著者 : 朝吹真理子
2006年7月〜2007年3月の間、WEBメディア『ほぼ日刊イトイ新聞』に掲載された細野晴臣が実際に見た夢を綴ったエッセイ「夢、それはドリーム…細野晴臣夢日記」。当時掲載された「夢を見た…」で始まる細野晴臣が見た夢の数々。この中から10篇の夢を基に、朝吹真理子、リリー・フランキー、ナイツの塙宣之の3人の著者が短編小説化。細野晴臣×3つの才能がコラボした異色の短編小説集。当時「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載された「夢、それはドリーム…細野晴臣夢日記」全37話も収録。“細野晴臣の夢”を基に各才能がどんな“新しい夢”を紡いでいくのか楽しんでほしい。
恋愛感情も性関係もないまま結婚をした、うみとアミ。高校時代の教室、広島への修学旅行、ともに歩く六本木、そこに重なる400年前の土地の記憶、たゆたう時間ー。ぎこちない「交配」を経てうみは妊娠、やがてアミは姿を消す。2035年、父を知らぬまま17歳になった息子のアオは、旅先の奈良で、桜を見ていた…。待望の芥川賞受賞第一作。
「ときどき何だか恋しくなって、うっかりページをひらいてしまう」(朝吹真理子選「親友交歓」)、「悲嘆にくれながら笑い、怒りながらおどける。背反を抱え、そのまま抱きしめ続ける人」(滝口悠生選「葉」)、「儚くて、かわいくて、切実で」(西加奈子選「皮膚と心」)-三十八歳で歿した太宰の短篇を、七人の現代作家が同世代の眼で選んだ作品選。
ヒト、密書、スーツケース。夜な夜な「よからぬもの」を運ぶ舟頭。雨上がりの水たまりに煙突を視る会社員。漂着した島で船に乗り遅れる女。私はどうしてここにいるのか。女房を殺したような、子どもの発話が遅れているような、金魚が街に溢れている、ようなー。流転する言葉をありのままに描き、読み手へと差し出した鮮烈のデビュー作。芥川賞受賞前夜の短篇「家路」を同時収録。
貴子と永遠子。葉山の別荘で、同じ時間を過ごしたふたりの少女。最後に会ったのは、夏だった。25年後、別荘の解体をきっかけに、ふたりは再会する。ときにかみ合い、ときに食い違う、思い出。縺れる記憶、混ざる時間、交錯する夢と現。そうして境は消え、果てに言葉が解けだすー。やわらかな文章で紡がれる、曖昧で、しかし強かな世界のかたち。小説の愉悦に満ちた、芥川賞受賞作。