著者 : 林真理子
◆あらすじ 「好きでもない女と結婚するのは絶対に嫌だ」「自分たちは宮家に生まれて、あれこれ苦労した」「あの女王さまでは、子どもをお産みになることは出来ないでしょう」--。 さまざまな立場に葛藤する皇族を描いた5つの短編には、読む者を圧倒する”心の内”が綴られる。これまで描かれたことのない、衝撃の短編集。 * 妹の友人に恋焦がれ、ようやく結婚目前まで漕ぎつけた久邇宮朝融王は、彼女にまつわる“ある噂”を耳にし、強引に婚約を破談にした。その後、別の宮家の子女と結婚したものの……(「綸言汗の如し」) 徳川家の若き未亡人・実枝子は、喧嘩の絶えなかった夫・慶久が妾との間に遺した子に愛情を注げず苦悶していた。思い起こせば、あの頃は本当に幸せだったのに。(「徳川慶喜家の嫁」) まもなく結婚の沙汰が下るのではないかというある日、久邇宮家の息子たちは声を潜めて話していた。「内親王はご免こうむりたい」--(「兄弟の花嫁たち」) 九条家の子女・節子は15歳の時に嫁いだ。のちの大正天皇の后(貞明皇后)である。夫は妻を顧みないにもかかわらず子ばかりが生まれ、節子は悲しみに歯を食いしばる。(「皇后は闘うことにした」) 貞明皇后の秘蔵っ子・秩父宮に嫁いだ勢津子もまた、皇后によって選び抜かれた秘蔵の嫁だった。だが、2人の間に子はできず、秩父宮も病を得てしまう。(「母より」) 綸言汗の如し 徳川慶喜家の嫁 兄弟の花嫁たち 皇后は闘うことにした 母より
一章完結形式の新感覚の歴史大作! 日本古典文学史上の名作を、作家林真理子氏が換骨奪胎。「鹿谷の謀議」「一の谷の合戦」「壇ノ浦の戦い」「大原御幸」など、誰もが興味を惹かれる著名な場面、現代人の心に響く部分だけを抽出して鮮やかに再構築しました。スピード感あふれる展開! 美しい情景描写! さらに、平安時代末期の平家源氏皇室を取り巻く、ドロドロとした抗争に翻弄される人々の内面を、丹念に、リアルに描き出した部分は圧巻! 治部卿局、平清盛、平維盛、平敦盛、建礼門院徳子、二位尼時子、後白河法皇、源義経、阿波内侍と、人物ごとに全九章で構成される本作は、一章完結形式なので、前から順番に読んでも、どこから読み始めても楽しめる仕掛け。これまで「平家物語」には興味はあるけれど、前から長々続く展開に“途中で挫折した”という読者も、本作ではグイグイと引き込まれていくことでしょう。歴史ファン、古典文学ファンのみならず、現代小説のような感覚で楽しめる“令和の平家物語”になっています。 “滅びゆくもの皆美しく…。「平家物語」には日本美のすべてが凝縮している” と語る、林真理子氏、渾身の歴史大作、ここに誕生です! 【編集担当からのおすすめ情報】 かつて、「源氏物語」に範をとった小説『六条御息所 源氏がたり』『STORY OF UJI 小説源氏物語』で、平安中期の王朝文学の名作に新解釈を加え、話題をさらった林真理子氏が、今度は平安後期を舞台にする戦記物の名作「平家物語」を再構築して小説化しました。 原典となる古典の「平家物語」では描かれることのなかった、登場人物たちの心情、葛藤、心の闇に大胆に切り込み、細やかに描き上げたところが本作の最大の魅力。章タイトルには入っていませんが、小督、小宰相といった女性登場人物の、せつなすぎる心情描写はさすが恋愛小説の神様といわれる、林真理子さんならでは! 紫式部が主人公の大河ドラマで、平安期の文学に関心が高まる2024年に向けて、平安末期を舞台にした、林真理子氏の歴史大作を、ぜひともお楽しみください!
1861年春。ジョージア州の大農園タラの娘スカーレット・オハラ、16歳。好きなものはパーティーとドレス、男子にもてること、幼なじみのアシュレ。嫌いなものは勉強、読書、深く考えること、戦争の話、まわりの女子。南北戦争の開戦とともに、そんな彼女の激動の人生が幕を開けるー「作家・林真理子」を生んだ名作が、極上エンタメ小説に!
男は世界的な写真家、女は梨園の妻ー生前、桂一は博子に何度も言ったという。「僕たちは出会ってしまったんだ」出会ってしまったが、博子は梨園の妻で、母親だった。「不倫」という言葉を寄せつけないほど正しく高潔な二人ー。これはまさしく「奇跡」なのである。私は、博子から託された“奇跡の物語”をこれから綴っていこうと思う。一生に一度、林真理子が描かずにはいられなかった愛の“奇跡の物語”。
皇族華族の内面をこれほど正確に描ききった小説は 読んだことがない。傑作である。--歴史学者・磯田道史 いつの時代も、高貴な方々の結婚問題はむずかしいーー 梨本宮伊都子妃は、娘・方子女王の結婚相手探しに奔走していた。なかなか身分の釣り合う婿が見つからないのだ……。 方子女王が皇太子妃になる道が潰えた今、方子がみじめな思いをしないように、一刻も早く、良縁を見つけてやらなければならない。 聡明で率直、そして行動力に溢れた伊都子妃は、誰も思いつかなかった方法で、娘の方子女王を〈皇太子妃〉にする道を見つけ出すが……。そのために乗り越えなければならない課題は、伊都子妃の想像を越えるものだった。 高貴なる人々が避けては通れない縁談を軸に繰り広げられる、ご成婚宮廷絵巻が幕を開けます。
着物黄金時代の京都、帯の意匠で一時代を築いたうちの父は、ほんまに立派な人やった。戦中は東条英機はんの私設秘書として飛び回り、戦後の活況で稼いだ財産は、祇園や道楽できれいに使う。あんなに辛い目に遭っても生きてこれたんは、みんな父のお陰や。濃厚な家族の歴史を、きらびやかに描き切る会心作!
“小説「風と共に去りぬ」を読んだことがあるだろうか。私を作家へと導いてくれた小説である。恋あり、三角関係あり、冒険ありと、その面白いことといったらない”(本書まえがきより)世界中で読み継がれるマーガレット・ミッチェルの名作を、林真理子が一人称小説として鮮やかにポップに、現代に甦らせた!パリピ気質で男の子にモテることが大好き、わがままで思慮が浅く、まわりの女子ほぼ全員を敵に回す最強ヒロイン・スカーレット。南北戦争時代のアメリカを舞台に、彼女の波瀾万丈な人生が幕を開けるーとにかく最高に面白い、待望の第一巻!
金持ちなのにドケチな女社長・中島ハルコは、超パワフルなスーパーマダム。そんなハルコのもとには、様ざまな悩み事を抱えた人たちが集まる。恋も仕事もパッとしないフードライターの菊池いづみもその一人。ハルコの核心を突く毒舌と正論で長年の不倫生活から脱却した。最近は、ハルコに何かと用事を言いつけられて…。
理由あって、都会から実家に戻った「私」は、年老いた母とペットのマルチーズと暮らしている。時どき立ち寄るペットショップの女主人・中山圭子は、犬や猫をあやしながら、さり気なく飼い主から話を聞き出すのが得意。圭子のもたらす情報が、「私」のどす黒い過去を甦らせるー。女が本当に怖くなる11の物語。
誠実だが真面目で性に対しても淡泊な薫と、好色で不誠実だが女性に優しく情熱的な匂宮。光源氏の血をひく、二人のイケメン貴公子の間で翻弄される女、浮舟の揺れ動く心と、愛欲におぼれゆく様を、恋愛小説の名手、林真理子がリアルに、執拗に描き切った問題作。恋愛小説の原初として、千年以上にわたって読み継がれてきた「源氏物語」の中でも人気の「宇治十帖」部分を大胆に新解釈。甘やかな恋心と若き男達の恋愛ゲーム、世紀を超えた二股愛の衝撃的末路は!?濃密な性愛描写とスピード感に読み始めたら止まらない!林真理子版「小説源氏物語」、ここに完結!
大手医薬品メーカー九代目、久坂隆之は53歳。副会長という役職と途方もない額の資産を与えられた素性正しい大金持ちで、シンガポールと東京を行き来し、偏愛する古今東西の書物を愛でるように女と情事を重ねる。スタンフォード留学中に知り合った友人、田口靖彦は老舗製糖会社の三男。子会社社長という飼い殺しの身が、急逝した妻の莫大な遺産により一変。家の軛から自由になるために、女からの愛を求め、京都で運命の出逢いを果たす。時代の波に流されず、優雅で退嬰的な人生をたゆたう男たちが辿り着いたのはー。
湖のある街で老舗和菓子屋に嫁いだ朝子。浮気に開き直る夫に、朝子は告げた。「店を持ちたいの。本格的なフランス料理店を」。自分の野望に戸惑いながらも、東京の建築家・大和田に店舗設計を依頼した朝子。順調に滑り出すかと思われた矢先、大和田と訪れたレストランで夫の愛人に遭遇してしまう。揺れる朝子に、大和田は大胆に迫り、ついに二人は一歩踏み出してしまう。だが、地方の名家には周囲の目が張り巡らされていたー。
朝子の不貞に競り合うかのように、「みずうみ会」の婦人仲間・文恵は、街に招聘した作家・加藤に甘え迫った。二人の噂に自分達を重ね、怯える朝子。だが建築家の大和田はさらに大胆に踏み込んできた。開店するレストランのシェフの面接を理由に箱根を訪れた二人だったが、朝子の夫や友人の文恵の存在が恋愛感情に影をもたらしー。都会と地方、男と女、家庭生活と自立のめくるめくドラマをみずみずしく描いた傑作恋愛長編!
ミス・ユニバース日本事務局で働く由希のボスは、NYの本部から送り込まれた美の伝道師エルザ。愛車ジャガーで都内を飛び回り、メディアにひっぱりだこの強烈な個性を放つ人物だ。彼女の元に選りすぐりの美女12名が集結し、いよいよ運命の2週間が開始。苛酷で熾烈なキャンプで嫉妬に悶え、男に騙され、女に裏切られ。そして最後に残るのは?
幕府と朝廷の関係にも動乱の機運が高まる十二代家慶の治世。一条家の美しき姫美賀子は、英邁の噂轟く一橋慶喜に嫁いだ。「わしはどんなことになっても将軍になどならぬ」信念を曲げない夫の奇矯な振る舞いに翻弄される美賀子は、ある哀しい決意を抱く。幕末の新たな一面を描ききる、傑作大河小説を文庫化!
尊皇派と攘夷派の対立が深まり、自ら上洛して幕府方の指揮を執る慶喜は、「二心どの」と罵られ苦境に立っていた。混乱の中、遂に将軍職に就いた夫と御台所になった美賀子。鳥羽伏見の戦いで敗走した慶喜の心中には、日本の命運を左右する決断があった。歴史の深淵に立ち会った女たちが語る幕末、渾身の完結編。
中島ハルコ、52歳。本音で生きる会社経営者。金持ちなのにドケチで、口の悪さは天下一品。嫌われても仕方がないほど自分勝手な性格なのに、なぜか悩み事を抱えた人間が寄ってくる。高学歴ゆえに結婚できない、不倫相手がお金を返してくれないといった相談を、歯に衣着せぬ物言いで鮮やかに解決していく痛快エンタテインメント!