著者 : 新津きよみ
夫と義母を殺した罪で、懲役10年の判決を受けた茅野春子。「多重介護殺人事件」として知られるこの悲劇に意外すぎる真相が?(「妻の罪状」)介護、遺産相続、8050問題、終活、夫婦別姓など、今日的な7つの問題をテーマに名手があざやかに描く、ミステリ短編集。変転する家族それぞれの心の機微が行きつく先にあるものとは…結末まで目が離せない!
ある地方都市で起きた放火事件を通して、自意識過剰な人間の滑稽さを見つめた「石蕗南地区の放火」、過食に走った美人の姉と、姉に歪んだ優越感を覚える妹の姿が鬼気迫る「贅肉」。また、事故死したはずの兄が生きているのではないかと疑いを抱いた妹の葛藤を描く「おたすけぶち」など、読んで心がざわつく、後味が悪いミステリー。人気の女性作家六人の、結末が衝撃的な作品を収録したアンソロジー。
仕事がしたい。なのに、あの男は“私の家”に帰ってきて偉そうに「夕飯」だの「掃除」だの命令する…。苛立ちが募る女性作家のもとに、家事を手伝いたいと熱望する奇妙なファンレターが届く(表題作)。嫌いな女友達より、恋人を奪った女より、誰よりも憎いのは…夫かも。あなたが許せないのは誰ですか。第五十一回日本推理作家協会賞短篇部門候補作を含む極上ミステリー七篇。
一千万円を持つ女のもとへ、詐欺の電話がかかってきた。女はどうする?干支十二支が五回めぐって還暦を迎え、生まれた年と同じになるとどうなる?花のお江戸の居酒屋の、看板娘の失われた記憶に何が眠る?グアムで発見された世界的名画が、価値以上の数奇な運命をたどる…。自己破産を狙う女美容師が、なぜか大金を拾った話を始めた…。「銘探偵」が要注目、死者がキャップを閉じたマジックインキを握る理由とは?六つのどんでん返しが、あなたを驚かす。
連作ではなく、単発でしか描けない世界があるー9人の人気女性作家が、それぞれの持ち味を存分に発揮し、今大変注目を集めている「捨てる」をテーマに豪華競作!女性作家ならではの視点で、人の心の襞をすくいとり丁寧に紡がれた9篇は、いずれも傑作ぞろい。さまざまな女たちの想いが交錯する珠玉の短編小説アンソロジー。収録作「ババ抜き」日本推理作家協会賞受賞!
霊感の強かった祖母がくれたお守り。身につけていると様々な災いから逃れられた。そのお守りが盗まれたー。(「お守り」)愛犬を殺されたと主張する主婦がとった手段とは…。(「罪を認めてください」)八つのテーマに沿って、親子、夫婦、友人、近所など、さまざまな関係や状況で起こる「怖い話」や「不思議な話」など八編を収録。書き下ろした四編も入った贅沢な一冊。
幼少期のできごとが原因で男性不信のミサ。幼なじみで同居中のミカの失恋を癒やすために行った台湾で、思わぬ事件に巻き込まれー。(「シェアメイト」)知らない男が勝手に住み着いた母の実家。追い払おうと決意した麻美に起こった悲劇とは?(「おばあちゃんの家」)偶然見つけた、理想的な間取りの邸宅。住み込みで働けることになった女は、執着を強めていく。(「魔取り」)女と住まいをテーマに様々な種類の恐怖を描いた短篇集。
婚姻届を出すのは待ってほしいー彼が結婚を決断しない理由は、思いもよらぬものだった(「二年半待て」)。このお味噌汁は、変な味。忘れ物も多いし…まさか。手遅れになる前に私がなんとかしないと(「ダブルケア」)。死の目前、なぜか旧姓に戻していた祖母。“エンディングノート”からあぶりだされる驚きの真実とは(「お片づけ」)。人生の分かれ道を舞台にした、大人のどんでん返しミステリー。
看護学校の苦学生として看護婦を目指す「わたし」は、自分を支援してくれる“足長おじさん”に想いを抱き始める。しかし、男の語っていたすべてが嘘で、妻との「二重生活」だったとわかり、男と周りの人間への復讐を誓うー。折原一、新津きよみの作家夫婦が初めて共作した記念すべき作品。折原のホラー、新津のサスペンスと二つの要素が凝縮された傑作が待望の復刻。
東京の大学病院に勤めていた内科医の望月美並は、長野県大町市で祖父のあとを継いで警察嘱託医を務めることとなった。ある日、美並に警察から検死要請がくる。遺体は、北アルプスで滑落死したと思われる男性だった。検死が終わり、死体検案書を作成する段階になって、事態は一変、事件の可能性が出てきた。いったい死因は何か。著者渾身のシリーズ、待望の第二弾。
夫をひき逃げで失った浅井久子。夫の命日に事故現場を訪れた彼女の前に現れたのは、交通事故がきっかけで殺された内海政子の幽霊だった。奇妙な幽霊との同居が始まり、次第にわかってきた政子の過去。久子は政子が気になっている娘探しを始めるが、2人の奇妙な接点から事件の真相が明らかに!サスペンスの名手が挑んだ社会派ミステリーの傑作が待望の文庫化。
小学校教師の水川には給食で食べられなくなった物がある。それはうずらの卵。その理由には、彼女の母親のある「奇行」にまつわる、強烈なストレスが関係していて…(「転落ー食前酒」)。智恵子、敦子、真由子の三人は、ある男への復讐を意外な形で遂げようとしていた。彼女らの絶妙なバランスが織りなした、世にも恐ろしい完全犯罪の末路とは…(「男狩りー肉料理」)。男と女と食をテーマに、コース仕立てでお届けする絶品短篇集。
老人福祉施設のデイサービスセンターに勤める純子は偶然、一生忘れようとしても忘れられない女性の担当になった。かつて、純子が小学生の頃、食べきれない給食を無理やり食べさせようとした女のー(『給食』)。「食い物の恨み」はこんなにも恐ろしい!食事にまつわる怖い話を語る女性たちのおしゃべりが次第にエスカレートしていくさまを描いた「怖い食卓」など、「食」と「女」をテーマにした心理ホラーをあつめた短編集。
小学4年生の時に誘拐され、殺害された少女・葛城佐智絵。同級生で佐智絵に恋心を抱いていた郷田亮二は、医学部を卒業して一度は医師なったが、その職をすてて刑事になった。どうしても犯人を突き止めたかったからだ。だが、事件を追う彼の前に「葛城サチ」と名乗る女性が現れる。彼女は殺されたはずの佐智絵にあまりにも似ていた。国際刑事警察機構のエリート駆け出し刑事・郷田が執念で辿り着いた事件の全貌とはー。
夫、息子と幸せに暮らす宏美は9年前に恋人を飛び降り自殺の巻きぞえで失っていた。しかし、時を経て浮かんできたのは、その自殺の裏に隠れていた衝撃の真相だった(表題作「巻きぞえ」)。書下ろし「解剖実習」を含みすべて死体から始まる珠玉の短編ミステリー7編を収録。なにげない日常にこそ潜んでいる恐怖を描く「デイリーサスペンスの女王」渾身の短編集。
亜紀子はある日、見知らぬ女性の訪問を受けた。最後の記憶は、訪問者を玄関に請じ入れたこと。だが、次に気付いたとき、亜紀子は血のついた野球のバットを握り、床に倒れた“自分自身”を見下ろしていた!加害者の姿になって行き場を失った亜紀子は、その女性の持ち物から調べた住所へ、やむなく足を運ぶ。なぜ“私”は彼女に殺されなくてはならなかったのか?対照的な2人の女性の人生が交錯する、サスペンスミステリ。
萌子は、かつて夫だった男と待ち合わせをしていた。折り入って相談があるというのだ。萌子の親友と不倫関係になり、やがて彼女を捨てて親友と結婚した男は、弱りはてた様子で、一度妻と会ってくれないかと持ちかける。仕方なく家を訪れた萌子が目の当たりにした、元・親友の変貌とはー(「尽くす女」)。誰の胸の内にもあるごく普通の感情が、やがて誰かを奈落へ突き落とす。心理描写の名手が日常に潜む闇に迫る、傑作短編集。
弟夫婦の子供、翔が生まれたとき「あら、目元が由希によく似ているわね」と言ったのは由希の母親だった。似ていたのは顔だけではなかった。成長していく翔から、絵の才能を垣間見る由希。画家になることが夢だった由希は、翔に絵の指導をするようになる。次第にその思いは過剰なまでに強くなる。しかし大きく育つ翔から、絵を描く時間が他のものに奪われていき…。他6編、家族の繋がりを様々に描く珠玉の短編集。