著者 : 斎藤澪
小諸久美子は27歳のベテラン看護婦。入院中の市議会議員・岩館が手術直前アレルギーショックで死亡する事件が起き、病院は医療ミスを問われることになった。久美子たち看護婦は巡回時には異常がなかったことを主張。だが、久美子は未明に岩館の病室の前で不審な白衣の男を目撃したことが気になり…。
最果ての地でめばえた炎のような愛と憎しみー青梅の料亭旅館の女将雅代は、年来の愛人である流行作家の麻生と芸者駒太の仲に疑いを抱いていた。そんな折、近くの渓谷で駒太の夫が撲殺死体で発見される。そして今度は、雅代の親代わりの番頭甚助が行方を絶って…。旅情ミステリーの名手が贈る会心の長編。
岬の突端にある「愛の鐘」を鳴らすと、恋が叶うという、西伊豆の名所・恋人岬の駐車場で男の惨殺死体が発見された。殺された宇野原武志は、元愛人で、社長夫人の小牧瑛美を脅迫して金を騙しとろうと企て西伊豆にやってきた。殺害時刻、現場近くに居合わせた三人の男女、保坂真二郎、小牧瑛美、渡部ナオミは大仁警察署の厳しい事情聴取を受けるはめに…。事件解明が進むとともに明らかになる三人の錯綜した愛憎劇。そんな中、古参刑事下村の必死の捜査で犯人像は絞られていく…。
安城沙季は画家を目指す26歳。アルバイトとして中学の臨時美術教師を引き受けた。新しい学校に赴任した直後、先輩美術教師・柴田が石膏の落下によって頭を打った。翌日、沙季も窓ガラスが割れてひたいを切り、入院。その夜、沙季が霊安室の階で奇妙な白衣の男を見た直後、同じく入院中の柴田の容態が急変し、死亡する。病院にまつわるジンクスが招く怪現象の真相は…。
冬の北海道から「花まつりを見に行きます」という絵ハガキを遺して死んだ姉。上着のポケットには一匹の蜂の死骸が…。姉は何を伝えたかったのか?姉の死に不審を抱いた岡田美沙緒は、その足跡をたどって襟裳岬から広尾、帯広へと真相を探る旅に出た。哀切な愛の行方を追うトラベル・ミステリーの傑作。
プロ棋士・真城寺欽弥は金沢支部の大会出席後、新聞記者・苗場とカメラマンの瀬能を誘って越前岬の老舗旅館に冬の名物カニを食べに寄る。その夜、真城寺を訪ねて、おでん屋の女将・睦美がやってくる。睦美を一目見て、瀬能は以前見た覚えがあると洩らす。翌日、気になることを調べたいという瀬能を残して真城寺と苗場は東京へ帰る。だが、二日後、瀬能が小松のホテルで殺されたとの報が入る。事件後、睦美もプッツリ姿を消す…。冬の北陸を舞台に描く書き下ろし旅情ミステリー。
美由紀は愛する夫と2人の息子をもつ平凡な主婦。友人の新居パーティの席上、思いがけず大学時代の不倫が暴露された。いたたまれず飛出した美由樹は、その新居がかつて愛した男の家のそばであることに気づく。だが、懐かしさで訪ねたそこは廃屋となり、一体の地蔵が残されているだけだった-。家庭の幸せに安穏とする主婦が陥っていく蟻地獄の恐怖を戦慄のタッチで描く長篇サスペンス。書下ろし。
小諸久美子は、27歳のベテラン看護婦。葬式の帰りという喪服の4人が、交通事故の重傷患者として運ばれてきた。3人は滝川建設の社員で、残る1人は好意で葬儀場から乗せた男。その男は付添婦・石室嘉代に『金子』と名乗って死亡した。だが、それは偽名で、滝川建設のライバル東丸不動産のエリートだったことが判明。しかも、東丸側は男の行動を否定した。やがて、石室が失踪し、滝川建設の社員が殺される。久美子は石室の子を預かって、事件の解明に挑むのだが-。書下ろし長篇サスペンス・ミステリー。
東京の高級住宅街広尾。児童公園で出稼ぎの地下鉄工事従事者の他殺体が発見された。渋谷署の新米刑事・清水は、現場に残された車輪の跡を手掛りに、営団地下鉄の協力を得て、捜査を開始。その直後、同じ広尾で殺人が発生し、被害者にまつわる意外な証言が、二つの事件を関連づけてきた…。地下鉄道網を舞台にサスペンスタッチで描く長篇推理。
「お前の俳句は盗作だ」人気評論家・鏑木を告発した老人が、二日後ホテルで惨殺された。事件の真相を追う女性誌編集長の砥部進一郎は、疑惑の目を鏑木に向けるが、何一つ確証はでてこない。そして事件直後ロビーから消えた謎の女を追ううち第2の殺人が…。火まつりの地・鞍馬を焦がす真実の炎、驚愕の結末。
東京午前4時。始発直前の地下鉄表参道駅の線路上で、カラスがついばむ男の刺殺体が発見された。シャッターに閉ざされた駅構内は、前夜終電後から完全密室だった。営団広報課員藤林は、構内に入り込んで死体に群がり、忽然と消えたカラスに着目し、解決の糸口をつかんだかにみえた。だが、地下鉄日本橋駅で起った第2の殺人は…。地下鉄ミステリーシリーズの第1弾。
冬景色のパリ。凍てついたセーヌにほど近い地下鉄駅で、日本人ガイドの他殺死体が発見された。東京の営団地下鉄広報課員・藤林章一郎は、被害者が親友の吉屋だと連絡を受けて、急きょ現地へ飛ぶ。そこで、はからずも再会した初恋の女性・亜美…。事件はふたりのめぐり会いをきっかけに、藤林をまき込んで不可解な方向をたどり始める。長篇ミステリー。
柴木俊子はすでに26歳、売れない女優だったが、幸運はある日突然やってきた。テレビドラマでの演技が、映画界の巨匠・神保監督の目に止まったのである。が、出演のため、京都太秦に赴いた俊子を待っていたのは、凄惨な放火殺人であった。元大女優の付き人であり、今は歯科医の妻である道代が殺されたのを契機に、俊子は、14年前に起こったあるスキャンダルに巻き込まれていった…。数奇な運命を辿る大女優と新進女優の葛藤を描く岬の女シリーズ第2弾。
「花まつりを見に行きます」という絵ハガキを遺して死んだ姉・直美。その足跡をたどって岡田美沙緒は北海道を訪れる。冬の花まつりとは一体なにを意味するのか?そして人妻の事故死との関係は?すべての謎が解け、姉の愛した男をさがしあてたとき、美沙緒を待っていたのは、想像を越える慟哭の真相だった。
東京の高級住宅街広尾。雨あがりの児童公園で初老の男性の他殺体が発見された。被害者は、出稼ぎの地下鉄工事従事者。第一発見者となった渋谷暑の新米刑事・清水は、現場に残された車輪の跡を手掛りに、営団地下鉄より派遣されたエリート広報課員藤林の協力を得て、捜査を開始する。その直後、同じ広尾でサラリーマンが殺される事件が発生。その妻の意外な証言から、二つの事件は微妙に絡まりあってきた…。地下鉄道網を舞台に錯綜した人間関係をサスペンスタッチで描く書下ろし長篇推理。
東京原宿午前4時、始発直前の地下鉄表参道駅の線路上で、カラスについばまれた無惨な男の刺殺体が発見された。前夜終電後、シャッターに閉ざされて完全密室となった駅構内での殺人事件だった。地下鉄開業以来60年、前代未聞の出来事に、営団首脳部はエリート広報課員藤林を警察に派遣、捜査の協力にあたらせた。地下の鉄道網に精通する藤林は、構内に入り込んで死体に群がり、そして忽然と消えたカラスに着目、事件解明の突破口をつかむ。だがその矢先、地下鉄日本橋駅で第二の殺人が……。地下鉄道の特殊な構造が生む無気味な闇の中で、恐怖とミステリーが交叉する事件の真相は!?
亡き妻の級友と知り合い、再婚に漕ぎつけた男に降りかかる奇妙な災難を描く表題作ほか、人間心理の深奥を鋭く探り、日常生活のうちに突然生ずる殺意の瞬間を鮮やかに捉える、濃密なサスペンス7編。