著者 : 本間洋一
あなたの知らない日本漢詩の世界が見えてくる! 日本の古典和歌の世界は『万葉集』や『古今集』以下の歌集によって広く知られているが、日本漢詩の世界、ことに古代・中世のそれについてはほとんど一般には知られていない。だが、実はその時代は漢詩が重んじられ詠み継がれていたのだった。天皇・貴族・僧侶・武士といったそれぞれの階層に在った、苦悩する孤独な漢詩人たちの運命とその作品を物語る、日本漢詩に関心のある方にお勧めの一冊。『詩人たちの歳月ー漢詩エッセイー』の続篇、いまここに! 梅花飛乱ー説きがたり平城天皇ー 西府伏魔ー大江匡房と詩人たちー 乱世悲哀ー藤原忠通・頼長・信西ー 禅僧流謫(るたく)-雪村友梅断章ー 碩学(せきがく)孤高ー新井白石ー あとがきー本書を手にされた方へー
日本古代の漢詩人たちの心の一端に触れながら楽しみ味わう、著者初めてのエッセイ集。日本漢詩の世界を旅することをお勧めする一国文学徒の著者が共感を込めて書き下ろした六篇。 悲哀の詩人ー石上乙麻呂ー 詩人天皇ー嵯峨天皇と小野岑守ー 一世風靡ー白居易詩の伝来ー 子を思うー菅原道真ー 栄華の御代にー『源氏物語』時代の詩人たちー 聖女(マドンナ)-傀儡無常ー
本書は、日本漢文学史上の貴重な資料の紹介や江戸時代の文人についての考説、江戸時代の一地方儒家の蔵書目録などから成る。「資料篇」には、菊亭文庫本『本朝小序集』『童蒙綴詞抄』の本文を初めて翻刻・校訂すると共に、簡略な解説、或は略注を付し、林榴岡撰『本朝世説』については、その本文翻刻と共に詳細な出典調査を提示する。次いで、「考説篇」では、中国字書『文字集略』の逸文をめぐる問題を採挙げ、撰者阮孝緒について解説し、また林家の『本朝通鑑』と『史館茗話』の関係について記し、林読耕斎や林梅洞といったこれまであまり採挙げられることがなかった文人の略伝を所収する。ことに彼らの漢詩世界の一端に言及し、先行する平安朝の漢文学との関わりを明らかにしている。また、「目録篇」では、中江藤樹門下で、後には伊藤東涯の学統に師事した、滋賀県高島市(現在)の儒家中村家に伝存する図書の目録と同家の家系譜を所収。地方儒家の学問の一端を窺いうる資料である。 資料篇 『本朝小序集』本文翻刻・付記 『童蒙綴詞抄』についてーー本文と略注ーー 『本朝世説』の基礎的研究と本文 考説篇 『文字集略』抜書ーー逸文の蒐集をめぐってーー 『史館茗話』とその周辺ーー『続本朝通鑑』とのことなどーー 林読耕斎の漢詩覚書ーー王朝文人詩とのことなどーー 夭折の文人ーー林梅洞覚書ーー 目録篇 中村家近江国高島郡五番領村蔵書目録と家系譜 あとがき
平安時代の漢詩の表現世界を追求する十四篇の論考を収めた著者二冊目の論文集。勅撰漢詩集の時代、菅原道真の漢詩の新解釈、「三蹟」と漢詩の世界、院政期漢詩と『白氏文集』、飲酒詩や筧の詩歌などに言及する。
日本文化史、日本政治史に大きな影響を与えた菅原道真。その詩文集である『菅家文草』は、従来その前半の「詩」の部分のみが注釈書として公刊され、儒者の大きな仕事である作文の成果、「文」に関しては纏まった形での注釈書の公刊がなされてこなかった。 そのような状況を受け、最新の日本漢文学・和漢比較文学研究の粋を結集して、『菅家文草』文章の部の全てを注釈する。今後の研究の基盤となる決定版。 第二冊は『菅家文草』巻七に所収される詩序(作文会などで詠作された詩篇に冠せられた散文)を収載。 はじめに 凡 例 序 〈文体解説〉 25 八月十五夜 厳閤尚書授後漢書畢 各詠史 序 26 早春侍内宴 同賦無物不逢春 応製 序 27 仲春釈奠 聴講孝経 同賦資父事君 序 28 九日侍宴 同賦喜晴 応製 序 29 晩冬 過文郎中 翫庭前梅花 序 30 九日侍宴 同賦天錫難老 応製 序 31 早春侍宴 仁寿殿 同賦春暖 応製 序 32 九月尽 同諸弟子白菊叢辺命飲 同勒虚余魚 各加小序 33 早春内宴 侍仁寿殿 同賦春娃無気力 応製序 34 右親衛平亜将率厩局親僕 奉賀大相国五十算宴座右屏風図詩 序 35 閏九月尽日 燈下即事 応製 序 36 三月三日 同賦花時天似酔 応製 序 37 重陽後朝 同賦秋雁櫓声来 応製 序 38 惜残菊 各分一字 応製 序 39 早春観賜宴宮人 同賦催粧 応製 序 40 賦雨夜紗燈 応製 序 41 東宮 秋尽翫菊 応令 序 42 春 惜桜花 応製 序 43 扈従行幸雲林院不勝感歎 聊叙所観 序 44 九日後朝 侍朱雀院 同賦閑居楽秋水 応太上皇製 序 45 三月三日 惜残春 各分一字 応太上皇製 46 未旦求衣賦幷霜菊詩 応製 序 あとがき 注語索引 人名索引
大学・短期大学における漢文講読用テキストとして役立つように編集。六朝志怪篇と唐代伝奇篇から成り、いずれも肩のこらない面白い話を精選。付録には、中国古小説に親しんでもらうための、学習案内・解説約三〇頁付。