著者 : 柴田よしき
鉄道の旅を愛し、突然姿を消した叔父。そのゆくえを探し、一心に列車に乗り続ける香澄だが、いつしか各駅停車旅の醍醐味を味わっていた。京急の歌う電車に秘めた技術者の願い、南阿蘇鉄道で出会った美しい蝶、小海線の大カーブをめぐる考察…やがて、新たな情報に導かれ、今なお震災の爪痕が残る東北へ向かうことになるのだがー線路がつなぐ人々の想いが心揺さぶる、鉄道旅ミステリ第二弾!文庫オリジナル。
四十九院香澄は、大学入学と同時に「鉄道旅同好会」の扉を叩いた。根っからの鉄道好きが集うこの会に入部して、三年前に起きたある事件の真相を探りたいという切実な動機があったのだ。こどもの国線、氷見線、飯田線ー列車に揺られ、旅先で出会った人々と話し、土地の名物を味わううち、鉄道に興味のなかった彼女が、ゆっくりと変わりはじめる。読めば旅に出たくなる、叙情豊かな鉄道ミステリ第一弾。
新宿にある無認可保育園の園長・ハナちゃんこと花咲慎一郎の副業は探偵だ。十五年前に二回会ったきりの男性を探したり、逃げたインコを見つけて欲しいなど、一筋縄ではいかない依頼を受ける花咲の目の前に、箱に入れられた赤ん坊がー。弱き者をほうっておけない優しき探偵を描く人気シリーズ第4弾。
日本プロ野球のチームに、女性選手が入団。東京レオパーズ所属の楠田栞は、左腕で下手投げの中継ぎ投手。客寄せパンダと陰で囁かれつつも、同僚で親友の早蕨麻由と励まし合いながら、野球に恋に奮闘している。ある日栞は、臨時コーチの雲野と出会う。雲野は言う。おまえの恵まれた体と素質を活かせ、一流になれ、と。女性投手では前例のない、ある目標のための特訓が始まった…。
「わたしの宝石を担して貰いたいの」刑事を辞め私立探偵として独立した麻生龍太郎に、奇妙な依頼が舞い込んだ。東京地検の元検事で弁護士を営む早坂絹子とは旧知の仲だったが、叔母から譲り受けた指輪が盗まれたという。唯一の手がかりである叔母のかつての婚約者を訪ねた麻生は、やがて予想外の事実に突き当たり…(「CARRY ON」より)。麻生龍太郎と山内練の宿命ー「RIKO」シリーズへと連なる魂を揺さぶる連作ミステリ。
上司との不倫に破れて自暴自棄になっていたあたしは、平安時代にタイムスリップ!女官・小袖として『源氏物語』を執筆中の香子さまの片腕として働き、平安の世を取材して歩くと、物語で描かれていた女たちや事件には意外な真相が隠されていたー。ミステリーをはじめ幅広いジャンルで活躍する著者の新境地。
警視庁捜査一課勤務の刑事・黒田岳彦は、ある事件の捜査でI県警上野山署捜査課係長・小倉日菜子と出会う。過疎の村で働く日菜子は警官の夫を職務中に亡くしている未亡人で、東京に対して複雑な思いを抱いていた。捜査が進むなか岳彦と日菜子は少しずつ心を通わせてゆくが、あらたに起きるさまざまな事件が、ふたりの距離を微妙に変えていって…。異色の連作短編集。
「そろそろ時間切れです。心の準備をして下さい」。メイに差出人不明のメールが届いた日から、夫は別人のように変わってしまった。しかも夫はその後、殺人容疑で逮捕される。続発する事件と過去とが繋がったとき、思いもよらぬ真相が明らかに。震災後の神戸を舞台に、愛の再生を描いた傑作長篇ミステリー。
京都。修学旅行でグループ行動をしていた七人の中学三年生。知恩院に向かうバスで、その中の一人の女生徒・小野寺冬葉が忽然と消息を絶ったー。二十年後。三十五歳となった六人に、突然、失踪した冬葉からメールが送られてくる。「わたしを憶えていますか?」運命に導かれて再会した同級生たちに、次々と不可解な事件が襲いかかる…。
十五歳の記憶の中の少女はいつも哀しげにフルートを吹いていた。冬葉は生きているのか?彼女が送ったメッセージの意味は?離婚、リストラ、薬物依存、不倫…。過去の亡霊に、次第に浮き彫りにされていく現実の痛み。苦悩しながらも人生と向き合う、六人の三十五歳の闘い。「今」を生きる、すべての人に贈る、渾身のサスペンス・ミステリー。
老人問題、人口減少、整形、自殺、ドラッグ…“現代の闇”が凝縮された世界、それが2031年東京。私立探偵サラのもとに舞い込む様々な依頼。周囲の誰もがいなかったものとして口を閉ざす姉の捜索。関わる人間が必ず自殺する美しき死の天使。食欲喪失により死に至るドラッグ…。調査の過程で、サラにも魔の手が。彼女の奥底に眠る9.11の記憶を呼び起こした才賀医師は悪魔なのか…。
私、高遠寧々、28歳。実はコネ入社だけど、いちおう大手出版社経理部勤務。彼氏なんていなくても、気の合う同僚もいるし、お気楽な一人暮らしを満喫中。でも、そんな平凡な日々にも、不倫、パワハラ、社内イジメなどなど、いろんな事件は潜んでてー。「やってられない」本音満載のワーキングガール・ストーリー。
人情溢れる下町を奔走する新米刑事・麻生龍太郎、25歳。誰の目にも日の当たる道だけを歩んでいるように映る龍太郎だが、人には明かせない秘密があった…。ベストセラー「緑子」シリーズの人気キャラクターの過去が初めて明らかに!人情溢れる下町を奔走する新米刑事の内面に迫った連作警察小説。
東日本連合会春日組大幹部の韮崎誠一が殺された。容疑をかけられたのは美しい男妾あがりの企業舎弟…それが十年ぶりに警視庁捜査一課・麻生龍太郎の前に現れた山内練の姿だった。あの気弱なインテリ青年はどこに消えたのか。殺人事件を追う麻生は、幾つもの過去に追いつめられ、暗い闇へと堕ちていくーベストセラー「RIKO」シリーズから生まれた究極の魂の物語、ついに文庫化!上巻に本書サイド・ストーリー『歩道』を書籍初収録。
聖なる日の夜、一体何が起こったのか。ひとつの事件を通して暴かれていく麻生龍太郎と山内練に秘められた壮絶な過去。さらに事件は新たな殺人事件を招き、人間の愛憎、傲慢、悲痛な魂の叫びを曝け出していく。二人はこの暗黒の絶望の淵で何を決断したのか。息をもつかせぬストーリー、幾重にも張られたミステリ、そして人間の罪と罰を描破した孤高の大長編!!下巻に本書サイド・ストーリー『ガラスの蝶々』を書籍初収録。
京都。修学旅行でグループ行動をしている、東京から来た七名の中学三年生。知恩院に向かうバスで、その中の一人の女生徒、小野寺冬葉が失踪し、消息を絶ったー。二十年後。三十五歳となり、それぞれの毎日を懸命に生きるグループのメンバーに、過去の亡霊が甦る。「わたしを憶えていますか?」突然、送られてきた冬葉からのメール。運命に導かれて再会した同級生たち。彼らに次々と降りかかる不可解な事件。冬葉は生きているのか?そして、彼女の送るメッセージの意味とは…?「今」を生きるすべての人に贈る、渾身のサスペンスミステリー。
37歳女性、入社15年目、独身バツなし。ついでに恋人・人望ともにナシ…。ですが、それが何か?働く女の本音と弱音をリアルに描いた、本格「負け犬」小説、誕生。