著者 : 栗本薫
音楽の神に愛された美青年、矢代俊一。恵まれた家庭、一流大学。その全てを捨て彼が選んだのは、場末のキャバレー。本物の音楽を知りたい、その欲求に突き動かされ演奏する俊一に、暴力団幹部の滝川は魅了される。俊一の音楽がいかに好きかを告白する滝川に、次第に絆されていく俊一。しかし仲間の裏切りにより、俊一は滝川の組からその身を狙われることに。殺せばいいと強がる俊一に、葛藤する滝川は…。青春ハードボイルド。
東京。スターを夢見、全てを失ったこの街で、年を経てもなお美しい男、森田透はたゆたうように生きている。愛憎を越え結ばれたトップスターの今西良は、罪を償うために塀の中だ。彼を想いつつも、長年の理解者でパトロンの島津正彦とともに暮らす。作家として名を馳せる彼との関係は、「愛」ではなく「情」の筈だった。しかし島津がガンに侵され、愛欲の日々が始まって…。時代を切り拓いた天才作家の、遺作にして衝撃の傑作。
九州の秘境にある集落を、大手テレビ局のドキュメンタリー番組で取材することになった森カオル。なぜか伊集院大介は同行を申し出る。鬼の子孫を自称し伝説と因習に生きる住民と、やらせ体質の強いテレビスタッフが対立するうち次々と犠牲者が。不可解な連続殺人の謎に伊集院大介が挑む、探偵小説の傑作!
名門女子高校の近くでよく見かける赤シャツの不審者が、体育館内の密室で絞殺死体になって発見された。推理するのは、退屈な日常に倦む十七歳の森カオルと、赴任してきたばかりの教育実習生、伊集院大介、二十四歳。名物コンビはじめての事件に挑む。著者自身の高校生活が投影されたシリーズ初期の傑作!
魔界さえも潰え、人間界も壊滅した。再会を果たした七つの者たちの眼下に広がる巨大な海こそ生命の根源・ユゴスだった。“混沌”の海に埋没していく多一郎。やがて突き上げる歓喜を潜め、胎動の如きうねりが訪れる。繰り返されてきた永遠の輪廻、終わりなき生命と死の輪舞。七つの者たちは“永劫”という途方もない時空間の彼方へと旅立った。大河小説の第20弾、第二部「地球聖戦編」がここに完結する!
白い日輪と黒い日輪ー。雄介と多一郎の核融合により生じた次元嵐の前に壊滅寸前の打撃を受け、人界と魔界の絆は絶たれてしまう。時間流、次元流の摂理は無と化した。だが、無を超え、断絶された時空に、戦士たちのかすかな息吹があった。やがて彼らは虐殺された少年・涼に出会い、忘れ去られた愛が、神が、彼らの前に出現するー。大河小説の第19弾。第二部「地球聖戦編」の第8作目。
すべての記憶を喪くし、覚醒と混濁する意識の狭間にいた安西雄介は、奇妙な既視感を抱きながら、幾つもの次元を転移していく…。「オレハダレダ」太古の神州にスサの王という名の自我を見い出し、悟入直前のシッダルーダの血肉となる。時空連続体を彷徨しながら、彼は今や、大いなる宇宙に紡がれた歴史の傍観者であり、自ら真理そのものであった。大河小説の第18弾。第二部「地球聖戦編」の第7作目。
突如、人界と魔界が遊離し始め、神州の「会」ポイントも虚無に堕ちる。魔都破里も地殻変動に呑まれ朽ちていった。一方、仇敵クトゥルーの本殿ルルイエへ到達した安西と加賀は、変わり果てた多一郎に衝撃を受ける。だが、加賀の弁舌に感応した多一郎と安西は、自らの姿を超エネルギー体へと変貌させていく。大河小説の第17弾。第二部「地球聖戦編」の第6作目。
異界の地平に七人の勇士が見た“暗黒都市”。魔都・破里の中枢、魔界王宮は次元回廊への扉だった。加賀四郎ら七人の勇士たちは、クトゥルー次元に幽閉された北斗多一郎と美少女セイヤを救出すべく、ダークテリトリーの異空を飛び続ける。そこに広がるのは延々と果てることのないゼリーの海、虚無の時空間ー。そして、彼らが異界の地平に目撃したのは、“暗黒都市”という名のカオスそのものだった。大河小説の第16弾。第二部「地球聖戦編」の第5作目。
地球防衛軍が目指すは魔の都・破里…。見る影もなく破壊され尽くした神州日本で、強力なダーク・パワーさえもが侵略できなかった魔界・不二の宮から、安西雄介、伊吹風太ら7名の勇士たちがついに反撃を開始した。敵の首魁クトゥルーの手から、一刻も早く、異次元の虜囚となった、みづちの若長・北斗多一郎を救出しなければならない。最後の力をふりしぼって闘いに挑む彼らを待ちうけているものは…。大河小説の第15弾。第二部「地球聖戦編」の第4作目。
月面WWSA基地を占拠され、その最後通牒に示された刻まで僅か数時間。さらに地球防衛軍の母体“アーク”までもが反乱軍により席捲されつつあった。地球存亡の鍵を握る尖兵となるべき、みづちの若長・多一郎も既に侵略者の手に堕ちていた。安西、そして加賀率いる地球軍は、巨大なエネルギー変動に乗じて、錯綜する時空の結界をつき抜け反撃に打ち出る。安西は“アーク”奪回へ。加賀は先住者次元・高千穂の宮へ。しかし、そこには…。大河小説の第14弾。第二部「地球聖戦編」の第3作目。
太平洋を南下する潜水空母アークを目がけて一本のミサイルが飛来した。それは、月面に基地を構え地球の覇権を狙うWWSA『ネオ・テラ帝国』からの威嚇だった。クトゥルーらの“ダーク・パワー”と、WWSAの両者からの脅威に挟まれた「地球軍」は隷属か反攻かの決断を迫られる。結成以来の危機にさらされるなか、知将・加賀四郎は“敵は月面にあり”と、宇宙への進軍の決断を下し、北斗多一郎たちを月面攻撃特別コマンドとして、急遽送り込むのだが…。
198X年、クトゥルーの侵略によって壊滅してしまった地球=人類文明。その年より1年の月日が流れた。営々と築きあげた人類文明は一朝の内に灰に帰り、回復不能な被害を受け、もはや、人類による地球支配の歴史は終わったかに見えた。だが、太平洋上の潜水空母アーク号には加賀四郎率いる「地球軍」が、豪州には「人類戦線」が、そして月面にはWWSAが、人類最後の砦として残っていたのだ…。大河小説の第12弾。そして、第二部「地球聖戦編」堂々の開幕。