著者 : 柴田よしき
頭の中に反響する声…それは、過去から運ばれてきた聞こえるはずのない「声」。ドメスティック・バイオレンスから逃れ新しい人生を歩きだした杏子の抱える闇が残留思念と共鳴したとき、時間の底に眠っていた冷たい真実が浮かび上がる!特殊な能力を持つが故の苦悩を静謐なタッチで描いた連作ミステリー。
新宿二丁目で無認可だが最高にあったかい保育園を営む男・花咲慎一郎、通称ハナちゃん。慢性的に資金不足な園のため金になるヤバイ仕事も引き受ける探偵業も兼ねている。ガキを助け、家出娘を探すうちに巻きこまれた事件の真相は、あまりにも切なかった…。稀代のストーリーテラーが描く極上の探偵物語。
不倫を清算し会社を辞めた紗季は、夜の公園で男の死体と「不思議の国のアリス」のウサギを見る。果たして幻覚か?引越したマンションで、隣人の老婦人のお節介に悩む紗季に元不倫相手が自殺したという知らせが。一方「アリス」をモチーフにした奇妙なメッセージによって、十五年前のある事件の記憶が蘇る。
別れて10年たっても陽介を想う綾。司法浪人生の歌義を捨て別の男の婚約指輪を受けたまり恵。中学の同級生だった4人の心模様をめぐるように、古都京都のさまざまな風物を彩りに展開する事件の数々。甘酸っぱくもひたむきな恋の行方と、青春からの飛翔!ちょっとミステリなせつない青春小説。
若い男性刑事だけを狙った連続猟奇殺人事件が発生。手足、性器を切り取られ木にぶらさげられた男の肉体。誰が殺したのか?次のターゲットは誰なのか?刑事・緑子は一児の母として、やっと見付けた幸せの中にいた。彼女は最後の仕事のつもりでこの事件を引き受ける。事件に仕組まれたドラマは錯綜を極め、緑子は人間の業そのものを全身で受けとめながら捜査を続ける。刑事として、母親として、そして女として、自分が何を求めているのかを知るために…。興奮と溢れるような情感が絶妙に絡まりあう、「RIKO」シリーズ最高傑作。
1975年、渋谷。ロックの熱狂が鳴り響く街に16歳のノンノはいた。親友チアキはバンドの道を突き進む。ノンノは自分に似た少女ナッキーと出会い、惹かれ始める。それぞれの青春は光に満ちていった。しかしそこに見えない影が差す。不可解な出火事件。焼け落ちたノンノの家からは二つの焼死体と一人の記憶を失った少女が発見された。21年後、既に時効になったこの事件をたったひとりで堀り起こす刑事がいた。そこにはあまりにも意外な真実が…。宿命に操られる少女達ふたりの魂の謎を追い、青春と人生の哀歓を描いた、横溝正史賞受賞女流の新感覚ミステリ。
大地震と、人の生き血を吸う妖怪たち。十万人を越える死者が出た京都大災害の1年半後には、琵琶湖の湖底からホタルに似た巨大昆虫が人々を襲い、テニアン島が空を飛んで、京都上空に浮かんでいる。いまや町は危機管理委員会の支配下にあった。黒き神々の手先はあらゆる機関に入り込んでいる。未曾有の災厄に立ち向かい、いったん死んだものの、貴船神社の龍神から、命を授かった地質調査技師の木梨香流は恋人の真行寺君之とともに、時空の裂け目にある闇の牢獄に部屋ごと封じ込められていた。大異変が始まった…。
無認可保育園の園長にして、ヤバイ仕事も引きうける私立探偵。ふたつの顔を持つ主人公が、裏社会に生きる男と女の欲望の海に立ち向かった!新宿の夜を走り続けろ!眠れない男の新・探偵物語。
一児の母となった村上緑子は下町の所轄署に異動になり、穏やかに刑事生活を続けていた。その彼女の前に、男の体と女の心を持つ美人が現れる。彼女は失踪した親友の捜索を緑子に頼むのだった。そんな時、緑子は四年前に起きた未解決の乳児誘拐事件の話をきく。そして、所轄の廃工場からは主婦の惨殺死体が…。保母失踪、乳児誘拐、主婦惨殺。互いに関連が見えない事件たち、だが、そこには恐るべき一つの真実が隠されていた…。ジェンダーと母性の神話に鋭く切り込む新警察小説、第二弾。
男性優位主義の色濃く残る巨大な警察組織。その中で、女であることを主張し放埓に生きる女性刑事・村上緑子。彼女のチームは新宿のビデオ店から一本の裏ビデオを押収した。そこに映されていたのは残虐な輪姦シーン。それも、男が男の肉体をむさぼり、犯す。やがて、殺されていくビデオの被害者たち。緑子は事件を追い、戦いつづける、たった一つの真実、女の永遠を求めてー。性愛小説や恋愛小説としても絶賛を浴びた衝撃の新警察小説。第十五回横溝正史賞受賞作。
京都を襲った未曾有の大災厄から10カ月。大火災に始まり、人を襲う妖怪たちに蹂躙され、逃げまどった恐怖もようやく薄れ、人々も街も再建に忙しい。地質調査会社の技師・木梨香流は、あの事件の渦中に離れ放れになった恋人・真行寺君之を偲んで悲しみに浸ってはいられなかった。君之は紅姫によって時のはざまに連れ去られたらしい。…サイパンのジャングル内の洞窟で、妙なものが見つかった。象牙色の皮をなめしたようなものの上に見たこともない文様が並んでいる。それが『アルルの謎文字』であることが分った時…。