著者 : 柿沼摩耶
また、あなたの名を呼ぶ日がくるなんて……。 かつての恋人同士が織りなす愛憎の再会物語! 不動の人気テーマ“愛の復活”を描いた再会ロマンスの名作2編を集めました。長い年月を離れ離れに送ってきた元恋人同士の二人が再び燃やす恋の炎は、苦悩や後悔や未練などさまざまな思いや感情に彩られ、読み応えたっぷり。豪華アンソロジーをご堪能ください。
プロポーズは命令。 愛は、予想外の報酬だった。 「私がーーザラの代わりに、セルギオスと結婚を?」 父の非情な要求に、ビーの心は大きく揺れた。 破産寸前の事業を救うため、差し出した美貌の妹が拒まれると、 次に父が選んだのは地味な姉だった。 「おまえからあのギリシア人にプロポーズするんだ」 半ば脅され、やむなくビーはギリシアの富豪に会いに行く。 どうせ私は選ばれない。そう思っていたのにーー 黒髪のハンサムな彼は金色の瞳を光らせて言った。 「教師の君はザラよりいい母親になりそうだ。検討しよう」 低く響く声が、ビーの胸の奥を妖しく震わせた。 ビジネスのように結婚を受け入れたヒーローと、思いもよらぬ展開にあわてるヒロイン。しかも愛人との関係は続けるという衝撃的な条件を出され……? 運命に翻弄される三姉妹を描く、ミニシリーズ〈予期せぬプロポーズ〉。最終話『愛人を演じて』に続きます。
薔薇の罠にかかった惨めな私を、 いつかあなたは愛してくれるの? スージーのみすぼらしい部屋に、目も覚めるほどハンサムな男性が 100本の薔薇を抱えてやってきた。「金目当ての女性はお断り。 結婚にも興味はない。だが、なぜかきみに興味がある」 セルジオ・ブージ──世界的企業を率いる大富豪の彼とは、 2週間前にレストランで出会い、熱く誘惑されたものの、 財産狙いの下品な女だと決めつけられ、追い返されたのだった。 今さら何を言っているの? 失礼すぎるわ。スージーは怒ったが、 彼の魅力に抗えず、愛のない秘密の関係を受け入れてしまう。 2カ月後、スージーは思いがけずセルジオの子を身ごもった。 彼の義務感からの求婚に喜びは一瞬で消え、虚しさが募って……。 冷たい家庭に育ったヒロインが何より求めているのは、愛し愛されること。夫となったヒーローに片想いしたままの結婚生活にピリオドを打とうとしたとき、奇跡が起きて……。キャシー・ウィリアムズが描く、心を揺さぶる切ない名作ロマンスです。
『悲しい約束』母を事故で亡くし、失意のどん底にいた看護師デイナ。心機一転するために退職した彼女は、一時的に失明した大富豪ギャノンの看護を住み込みで引き受ける。彼は獅子のように気高く傲慢な反面、どこか憎めない男性だ。扱いづらさに手こずりつつも、気づけばデイナは恋をしていた。そんなある日、ギャノンの主治医から非情な診断が下される。彼の視力が戻る見込みは、ゼロに近いというのだ!打ちひしがれたギャノンは自暴自棄ぎみにデイナにすがった。僕と結婚してくれー愛は誓えないが、そばにいてほしい、と…。『命の芽吹くパリで』妹と母を相次いで失ったイモジェンは、さらなる悲劇に襲われる。不治の病で亡くなった母と同じ症状が出始めたのだ。死を覚悟した彼女は残りの人生を楽しもうと憧れのパリへ向かう。そこで知人を介して上流階級のパーティに潜入して、大富豪ティエリーと出逢い、燃えるような一夜を過ごした。彼と満ち足りた2週間を過ごしたあとで彼女はパリを去るが、母国へ帰る間際、予期せぬ妊娠に気づいて動揺する。なんという運命のいたずら。余命わずかな私が新たな命を授かるなんて!悩んだ末、ティエリーに打ち明けるが…。
父の会社が乗っ取られ、困窮したライアは 友人である年上の伯爵の厚意で、形だけの結婚をした。 やがて亡き夫の遺産を相続したライアは舞踏会で 浅黒い肌の野性味溢れる豪腕実業家、ロアーク・ナバーラと出会う。 大胆不敵にも彼は、ダンスフロアの真ん中でライアの唇を貪欲に奪った。 「君が欲しい」彼女の体をしっかりと抱きしめ、ささやく。 ライアは心ならずもキスに溺れたーー誰あろうロアークこそが 父の会社を奪った張本人だと知るのは、バージンを捧げたあとだった。 1年半後、ライアは結婚式会場でロアークと再会。 娘のルビーが彼の子だと知られてしまい……。 名実ともにロマンスの新女王として、ハーレクイン・ロマンスのトップ作家の座に躍り出たジェニー・ルーカス。大人気のシークレットベビーがテーマの本作では、愛をくれないヒーローを愛したくないのに愛さずにいられないヒロインの切なさが胸に迫ります。
両親が事故死し、ゾーイはまだ赤ん坊の弟とともに遺された。だが悲しみに暮れる間もなく、驚くべき事実が明らかになる。ゾーイは、さるギリシアの大富豪の正統な孫だったのだ。突如として見ず知らずの老富豪の遺産相続人となった彼女は、一躍、時の人となり、自宅は大勢のマスコミに囲まれた。そんなときゾーイを訪ねてきたハンサムなギリシア人実業家アントン・パリスは、ゾーイの祖父の後継者とされる人物だという。まさか弟を奪いに来たの…?ゾーイが問いを口にするより早く、アントンはマスコミの前で彼女に熱く口づけると、弟もろとも、さらうように自家用ジェットで飛び立った。
病院のベッドで昏睡状態から目覚めたジェニーは、医師や看護師から“イザベラ”と呼ばれて困惑する。ジェニーは友人イザベラと車に同乗し、事故に遭った。どうやら警察は、不幸にも亡くなった友人とジェニーを取り違えてしまったらしい。するとそこへ、イザベラのいとこを名乗る、イタリア大財閥の御曹司ダンテが現れた。余命僅かな祖父に会ってほしいという。耐えきれなくなったジェニーは人違いだと告白するが、ダンテは顔色一つ変えず、冷淡にこう言い放った。「刑務所に入りたくなければ、イザベラとして一緒に来るんだ」。
妹夫婦が事故で亡くなったと聞き、フローラはオランダに向かった。遺された9カ月になる幼い姪は、今やただ一人の肉親だった。当然引き取り、大切に育てていこうと心に決めていた彼女は、思いがけない人物に養育権を主張されて面食らう。世界的な鉄鋼王アンヘロ・ファン・ザールー妹の夫の実兄は、嫌悪の表情もありありと浮かべて、フローラに言い放った。「君のような女に姪を任せるわけにはいかない」フローラの抗議の声はすぐさまキスでふさがれ、彼女は情熱の炎に炙られるまま、アンヘロにバージンを捧げてしまう。数週間後、フローラは自身の愚かさを呪った。妊娠していたのだ!
5カ月前に父が亡くなり、天涯孤独の身となったクレアは、知人を頼って湖水地方に移り住み、何とか乗馬学校に職を得た。ところが、生徒の伯父と揉めて、解雇の憂き目を見る。相手が悪かった。大地主で地元の誰もが敬う支配者サイモン。クレアは横暴なサイモンを恨んだものの、意外にも彼は解雇させるつもりなどなかったと詫びる。「無職なら、僕が面倒を見ている姪の養育係になってほしい」クレアは喜んで、さっそく住み込みで働き始めたが、彼のあまりの過干渉と姪への無理解に、怒りを抑えきれず……。
ある週末の夜、スージーのみすぼらしいフラットに、ゴージャスな男性が100本の薔薇を抱えてやってきた。「きみは僕のタイプじゃないが、どうしても一度抱きたい」彼の名はセルジオ・ブージ、世界的企業を率いる大富豪だ。セルジオとレストランで出会い、誘われたのは2週間前のこと。金目当ての女と決めつけられて傷つき、その夜はキスだけで別れた。けれど、あまりにも魅力的な彼に強引に求められては抵抗できず、“短期間の体だけの関係”をスージーは受け入れてしまう。二人の相性は申し分なかった。それでもいつか終わるはずの関係が、思いがけない事態を迎える。スージーが妊娠したのだ。セルジオがスージーの思いに応えてくれる日は来るのか?切ないラブストーリー。
男性の患者だけは絶対に引き受けないー理学療法士のリリーはそう心に誓ってきた。過去の悲しい経験のせいで男性恐怖症になってしまったのだ。だが経済的事情から、どうしても引き受けざるをえないことになる。患者は大富豪一族の次男、ラウル・カッファレッリ。事故で大怪我を負ったラウルは自暴自棄で古城に引きこもり、他人をよせつけないのだという。案の定、治療のために訪れたリリーにも侮辱的な言葉を投げ、不遜な態度をみせるラウルだったが、なぜか追い返しはしなかった。閉ざされていた彼の心に、かすかな変化が起きようとしていた…。