ケルソーは真相を探るべく、米テレビ局記者のオブライアンとともにアルハンゲリスクを目指す。そこで彼らは恐るべき「亡霊」と出会った…。
驚愕の陰謀、迫るタイムリミット!アメリカ政府を襲う、史上最悪のシナリオ。国防総省で密かに進行するクーデター計画を阻止すべく、元特殊部隊兵がただひとり死力をつくす。元ノンフィクション作家が国防次官も驚嘆させた情報力を駆使して描く、大型スケールのポリティカル・サスペンス。
1965年、アメリカ一のマフィア・ファミリーのボス、ドン・ドメニコ・クレリクーツィオは、自分の身近な血縁にあたる二人の子ども、ダンテとクロスの洗礼式を祝ったのち、声明を発表した。「いまから20年後、われわれはすべて合法的な世界に埋没しているだろう。二人の幼な児は、われわれと同じ罪を犯したり、同じ危険にさらされたりすることはないだろう…」だが、ドンの強大な権力を持ってしても、運命の歯車を止めることはできなかった。クロスの父、ピッピの引退後、ファミリーの“鉄槌”的存在となり、生まれもった攻撃的気質を武器に、自らの野心を高めていくダンテ。ラスヴェガスで育てられたのち、ハリウッド女優と情熱的な恋に落ち、幹部の意向を無視して、映画産業にかかわっていくクロス。ふたりの生きる道は、やがて非情にも交わりはじめる…。
1943年3月、ブレッチレー・パークの暗号解読センターは戦慄した。ドイツ軍の暗号“サメ”が突如解読不能になったのだ。折しも北大西洋上をアメリカの護送船団が航行中。それを狙うUボート大艦隊の動きは闇に包まれた。亡国の危機にケンブリッジで静養していた若き天才暗号解析者トム・ジェリコが呼び戻された。解読に与えられた猶予はたったの四日。ジェリコの孤独な闘いが始まる…。
第二次世界大戦末期、ドレスデン空襲で焼失したとされるクールベの名画「石割り人夫」。この世界的名作が、戦後五十年近くたって突然、現われたという。ロンドンの画商オズワルド・ギンは、名画を売りたい人物がいるとの情報を旧友から入手。だが、その旧友は突然の死を遂げてしまう。オズワルドは謎の売手を探し、ナチの残党が隠れ住む南米へ飛ぶが…。英国の鑑定人が歴史の闇に消えた至宝の謎に迫る宝探しミステリ。
1945年7月16日。最初の原爆実験が行なわれたこの日、「ルーズヴェルトがいってしまった」という謎の言葉を呟く若者が、アリゾナの山中で救助された。50年後、老いた世捨て人となったその若者が所持していた認識票が、ペンタゴンに激震をもたらした。最高優先機密扱いとなっているある事件の死んだはずの関係者の認識番号だったのだ。原爆実験に隠されていた驚くべき秘密とは。アーサー・C・クラーク激賞のサスペンス。
マエストロ・ルイス・パッサウ。世界屈指のオーケストラ指揮者でありながら、ナチやKGBとの関係が噂される謎めいた人物。九十歳を祝う誕生日コンサート終了直後、その襲撃事件は起きた。間一髪のところでそばにいた男がマエストロの命を救う。元英国秘密情報部部員、ビッグ・ハービー・クルーガーだ。身柄の保護を条件とし、指揮者に一切の過去を告白されることにするが…。
生れ故郷のドイツ、一家で移住したニューヨーク、ギャング抗争のさなかに過ごしたシカゴ、そしてハリウッド映画界へー自らの生涯を振り返るマエストロの話は、あたかもアラビアン・ナイトのごとくつづく。一刻も早く老人の正体をつかみたいクルーガーと、あくまで自分のペースを崩さぬ指揮者の熾烈な心理戦。大物スパイ/マエストロの衝撃の真実とは。著者渾身の大作登場。
1944年春、連合軍の反攻を前にして、ロンメル将軍はドイツ軍の防衛計画会議をフランスの古城でひらこうとしていた。イギリス特殊作戦部のマンロゥ准将は、城主の姪アンヌーマリーに会議を探らせようと企てるが、彼女を不慮の事故が襲った。そこでアンヌーマリーの双生児の妹ジュヌヴィエーヴが姉になりすまし、フランスに潜入する。だが、古城で彼女を待ちうけていたのは、恐るべき謀略の罠だった…傑作戦争冒険小説。
アメリカの要人らを乗せた豪華客船ブラック・シーが、シンガポール出港直後ハイジャックされた。犯人は、イスラム王国建設を目指すカリスマ的指導者テンクと海の民たち。附近の海域を知りつくした彼らは、客船をいずこともなく連れさり、見返りに最新の武器を要求してきた。米海軍は捜索のためスチュアート中佐指揮のフリゲート艦デケーターを急派。かくして最新鋭の軍艦と海の民との知力を尽くした追跡線が開始される。
ハイジャッカーたちは、ハイテク兵器を嘲笑うかのように捜索の手をかわしながら、人質を一人ずつ殺害し続ける。デケーターは、彼らの攻撃で艦載ヘリを失い、さらには機関に損傷を受け、航行すら困難に。だがシンガポール当局が犯人グループの一人を逮捕し、しだいに彼らに近づきつつあった。はたして満身創痍のデケーターは人質が全員殺される前に客船を発見できるか?灼熱の多島海に展開する冒険サスペンスの一級品。
冷戦終結後の中東で、ソ連とアメリカの外交使節団が相ついで謎のテロ集団に拉致された。米ソは極秘協定により、ただちに合同の特殊作戦チームを編成、救出作戦の準備に移る。一方、英週刊誌記者のガーリングは、中東支局のスタンセルから、事件が〈審判の天使たち〉なるアラブ原理派組織の犯行であるとの情報を入手。だがその直後、スタンセルは何者かに誘拐され、消息を絶ってしまった。俊英が放つハイテク軍事冒険巨篇。
カイロへ飛んだガーリングは、残された情報を手掛りにスタンセルの行方を追う。イスラエル情報部やエジプト警察、そしてアラブ原理派組織の思惑が複雑に錯綜するなか、やがて彼は事件の背後に横たわる巨大な陰謀を知る。だがそのころすでに米ソ合同特殊作戦チームは、ソ連の情報をもとに、レバノンにあるテロ集団の本拠地にむけ、救出作戦を開始していた。最新の軍事情報をもとに特殊作戦の全貌を描き、絶賛された話題作。
ブルックリンに根を張る大ファミリー、プリッツィ一家。13歳からこの業界に手を染めたチャーリー・パルタンナは、30歳になった今や副ボス兼執行人である。マジメでトッポいチャーリーが一目惚れしたショー・ガールのマーデル。これがなかなか一筋縄ではいかない女だった。一方で、ボスの娘メイローズがチャーリーに惚れたから話はややこしい。恋と義理と人情のマフィアン・コメディー。
最初の探検から18年。タイタニックはいまだ謎を秘め、大西洋の深海に横たわっていた。モンタギューらタイタニック探検を知ったアメリカ大統領じきじきの命令で、新たな探検隊が組織された。アメリカ海軍の全面的支援のもと、モンタギュー、超心理学者のヘニングも加わり、ふたたび金塊回収の試みが開始される。だが、最新鋭の深海潜水服やレーザーを駆使してタイタニックに挑む彼らの前に、またも不可解な出気事が立ちはだかった-。ブリッジの残骸のなかには船員服姿の人影がたたずみ、潜水艇には巨大な魚類が襲いかかってきたのだ。はたして探検隊は船倉から金塊を発見、回収することができるのか?最新の深海探索技術を織り込みながら、悲劇の豪華客船の過去と現在を迫真の筆致で描く冒険巨篇。
クラム・ポンドの畔でバードウォッチングを楽しんでいたフリー・ジャーナリスト、マックは、水底に沈んでいるフォルクスワーゲン・ビートルを発見した。車中にはブラジャーと巻きスカート姿の女の死体。しかもその女はマックが取材する予定の大統領候補と何らかの関わりがあるようなのだ。大統領選をひかえたこの時期、事件はワシントンをスキャンダルの渦に巻きこむのか?
ロシア革命後の国内戦で白軍の最高統治者だったコルチャーク。彼が敗走中シベリア山中に隠したという500トンものツァーリの金塊は今どこに…。アメリカの高名な歴史研究家ハリス・ブリストウは、ある日パーティで一人の女性に出会い、恋に陥ちた。やがて彼は、次の著書に貴重な情報を与えてくれる彼女の伯父代理に会いにイスラエルへ赴く。だが、その老人から聞かされたのは、コルチャークの金塊の意外な運命だったのだ。