著者 : 東郷隆
上州勢多の大親分、大前田栄五郎の客分。文でも金子でも証文でも、一宿一飯恩義の人から、これをこの地の何様に、と頼まれたればひとっ飛び。届けてくれる遊侠道の裏飛脚。まるで韋駄天が仏舎利をお運びになるようだ、とあれが噂の新田の半六。元をただせば侍育ち。些細な事で人を斬り、そいつがケチのつき始め。渡世の義理で東奔西走。刺客を討ち賊徒を殺し、果ては尊皇攘夷の志士までも、相手にまわして刃を振るう。水増しした河の瀬を渡って行くよな危うい暮し。ついた渾名が「瀬越しの半六」。
殺人スカーフを武器に紀元前からインド亜大陸で大量の絞殺を続け、植民地英国軍も震撼させた末、凄絶に滅亡した謎の集団“タグ”がインド史の闇から甦る。平成16年新田次郎文学賞作家、東郷隆の新境地、渾身の歴史奇譚。
開国で揺れる幕末の江戸。御家人悪を自称する青木弥太郎。用心棒に凄腕の攘夷浪人・魁銀次郎を得て、御用盗にも弾みがつく。ひるまぬ豪気と巧みな弁舌を駆使し、異国との交易で富を肥やす商人から軍資金を巻き上げる!胸がすく長篇痛快悪漢チャンバラ小説。
薩英戦争、鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争、西南戦争…激動の幕末・明治を駆け抜けた男、村田経芳。近代「もの作り」の開祖にして、村田銃の開発者。欧米にも知られた名射撃家の波乱の生涯を描く長編時代小説。
無類の刀好きだった秀吉は膨大な量の名刀を収集していたが、中に「にっかり」という不思議な名と由来をもつ一腰があったー。古来、刀は武器としてのみならず邪を祓い、身を守護すると信じられた。ゆえに、武将たちは己の佩刀に強いこだわりを抱いた。知将、猛将と謳われた武人たちと名刀との不思議な縁を描く傑作短篇集。
物売りの声が響く、水の町・江戸。藩屋敷に潜り込んだ浪人や、池の中に人を引きずり込む化生の正体をさぐり、異端の忍術集団「猿者」と戦い、好色絶倫の藩主の義母が愛用した張形や、将軍所望の名刀の行方をさがす。享保の世を伝右衛門が駆ける第2弾。
うずらの番人は世を忍ぶ仮の姿。御三家のひとつ、尾張藩主・宗春の命を受け、幕府の締め付けに逆らう伝右衛門の痛快無比の生き様を描く。江戸の妖術と官能を満載した大長編。享保の世に、こんなに面白い男がいた。
国の財政が苦しい時こそ、贅沢すべし。質素倹約で享保の改革をすすめる吉宗に、唯一対抗し豪奢に暮らす尾張藩は、江戸の敷地内に架空の町を造り出す。町造りから御町見役まで、うずら伝右衛門が引き受けた。
時は慶長年間。飛騨高山城主の嫡男・金森宗和は、京に出て茶人となった。その茶会に訪れる曰くつきの茶人、牢人、幻術師、そしてあやかしの者ども。はかない露の如く美しい茶道具の数々が、血なまぐさい戦場の物語を運んでくる…。謎に包まれた茶人の武将金森宗和を、大坂夏の陣へ向かう合戦絵巻の中に描き込んだ極上の時代小説。
神田和泉橋の五兵衛店に住む締出し松こと松三は、故あっての長屋暮らしだが贅沢三昧。実は大名家お出入りを許された槍屋「槍丹」の息子である。時は幕末、慶応四年、背中の傷を見こまれて上野彰義隊へ入隊、大砲掛を仰せつけられたまではよかったが…。吉川英治文学新人賞受賞の破天荒な痛快時代小説。
バブルで破壊される前の麻布、白金周辺をよく知る人々が慈しんで語る“変な話”。夜桜見物に乗り込んだ水上バスで、髷を結った侍姿の男に話しかけられ不思議な目に逢う「花見の人」、廃業した銭湯に一人残って暮らす三助あがりの元経営者が、昔語りを聞かせる「タイル絵」等、古き良き時代の東京を垣間見させつつ、読者を違和感なくお伽話の世界へ誘い込む、現代の“奇譚”7篇を収録。
汎関東主義秘密結社“NATTO”の殺人組織、駅弁主・幕内弁助ひきいる“KIOSK”が新たな標的に選んだ我らが定吉七番。二重、三重に仕掛けられた罠におびきよせられる定吉、そして芸者桃千代こと赤坂五号こと立穴裕子の命運はー。レトロな赤坂・青山・ロッポンギを舞台に、さあ情無用の立廻り。
上杉謙信が打倒信長に起った。安土を追われた信長は、天下にふたたび覇を唱えるため、南蛮技術を結集して巨大海上要塞を建造、謙信への逆襲に燃える。京都を押さえた謙信、その謙信の意を受ける忍者の暗躍。淡路島のヨーロッパ式城塞を根城とする信長と、彼を狙う暗殺者との息詰まるサスペンス。真の戦国の覇者となるべく両雄の激突が始まった。上杉謙信が死なずに上洛したら…?異色新鋭、東郷隆が壮大な歴史ifに挑戦。前作『信長の野望覇王の海上要塞』につづく歴史if長編第2弾。