著者 : 新津きよみ
何度も、何度も、この胸にこみ上げてくる本当の“わたし”をあなたに伝えたかった。-もっと探して。一生懸命に探して。自分の奥底で眠っていた感情が、うつくしく、しなやかに、呼び覚まされる珠玉の物語。
主婦の典子は、娘との関係がうまくいかないことで悩んでいた。そんなある日、典子のもとに、中学時代の交換日記が届く。差出人の名前はないが、最後に日記を書いていたのは、メンバー四人の中でリーダー格だったハセジュンこと長谷川淳子だった。ところが、テレビで淳子が他殺体で見つかったとのニュースが。一週間も前に殺された淳子が、日記を送れたはずなどない。これは誰かのたちの悪いいたずらか、それとも…。
「わたしにそっくりな女の子がいる」-双葉は医者である恋人・岡崎を家に連れてきた夜、衝撃的な告白を母からされた。「あなたは、非配偶者間人工授精で生まれた子なの」精子提供者は、当時の医学生。母親は岡崎の父親がK大学の医学部出身と知り、心配になったらしい。生物学上の父親を探しはじめた双葉は、愛憎うずまく恐るべき事件に巻き込まれていく…。ホラーサスペンスの書き下ろし傑作長篇。
結婚式を目前に控え、意識不明に陥った中野綾。ささやかな復讐心から、綾に呪いをかけてしまった先輩OL・立川美紀子は、綾が“眠り”に落ちてから、不眠症になった。眠れない女と眠り続ける女。目覚めに必要なのは王子様なのか?婚約者の声にも無反応だった綾が目覚めたとき、口をついた言葉は…。おとぎ話をモチーフに、女性の深層心理を描くサスペンス。
姉の理美が死んだ。家族とは絶縁状態にあった姉が、妹の友美の住所を書いたメモを残して息を引きとったのだ。友美は後始末のために、姉のマンションを訪れた。姉はどんな生活をしていたのだろう。どんな人間関係があったのだろう。姉の死を知らせる必要のある人がいるのだろうか。だが、大都会で、たった一人で生きてきた姉の部屋で、友美は姉の隠された部分を発見してしまった。それは段ボール箱に入れられた幼児の白骨だった…。
結婚を一ヶ月後に控えた藤森岳志は、独身最後の想い出として、悪友とともに山に登ったが、縦走中に転落死してしまう。婚約者の野々村亜衣は、自分がお守りにと首にかけたペンダントが遺体にないことに、不審を抱くがー。一年後、別の遭難場所から、鎖の切れた、あのペンダントが発見された。真相を追う亜衣の身辺で次々と殺人事件が起きる…。長篇旅情ミステリーの傑作。
わたし眠るのが恐いんです。結婚を目前に控えた市川倫子と名乗る女が、量子のカウンセリングルームを訪れた。幸せの最中にある彼女がなぜ悪夢を。量子が倫子の夢を「追見」すると、ある忌わしい記憶が。難事件に挑む三上量子と、彼女を手助けするもと夫の私立探偵・四方晴彦の活躍を描く新感覚サイコミステリーの第一作『浅い夢の記憶』を併録。
「夫は吸血鬼かもしれない」-マタニティ雑誌「プレマム」編集部の布施乃理子あてに不審な手紙が届いた。一方、同じ頃、「プレマム」の元モデルが絞殺され、さらに「プレマム」の読者を巻き込む児童誘拐事件が発生する。不審な手紙と二つの事件には、複雑な人間関係と恐るべき事実が隠されていた…。「現代」の吸血鬼をテーマに、人間の“血”と“愛”を描く心理サスペンスの力作長篇。
女は拳銃に運命を、警官は音楽に人生を賭けた。女は夢みた結婚生活が夫の暴力で破綻し、家を飛び出した。男は警視庁音楽隊でクラリネットを吹いている。違う道を歩んできた二人の人生が、いまアルペジオを奏でる。
「妹を自殺に追い込んだ男・森嶋吾郎を殺したい」と思いつめているステンドグラス作家・羽田野祥子の前に、アイと名乗る謎の人物が現われた。「ぼくがかわりに殺してあげましょうか」…一週間後、森嶋は自宅近くの公園で頭を割られ、死体となって発見された!次の日、祥子は隣に住む主婦・宮脇まゆみに、「わたしにも殺し屋を紹介してほしい!」と頼まれるが…。
夏の暑い日、女子大生の鈴木かおるは、アパートの隣室に無断で入り込んでいた女を殺してしまった。かおるは遺体を処分。完全犯罪を心に誓う。一方、同じく夏の暑い日、サイコ・セラピストの須山久美子は、「わたし、人を殺してしまったんです」という若い女性からの電話を受けた。後日、久美子を指名して、大学生のクライアント、小柳陶子がやって来た。陶子は、「兄を轢き殺した男への殺意が抑えきれない」と言う。久美子のまわりで、暑い夏は次第に複雑な様相を帯びていく。謎めいたクライアント、無言電話、女子大生の自殺、女性のバラバラ死体…。七本の糸が一本に結び合わされるとき、驚愕のドラマが始まる。
あの女だ。あの女に間違いないー。ワイドショーの画面に現れた女の顔を見て、推理作家・庄司桐子は体が震えた。店に押し入った凶悪犯を説得して自首させたその女こそ、十年前、同じように部屋に押し入った桐子の兄を殺しながら正当防衛で不起訴になった丸山志歩美だったのだ。兄の無実を信じていた桐子は、正当防衛に隠された真実を自分の筆で告発しようとする…。書下し心理サスペンス。
郊外のニュータウンの新築の家、その一階と二階に住む二組の若い夫婦の間にくりひろげられるささやかなドラマが、しだいに悲劇の種をはらんでいく…。気鋭の書き下ろしホーム・サスペンス。