著者 : 村上しいこ
戦後80年。今、伝えたい渾身の反戦小説 高校2年生の遙瑠は、ある日自転車事故に遭う。目を覚ますとそこは、戦争の爪痕が色濃く残る昭和の世界。一冊の生徒手帳を手がかりに自分が「浜口晴子」という少女になり昭和33年にタイムスリップしたことを知る。 晴子として暮らし、戦後の時代を懸命に生きる多くの人と関わるうちに、誰しもが苦しみ、悶えぬいた現実を深く実感する。令和の時代を生きる遙瑠にとっては歴史上のことだった「戦争」は、普通に生きる人々を巻き込み、その傷跡は決して癒えることがないものだった。晴子としての想い出もたくさん作り楽しく暮らしていたある日、事故により、また令和の時代に戻ることに。 令和に戻った遙瑠は「未来に生きている自分ができることは何だろう」と戦争への認識を新たにし、「伝える人」として歩みを進めるーー。そして祖父に連れられていった読書会では大きなサプライズが・・・・・・・。 膨大な取材をもとにしたリアリティ溢れる時代描写、生き生きとした昭和の人々の生き様・・・・・・。児童文芸のベストセラー作家が放つ唯一無二の圧倒的な反戦・人間ドラマ。 【編集担当からのおすすめ情報】 戦後80年。証言できる方も減り、戦争が遠い記憶になりつつあります。 だからこそ「忘れてはならない」と声を上げ続ける必要があるし、それがどんなに小さな動きだとしても、動くことが大切だ、と信じてこの作品を今刊行させていただきます。 著者は児童文芸のベストセラー作家。ゆえに大変読みやすく、自然にその世界に巻き込まれて体感できる小説になっています。現代の若い世代にとっては遠い歴史上のことに思える戦争が、いかに「普通の」人々を巻き込み、「ささやかな」幸せな暮らしを打ち砕いていったか。 一人でも多くの方に読んでいただき、「戦争」の絶対悪を感じていただきたい。担当編集として強く強くそう願っています。 一章 令和七年 1 疑惑 2 倉田山高等学校・演劇部 二章 昭和三十三年 1 晴子 2 月給二万円 3 軍艦マーチはたからかに 4 戦後は終わったのか 5 時代のにおい 6 本物のデート 7 日本は勝ったかもしれない 8 歴史を変える 9 伊勢湾新聞 10 ぼくらも今に兵隊さんだ 11 戦争まみれ 12 最後の授業 参照 令和七年 1 五日間の冒険 2 ビビアンリー?
■創作 <「シンデレラ」のその周辺> 「ふたりは、おねえさん」おくはらゆめ(絵本作家) <「桃太郎」のその前> 「みちすがら」大塚健太(絵本作家) <「三匹の子ぶた」のその後> 「こぶたとオオカミ」大前粟生(小説家) <「浦島太郎」のその周辺> 「浦島次郎のゆううつ」村上しいこ(児童文学作家) <「ポリー やかんを火にかけて」のその周辺> 「やかんはうたう」蜂飼耳(詩人、作家) ■表紙 tupera tupera(絵本作家) ■特集『森の歌が聞こえる』刊行記念インタビューーーー 「書くこと。そして森と子どものこと」小手鞠るい(作家) ■読み切り 「文の手紙」櫻井とりお(小説家) 「これはきみへの手紙」佐々木愛(小説家) ■連載 新連載! 童話「りすねえさんのおはなし 1」大久保雨咲(児童文学作家) 対談「本屋さん探訪 2」ブックハウスカフェ/探訪者:しおたにまみこ(絵本作家) 漫画「さんぱつやきょうこさん 65」長谷川義史(絵本作家) 映画コラム「子どもたちによろしく 46」長崎訓子(イラストレーター) 絵エッセイ「日々臆測 20」ヨシタケシンスケ(絵本作家) ■BOOKS 〈絵本〉及川賢治(100%ORANGE)/〈児童書〉安藤由希(児童文学作家)/ 〈YA〉金原瑞人(翻訳家)/〈大人の本〉幅允孝(ブックディレクター) ■表紙 tupera tupera
「お母さん。奇跡は起きないんだよ。だからもう一度、今の家族を見て」四年前、人見由愛が中1の時に兄・典洋は高校でのいじめに耐えられず自ら命を絶った。母の伊代は今も立ち直れず、裁判により兄の無念をはらそうと必死だ。父親はアルコール依存症に陥り、会社生活も惨憺たる状態。家族は崩壊寸前。一方、母の依頼で裁判の取材を進める新聞記者・大同要は、自身のトラウマからこの家族に深入りするようになる。沈みそうな家族を必死でつなぎ止めたい由愛。彼女のもがいた末の選択は?そして、家族は…。迫力の法廷シーン、血の滲むような心の叫び。いじめによる自死遺族の苦悩と葛藤を描く衝撃作。
パティシエになりたいという将来の夢を胸に、高校生活最後の年を迎えた桃子。でもその希望の前に、家庭の事情が大きく立ちはだかる。夢をあきらめられる?それとも?短歌甲子園をめざす高校生たちの青春小説!
新年度が始まり、部員が増えた「うた部」では「今年こそ短歌甲子園出場!」とみんなの目標がひとつになる。クラスが落ち着いた五月、転校生がやってきて、業平に中学時代の記憶が蘇る。それは仲がよかったのに急に話をしなくなった「トキ」だった。野間児童文芸賞受賞作『うたうとは小さないのちひろいあげ』の続編!
高校1年生になった桃子は思いがけなく、短歌を詠む「うた部」に入部する。でも、不登校になったままの親友の綾美に対して部活のことを言い出せない。そればかりか、高校で友達は作らないという宣言までしてしまう。中学時代に起きたある事件に負い目を感じてのことだった。そんなある日の放課後、うた部で短歌甲子園に出場しようという話が持ち上がってー。