著者 : 桜瀬彩香
最後の舞踏会で復讐を遂げた公爵令嬢ディア。傍で見届けたノインに連れられファーシタルを後にした彼女は、物語の森にある屋敷で新たな生活を始めていた。人ならざる者の常識を学び、少しでもノインに相応しい存在になろうとするディア。一方、ノインもディアを伴侶とする未来のため、準備を進める。その一環としてファーシタルの民と因縁がある夏至祭の王のもとを訪れることになるのだが…?『長い夜の国と最後の舞踏会』の短編小説の他、リベルフィリアを舞台とする『来訪者』を収録。
国を挙げての祝祭イブメリアが近づき、みなが浮き足立つウィームの冬。ネアは、契約した魔物の王・ディノと共に新たな任務を言い渡される。それは失踪した「送り火」の捜索だった。儀式の火を司る彼がいなければ、祝祭は延期され季節が後退してしまうという。ずっと楽しみにしていたネアは、一大事とばかりに湖岸の町へ出張に!ところが、行き先はディノの遠い過去にまつわる場所でー?「困ったご主人様だね、何だって私があげるのに」「失くしたと知ったら、とても嫌な思いをすると思ったんです」。ディノとのかけがえのない日常を守るため、歌乞いの少女と万象の麻物が冬の祝祭の奪回に挑む、異種婚姻ファンタジー第2巻!
リベルフィリアから一夜明け、舞踏会の日。家族を奪った者達への復讐だけを抱えて生きてきたディアは、リベルフィリアで大好きな精霊ノインと過ごした時間を思い、確かな幸せを感じていた。ノインも優しく寄り添い、ディアのために食事やドレスを用意してくれる。久しぶりに温かな時間を過ごし、お腹も心も満たされるディア。しかし、そんな時間の中でもディアの復讐の意志は揺るがず、最後の舞踏会に向かう準備を整えていくー。そうして会場へ歩み始めるディアを迎えにきたのは、元婚約者の第一王子リカルドだった。彼はディアが家族の死の真相を知ったことに気付いていたようで、ディアの家族を殺す命令を下したのは自分だと告白する。静かなる復讐劇の先でディアとノイン、そして長い夜の国が迎える結末とはー?
幼い頃に家族を殺され、王宮に保護された公爵令嬢ディアは、第一王子の婚約者となるが、彼が他に愛する女性を得たことで婚約は解消。円満な婚約解消に見えたが、ディアは知っていた。数日後の舞踏会で自分が殺されること、家族を殺したのが王家だということも。全てを奪われてきたディアは、せめて最後に復讐しようと決意する。そんな彼女をずっと見ていた美しく残忍な精霊ノイン。ひとりぼっちなふたりは最後の舞踏会へ向け、歩み始めるー。
人と人ならざる者達が共に暮らすウィーム領。雪深く魔術の潤沢なその地に迷い込んだ少女・ネアは託宣を受けたー命を削り契約した魔物から恩恵を得る才職「歌乞い」として。静かに暮らしたいネアは、低位の相手を求めて唱歌の儀式を行う。だが、夜の森より現れたのは、美しい魔物の王・ディノだった!「君の願いは全て叶えようーどんな残酷なことも」とても手に負えない彼を「薬の魔物」と偽り、ネアは転職活動を始めるが、結んだ契約は解消できない。おまけに、目の前の万象を司る王から「君に叱られるの大好き」とやけに懐かれてしまい…?祝祭美食な日常の中、時に切なく、時の大惨事(?)が紡がれる異類婚姻ファンタジー!大幅加筆&書き下ろし番外編5本&巻末に「薬の魔物の特別図鑑」収録!