著者 : 日和聡子
絵草紙 波風露草玉手箱絵草紙 波風露草玉手箱
「うらしま」海に出たまま姿を消した兄を追って、不思議な甕のなかへと迷い込んだわたし。謎の女に導かれ、たどり着いた竜宮城で待っていたのはー。「蓬莱記」何処とも知れぬ、人里離れた竹林のなかの宮に棲む即氏。午は陰翳のはざまの径を逍遙し、夜になれば異形のものどもが次々と訪れてー。物語と絵で織りなす、魅惑の異世界へ。美しき魔物たちが誘う、二つの絵物語を収録。注目作家と人気画家が贈る、言葉と絵の玉手箱。
チャイムが鳴ったチャイムが鳴った
何も起こるはずはないるいつも通りだ。明日はくる。絶対にくる。平凡な日常が少しずつ失われていくことへの不安に苛まれる多感で繊細な少年少女たちを描く「虹のかかる行町」。帰ってきたはずの子どもが姿を消してしまう「飛光」など、家族と子どもをめぐる四編を収める中短編集。
校舎の静脈校舎の静脈
なかに入るとタイムスリップするという給食運搬用のリフト。毎日屋上からフェンスを越えて飛び降りるとささやかれる安行という謎の男。こことは並行して存在する異世界に思いをめぐらす少女。一見平凡そのものにみえる学校のかげに生じるかすかな綻び…。現実に微妙なズレを感じつつ生きる少年少女たちを描く表題作他三篇。
火の旅火の旅
互いの人生が一度きりのものであることを思うと、拒めなかった-。恋人殿村への思いを激しく抱きつつ、光子はその人生に殿村と同様に深く匕首を刺し込んで来る文学作品の主人公を辿る旅へと立つ。作品は梅崎春生の「幻化」。鹿児島から、熊本、阿蘇へ。火の国を歩く光子が見たものは…。恋愛と文学の炎を重ねる長編小説。
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