著者 : 新井ひろみ
両親を亡くしたロカーナは、伯父夫婦の家で使用人同然の扱いを受けている。慰めは従妹だけで、そのキャロラインに侯爵との縁談が押しつけられた。だが、彼女には幼なじみの恋人がいて二人は挙式前夜の駆け落ちを決意する。時間稼ぎのために、キャロラインから花嫁の代役を懇願されたロカーナは冷酷な叔母から逃げたい一心で了承した。当日は、ベールに包まれた顔で俯きクォーン侯爵と周囲の目を欺き通した。その後、パリへのハネムーンの途上真相を知った侯爵は激怒するが既にロカーナとは正式な夫婦であり、苦慮の末、奇妙な約束を交わしあう…。
両親を亡くしたジャコバは職を探して、ロンドンへ出向く。面接では、スコットランドの老貴族の世話をする仕事だと聞かされ遠路、一人で旅立った。が、実は復讐劇の使者として利用され、裏切りによって女性すべてを憎む伯しゃくと対面するはめになってしまった。罵声を浴び、追い返されかけた際飼い犬にかまれ、負傷したのでやむなく城に滞在することになる。ある日、伯しゃくが密漁者に襲われ意識不明の重態におちいった。ジャコバは、医者から頼まれ伯しゃくの看護を始めたが…。
両親の死後、准男爵の兄ピーターと暮らすヨランダ。ある日、兄が決闘で相手の侯爵を殺してしまった。不利な立場となったふたりは、難を逃れるため、フランスへと向かうが、途中スリにあい一文無しになってしまう。そこでヨランダは一計を案じ、旅行中のイルケストン公爵の召使として雇われる。
時は1812年。ナポレオン軍の侵攻迫るモスクワを離れ、ペテルブルグの知り合いの家に身を寄せていたゾイアは、イギリスからきたウェルミンスター公爵に出会った。ゾイアの弾くピアノの音に、公爵は深く感動し、ふたりはたがいに強くひかれあうのだが、突然ゾイアはモスクワへ送りかえされてしまう。あとを追いかけ、モスクワへ向かった公爵は、途中で重傷を負い、くしくもゾイアの家に運びこまれた。
時は1803年、ヨーロッパ支配を狙うナポレオンの上陸を恐れるイギリス-。アルトン侯爵は、政府中枢部に潜むスパイを発見せよとの命を受ける。公私ともに暗澹たる悩みを抱えながら森をひた歩いているとき、かれは妖精のような不思議な雰囲気を漂わせた、美しい娘に出会う。しかし娘は素性も明かさず、その短い出会いさえも夢であったかのように、忽然と姿を消してしまう。その裏には思いもよらない秘密が隠されていた。
両親を亡くして、1人で暮らすバレッサはその日食べるものにも不自由するほど困窮していた。ある日、落馬してかつぎこまれたサラ・バートン侯爵夫人から晩餐会のゲームに参加してほしいと頼まれる。それはウインドンベリー侯爵にふられたサラが仕組んだ復讐劇だった。
「おまえを第五代ゴールストン公爵に嫁がせる!」父の話はオレサにとって青天のへきれきだった。莫大な財産を相読するはずのアシャースト家のひとり娘だからといっても結婚する相手は自分で決めたい-。そこで、父の決めた相手がどんな男性か自分の目で確かめることにしたオレサは、図書室の目録作りを依頼された司書の娘になりすまして公爵の屋敷にのりこんだが…。
飛行機事故から九死に一生を得たカトリーナは久しぶりにニューヨークに戻ってきた。そこに突然、別れた夫のデイヴィッドが現われた。なぜあなたが…?そういえば墜落するときデイヴィーに会いたいと書いた覚えがある。でも、あれは初恋の人のこと。この横暴な前夫のことではないわ。売れない役者から、今やお昼のメロドラマの主人公として全米の恋人となったデイヴィッドはセクシーに眉を上げてみせた。