著者 : 新川帆立
【罪を犯した「本当は良い子」の少年たち。奪われた命が、彼らの真実を浮かび上がらせる。】 重大な罪を犯して少年院で出会った六人。彼らは更生して社会に戻り、二度と会うことはないはずだった。だが、少年Bが密告をしたことで、娘を殺された遺族が少年Aの居場所を見つけ、殺害に至るーー。人懐っこくて少年院での日々を「楽しかった」と語る元少年、幼馴染に「根は優しい」と言われる大男、高IQゆえに生きづらいと語るシステムエンジニア、猟奇殺人犯として日常をアップする動画配信者、高級車を乗り回す元オオカミ少年、少年院で一度も言葉を発しなかった青年。かつての少年六人のうち、誰が被害者で、誰が密告者なのか?
ある日事故に遭い、頚髄を損傷してしまったひまり。 リハビリを続けるも復職の夢は潰え、一念発起して弁護士を目指す。 鉛筆も握れず、六法全書も開けない。 言葉のみを味方に、果たして司法試験を突破できるのか? 「言葉は私の最後の砦。 言葉がある限り、私たちはつながれる」 おしゃべりと食べることが大好きな33歳のひまりはある夏の日、出張帰りに交通事故に遭い、頸髄を損傷してしまう。意識は明瞭。だけど、身体だけが動かない。過酷なリハビリを続けるも突きつけられたのは厳しい現実だった。「復職は約束できない。できればこのまま退職してほしい」。途方に暮れ、役所で就労支援の相談をすると、すすめられたのは生活保護の申請。 私は人の役に立てるのに、どうしてその力を発揮させてもらえないのーー? ひまりは自立を目指し司法試験受験を決意する。思い通りにならない身体でロースクールに通い始めるが、次々と壁が立ちはだかり……。 落涙必至の、人生応援小説。
野党第一党の高月馨は窮地に追い込まれた。敵対関係にありつつも、ある法案については共闘関係にあった与党議員・朝沼侑子が自殺したのだ。「自分の派閥のトップも説得できていなかったの?法案を通すつもり、本当にあったの?」死の前日の朝沼への叱責が彼女を追い詰めたのではないかと批判が集まり、謝罪と国対副委員長の辞任を迫られてしまう。だが、長年ライバル関係を築いてきた高月には朝沼の死がどうも解せない。朝沼の婚約者で政界のプリンス・三好顕太郎に直談判し、共に死の真相を調べることにー。
最良の離婚、請け負います! 家族はもっと、いろんな形があっていい。新時代のリーガル・エンタメ。夫のモラハラと浮気に耐えられなくなり家を飛び出した聡美が北鎌倉で出会ったのは、縁切寺の娘で弁護士の松岡紬。勢い込んで離婚相談をするも、思いがけないことを言われ……。上手に縁を切る方法、教えます。温かなヒューマンドラマにして、前を向く元気をもらえる、痛快リーガル小説。
収録作 「泣きたくなるほどみじめな推理」 市川憂人 1995年、憧れの従姉を失った私は、彼女の痕跡を探すため東大の文芸サークルに入った。 「アスアサ五ジ ジシンアル」 伊与原 新 地震研に突然届いた1枚のはがき。虹で地震を予知したという「ムクヒラの電報」との関連は。 「東大生のウンコを見たいか?」 新川帆立 東大卒のミステリ作家・帆立は、親友リリーとともに農学部で起きたウンコ盗難事件の犯人を探す。 「片面の恋」 辻堂ゆめ 五月祭の準備中、クラスメートの熱烈な恋を一瞬にして冷めさせた「片面」の意味とは。 「いちおう東大です」 結城真一郎 美しく完璧な妻がまっさきに提示した新居の条件は、「東大が見えるところ」だった。 「テミスの逡巡」 浅野皓生 (東大生ミステリ小説コンテスト大賞受賞作) 卒業生の医師を取材した学生メディア「UTディスカバー」のもとに、彼は人殺しだという告発状が届く。
通称:令和反逆六法ーー 六つのパラレル・レイワ、六つの架空法律で、現行法と現実世界にサイドキック! 「命権擁護」の時代を揺さぶる被告・ボノボの性行動、「自家醸造」の強要が助長する家父長制と女たちの秘密、「労働コンプライアンス」の眩しい正義に潜む闇……。 痛烈で愉快で洗練された、仕掛けだらけのリーガルSF短編集。 【収録短編および各話の架空法律】 ◇第一話 動物裁判 礼和四年「動物福祉法」及び「動物虐待の防止等に関する法律」 ◇第二話 自家醸造の女 麗和六年「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達(通称:どぶろく通達)」 ◇第三話 シレーナの大冒険 冷和二十五年「南極条約の取扱いに関する議定書(通称:南極議定書)」 ◇第四話 健康なまま死んでくれ 隷和五年「労働者保護法」あるいは「アンバーシップ・コード」 ◇第五話 最後のYUKICHI 零和十年「通貨の単位及び電子決済等に関する法律(通称:電子通貨法)」 ◇第六話 接待麻雀士 例和三年「健全な麻雀賭博に関する法律(通称:健雀法)」 【著者略歴】 新川帆立(しんかわ・ほたて) 1991年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年に『元彼の遺言状』でデビュー。他の著書に『剣持麗子のワンナイト推理』『競争の番人』『先祖探偵』などがある。
謎の脅迫状に巨大カルテル、恋の予感も……この業界も私もヤバい。 ドラマも絶好調! 霞が関でも話題沸騰の「公取委」ミステリー。 著者より)全国の働き者に捧げます。仕事帰りの豚骨ラーメンのような一冊です。-新川帆立 公正取引委員会の審査官、白熊楓は、九州事務所への転勤を命じられる。ところが配属先は、前任者が次々と離職しているいわくつきの部署だった。上司のパワハラ、人員不足、慣れない土地での生活に苦しみながらも、内偵業務のエース、常盤とともに、呉服業界の内偵に乗り出す。内偵を進めるなかで、巨大なカルテルの可能性が浮上。本局第六審査長(通称ダイロク)のメンバーたちも博多にやってきて、調査を開始するが……。呉服業界を覆うぶ厚い雲を、白熊たちは取り払うことはできるのか? 『競争の番人』シリーズ第2弾、新天地で開幕! 「法律の描写がファクトに忠実だ」と、公取委職員もうなる物語。担当記者のバイブルにしたい。-毎日新聞社会部 柿崎誠 お仕事小説の真髄は、当該職業従事者ならではの矜持を描くことにある。その矜持──公正取引委員会が「競争の番人」たるゆえんが明かされた瞬間、小説自体がひと回り大きな変貌を遂げた。この小説は、古き良き、今どき新鮮な「正義のヒーロー」を出現させる試みだったのだ。主人公は中央(霞ヶ関)から地方へと転勤したものの、中央の仕事の下請けであらざるを得ないことから、仕事に対し苦悩と葛藤を抱く。そして二転三転する厚みあるストーリーをくぐり抜けた先で、主人公が正義のヒーローへと変身する瞬間が現れる。この変身こそが、『競争の番人』シリーズの最大の快感であるとともに、読者へのメッセージでもある。なぜなら自分なんて「正義のヒーロー」からはほど遠いと思っているあなたもまた、変身できる、と断言してくれるからだ。-書評家 吉田大助 第一章 地方事務所 第二章 古巣 第三章 京都 第四章 下働き 第五章 花火 第六章 東京
ひとりでも寂しくない。 私はもっと、強くなれる。 「あなたのご先祖様を調査いたします」 風子は、母と生き別れてから20年以上、野良猫のように暮らしてきた。 東京は谷中銀座の路地裏で、探偵事務所をひらいている。 「曾祖父を探してください」「先祖の霊のたたりかもしれないので、調べて」など様々な、先祖の調査依頼が舞い込む。 宮崎、岩手、沖縄……調査に赴いた旅先で美味しい料理を楽しみながら、マイペースで仕事をしている風子。 いつか、自らの母を探したいと思いながらーー 大人気作家による「探偵小説」の傑作が、ここに誕生。
弱くても戦え! 『元彼の遺言状』著者、注目の新鋭が放つ面白さ最高の「公取委」ミステリー。 ウェディング業界に巣食う談合、下請けいじめ、立入検査拒否。市場の独り占めを取り締まる公正取引委員会を舞台に、凸凹バディが悪を成敗する! 公正取引委員会の審査官、白熊楓は、聴取対象者が自殺した責任を問われ、部署異動に。東大首席・ハーバード大留学帰りのエリート審査官・小勝負勉と同じチームで働くことになった。二人は反発しあいながらも、ウェディング業界の価格カルテル調査に乗り出す。数々の妨害を越えて、市場を支配する巨悪を打ち倒せるか。ノンストップ・エンターテインメント・ミステリー! 「デビュー2年目の勝負作です。わくわくドキドキ、ちょっぴり身につまされ、不思議と力が湧いてくる。理屈抜きで面白い王道エンターテインメントを目指して書きました。エンタメの幕の内弁当、どうぞ召し上がれ!」-新川帆立
連続ドラマ化決定!『このミステリーがすごい!』大賞受賞作『元彼の遺言状』のヒロイン再び! 弁護士・剣持麗子は今夜も徹夜で謎解きーー寝不足必至のミステリー短編集 亡くなった町弁のクライアントを引き継ぐことになってしまった剣持麗子。 都内の大手法律事務所で忙しく働くかたわら、業務の合間(主に深夜)に一般民事の相談にも乗る羽目になり……。 次々に舞い込む難題を、麗子は朝までに解決できるのか!? 法律相談に運動会(?)に、剣持麗子は今日も眠れない! 第一話 家守の理由 不動産屋の主人が何者かに殺害された。麗子は「武田信玄」と名乗る第一発見者の男に呼び出されるが、男は本名も住所も明かそうとせず……。 第二話 手練手管を使う者は バーでホストの「信長」が殺された。状況からすると店で寝ていたという「光秀」が怪しいが、彼は無実を訴えて麗子に助けを求めてくる。 第三話 何を思うか胸のうち 事務所の先輩弁護士の急死。しかしその状況は一度倒れてから蘇り、その後再び亡くなったかのような奇妙なものだった。 第四話 お月様のいるところ 認知症を患っているらしいおばあさんを家まで送った麗子は、そこで男の首つり死体を発見する。しかもおばあさんは警察署から忽然と姿を消し……。 第五話 ピースのつなげかた 三隣亡の日に瓦の張替えを行ったA家の近隣で、不幸が相次いでいるという。法律でAさんを訴えられないかという相談に、麗子は頭を抱えるがーー。
『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作&シリーズ累計48万部突破、『元彼の遺言状』続編! 彼女が転職するたび、その企業は必ず倒産するーー 婚活に励むぶりっ子弁護士・美馬玉子と、高飛車な弁護士・剣持麗子がタッグを組み、謎の連続殺「法人」事件に挑む! (あらすじ) 山田川村・津々井法律事務所に勤める美馬玉子。事務所の一年先輩である剣持麗子に苦手意識をもちながらも、 ボス弁護士・津々井の差配で麗子とコンビを組むことになってしまう。 二人は、「会社を倒産に導く女」と内部通報されたゴーラム商会経理部・近藤まりあの身辺調査を行なうことになった。 ブランド品に身を包み、身の丈にあわない生活をSNSに投稿している近藤は、会社の金を横領しているのではないか? しかしその手口とは? ところが調査を進める中、ゴーラム商会のリストラ勧告で使われてきた「首切り部屋」で、本当に死体を発見することになった彼女たちは、予想外の事件に巻き込まれて……。
本年度の第19回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作は、金に目がない凄腕女性弁護士が活躍する、遺産相続ミステリー! 「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司・森川栄治が亡くなった。学生時代に彼と3か月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として、森川家の主催する「犯人選考会」に参加することとなった。数百億円とも言われる財産の分け前を獲得するべく、麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する。一方、麗子は元カノの一人としても軽井沢の屋敷を譲り受けることになっていた。ところが、避暑地を訪れて手続きを行なったその晩、くだんの遺書が保管されていた金庫が盗まれ、栄治の顧問弁護士であった町弁が何者かによって殺害されてしまうーー。