著者 : 春田モカ
あるトラウマが原因で教室内では声が出せない“場面緘黙症”を患っている高2の柚葵。透明人間のように過ごしていたある日、クールな陸上部のエース・成瀬がなぜか度々柚葵を助けてくれるように。まるで、彼に自分の声が聞こえているようだと不思議に思っていると、成瀬から突然『人の心が読めるんだ』と告白される。少しずつふたりは距離を縮め惹かれ合っていくけれど、成瀬と柚葵の間には、ある切なすぎる過去が隠されていた…。“消えたい”と“生きたい”の間で葛藤するふたりが向き合うとき、未来が動き出すー。
「君たちが食べた学食に、記憶削除の脳薬が混ぜられていた」卒業を間近にひかえた高3の深青は、担任からそう告げられた。十年間の記憶が、1ヶ月後に消えてしまうのだという。とっさに深青の頭をよぎったのは、あの罪悪感から逃れて、別の人生を歩めるかもしれない…という思いだった。そしてざわめく教室の中、たったひとり静寂をたもっていたのは、クラスメイトの映。端正な顔立ちで成績も優秀、非の打ち所がないけれど他人をよせつけない…そんな彼もまた、人生から逃れたい理由を持っていた。卒業アルバム委員をきっかけに、ふたりは交わることになって…。憶えていたいこと、忘れたいこと、そして、忘れたくても忘れられないこと…記憶と青春を巡る、純愛ストーリー。
余命1年を宣告された、高校生の粋。親や友達ともうまくいかず、無気力になっていた。ある日、同じクラスで大人びた雰囲気の男子・八雲に、自分の余命のことを告白してしまう。すると彼は「前世の記憶が全部残っているんだ」言いだした。どこか飄々としてつかめない彼に、粋はある頼みごとをする。それは、かつて粋が深く傷つけ、亡くなった親友の生まれ変わりを探すことだった。やがてふたりは惹かれ合い、限られた時間の中で切ない恋が始まって…。大切な人に会いたくなる、希望に満ちたラストに感動!
「君を苦しめるどんなことからも、守ってあげたかった」クラスにうまく馴染めない冬香にとって、幼なじみのハルはかけがえのない存在。何度も冬香を救ってくれる彼は、ある日、信じられないことを口にする。「俺、冬香の心が読めるんだ」怖くなった冬香はハルの手を振り払ってーハルは姿を消してしまう。数年後、再会した彼は昔とかわらない笑顔で、みんなの人気者だった。だけど彼が抱えていたものは、とてつもなく残酷でー。次々と明かされていく、胸が張り裂けるほど切ない過去。傷を抱え、もがきながら手繰り寄せた真実が、最後に奇跡となって降り注ぐ。
高校生の詩春には、人が涙を流した回数が見えるという不思議な力がある。5年前のある事件以来、その力が身に付いた。日々泣いた回数が増えていく友達とちがい、無愛想なクラスメイトの吉木の数字だけは「1」のまま。さらに、なぜか彼は詩春に厳しい言葉を投げつけてくる。戸惑う詩春だけど、吉木の言葉にゆさぶられ、だんだん彼の存在が大きくなっていって…。「君は、俺の光だ」お互いを大切だと思うのに、だからこそ近づけない。ふたりを繋ぐ切なすぎる過去と、運命にあらがう結末に、感動の物語。
高校生のサエは、クラスメイトの日向から、「人の心が読める」と衝撃的な告白を受ける。休み時間はおろか、授業中でさえも寝ていることが多いのに頭脳明晰という天才・日向に、サエは淡い憧れを抱いていた。ふとしたことで日向と親しく言葉を交わすようになり、知らされた思いがけない事実に戸惑いつつも、彼と共に歩き出すサエ。だが、その先には、切なくて儚くて、想像を遥かに超えた“ある運命”が待ち受けていた…。
過去の出来事から友達関係に臆病になってしまった琴音は、高校生活を空気のように過ごすと決心していた。そんな時、校内イチモテて、イケメンで成績も抜群だけど、いつもどこか気だるげな瀬名先輩に目をつけられ、「忘れたくないって思える思い出、作ってよ」と強引にお願いされてしまう。瀬名先輩が校内で有名な理由は、その整った容姿だけでなく、大切な記憶だけ保つことができない記憶障害をもっているからだった…。特別な存在になるほど忘れてしまうー切なく苦しく甘い、たった60日間の思い出作り。切なくて苦しくて甘い恋のラストに号泣!
東京で就活に失敗し、地元の京都に呼び戻された衣都。そこで待っていたのは、老舗呉服屋の跡取りで8歳年上の幼なじみ・志貴との政略結婚だった!衣都は反発するが、いきなり1年間のお試し同居が始まる。4年ぶりの再会にもかかわらず、愛情深い志貴との暮らしは穏やかで心地よく、次第に衣都の心も解きほぐれていく。同時に呉服屋の仕事にも夢を見い出し、ここ京都に自分の居場所を見つけるが、やがて“政略結婚”の裏にある思いもよらない事実が明らかになって…!?一途な愛が織りなす、切なくも優しい物語。