著者 : 栗本薫
ついにグインは最強と謳われる闘技士ガンダルと対面した。紅鶴城の大広間に現われた伝説の戦士は、全身を鎧で固めた巨大な要塞のような男であった。ガンダルの執拗な挑発に辟易して広間を抜け出したグインは、城の一隅で、若くして死んだタイスの公子の幽霊と出会い、彼に導かれるように、地下水路への入口を発見する。そこでグインが見たものは、地下に広がる広大無辺な空間であり、そこに君臨するマーロールの姿であった。
剣闘士として闘技会に出場しはじめたグインは、たちまちのうちに頭角を現わし、対戦相手を次々と倒してゆく。そしてタイスの四剣士のひとり、青のドーカスを打ち破る。試合後、グインをたずねてきたドーカスの真摯な態度に心を動かされ、グインは自分が本当にケイロニアの豹頭王であることを明かす。さらに残りの四剣士、赤のガドス、黒のゴン・ゾーをも打ち倒したグインに、白のマーロールが放つ怪しの技が襲いかかる。
快楽の都タイスに入ったグイン一行は、タイス伯爵タイ・ソンの居城にて、伯爵自らの検分を受ける。伯爵はグインの筋肉に触れ、さらにその擬闘を見て、たいそう感嘆する。その夜、グインとスイランは歓楽街ロイチョイに出かけ、タイスが、妖艶に微笑む享楽の顔とその裏で牙を剥く凶悪な闇の顔を併せ持つ都であることを知る。翌朝グインたちは、伯爵から、来たる水神祭りの武闘大会に備え、剣闘士として戦うことを命じられる。
グインの正体を自分の兄貴分だと思い込んだ傭兵、スイランが無理やり仲間に加わってきた。グイン一行は、グインの目立つ姿を利用して、ケイロニアの豹頭王グインを演じる旅芸人の一座になりすますという、大胆な策に出た。ところがこの、世間の目を欺くはずの目くらましがたいへんな評判を呼び、近隣に一座の名が知れ渡り、ついに快楽と悪徳の都として名高いタイスの支配者、タイ・ソン伯爵からお呼びがかかってしまう。
ボルボロス街道を南下したグイン一行は、得体の知れぬたたずまいを見せるコングラス城の門をくぐった。城主のコングラス伯爵から最上級のもてなしを受け、久しぶりにやすらぎの夜を過ごすグインたち。その夜グインは、城主から、失われた記憶をとりもどしてさしあげようとの申し出を受けるが断る。翌日、城を辞し、ふたたび隠密行動を開始したグイン一行が、タルドの宿にひそんでいるところに見知らぬ傭兵がたずねてきた。
ゴーラではカメロンが、イシュトヴァーンの男児が発見されたとの報を受け、今後の策に頭を悩ませていた。パロではリンダが、女王として一人気丈に政務に取り組むかたわら、レムスと久々に姉弟の再会を果たしていた。ケイロニアでは、グインの身柄を守護できなかった探索隊の失敗を受け、アキレウス帝とハゾスが、グインの行方に思いを馳せていた。いっぽう追手を逃れたグイン一行は、奇妙な城にたどりついていたのだった。
アストリアスの手から奪還したフロリーだが、光団の中に潜んでいたゴーラの密偵によって再び、さらに今度はスーティとマリウスまで拉致されてしまう。追跡を開始したグインとリギアは、ボルボロス砦で、三人を連れた密偵の一味を発見、大立ち回りのすえ、彼らを閉じこめていた馬車もろとも仲間を取りもどし、轟然と走り去るのだった。その頃、中原の各国では、グインが行方をくらましたことによるさまざまな問題が…。
グインは、ガウシュ村を襲った「光の騎士団」の跡を追い、彼らの狙いがフロリー母子であることを知る。騎士団を率いる「風の騎士」こそ、誰あろう、元モンゴールの赤騎士隊長アストリアスであり、アムネリスの無念を晴らす人質として、イシュトヴァーンの隠し子を捜索していたのだ。憎しみに燃えるアストリアスは村に火をかけ、いったんはフロリーを捕えるのだが、グインは、リギアの助けを得て、すぐさまフロリーを奪還する。
マリウスと旅を続けるグインは、銀色の仮面の騎士に率いられた謎めいた騎士団に遭遇した。これをやり過ごしたふたりは、湖畔の一軒家にたどりつき、ローラという女性のもてなしを受ける。このローラこそ、かつてのアムネリスの侍女フロリーであり、その息子のスーティはすなわち、イシュトヴァーンの子にほかならなかった。世間の目を避けて暮らすふたりだが、その運命の歯車は今や軋みをあげて大きく回ろうとしていた。
グインをイシュタールへ連れ去ろうとするイシュトヴァーンの思惑と裏腹に、グインを操ろうとするグラチウスの暗黒魔道と、それを阻もうとするイェライシャの力が妖魔の森で角逐する。マリウスの歌を聞いたグインは、イシュトヴァーンの手を逃れるが、数知れぬ死霊たちの執拗な襲撃によって、ルードの森に力つきようとしていた。絶体絶命のグインを救い出したのは、漆黒の衣に身を包んだ、黒太子スカール、その人だった。
星船から転移されたグインは、ノスフェラスにいた。記憶を失い、セム族の村にいた。この情報は、グラチウスによって、パロに伝えられ、居合わせたハゾスから、ケイロニアへと知らせられる。ケイロニアは総力をあげてグインの捜索に乗りだす。いっぽうグインは、そんな中原の動きを知るはずもなかったが、記憶のないまま、なにかに突き動かされるかのように、ドードーの制止を振り切り、ひたすら中原を目指して歩んでいた。
突然、人界と魔界が遊離し始めた。神州の「会」ポイントは全て虚無へ落ち、魔都パリも地殻変動に呑まれていった。一方、クトゥルーの本殿ルルイエへと到達した加賀と安西。そこには、みづちの若長・北斗多一郎の変わり果てた姿があった。加賀の弁舌に感応し悟入した多一郎と安西は、自らの姿を超エネルギー体へと変貌させていく。時間と空間が目くるめく奔流に巻き込まれ、世界は再び大いなる滅裂へと向けて胎動しはじめるのだった…壮大なるSF伝奇シリーズ、待望の第17弾。
死人の軍勢を追撃するイシュトヴァーンのゴーラ軍は、竜頭の怪物兵に遭遇し、思わぬ闘いになる。いっぽうグインが率いる軍勢は、ゴーラ軍の近くをかすめるように進軍し、妖気漂う街、シュクへ到着。グインはレムスと会見し、ヤンダル・ゾッグはナリスの命を盾にグインを恫喝しようとする。しかしグインは逆に、ヤンダルの魔宮、クリスタル・パレスへ入ることを希望する。彼の帰還を阻むであろう魔性の存在を知りながら。
「舞台女優連続殺人事件」の犯人の目星をつけた伊集院大介は、「ゾディアック」に狙われる身となった竜崎晶を事務所に匿い、自らは横浜へ向かう。そこで浮かび上がった「ケイ」をめぐる意外な事実-。さらにその夜、六本木のゲイバーで大介を待ち受けていたものは!?ついに、シリーズ最大のクライマックスへ。
一夜にしてスターの座についた竜崎晶を祝う伊集院大介のもとに、ニューヨーク市警の捜査官が訪れた。彼らとの情報交換や、ダンサー・速水喜代志の証言から明らかになる牧村レオナのすさんだ行状-。大介は大胆な推理を展開し始める。そして、晶の周辺では、またも新たな殺人事件が!ついに新たな敵の名が明らかに!?裏切り者は粛清された。次なる生贄にも魔の手が!快調!著者初の月刊書下ろし。
ヴァンパイア事件に揺れる東京に現れた、もうひとりの殺人狂。謎のバンド「ゾディアック」のライブに潜入を試みる滝沢稔…。そして、伊集院大介が最も恐れる竜崎晶の潜在能力とは?人々の不安と期待のなか、晶の初舞台は、ついにその幕を開ける-。