著者 : 梓林太郎
東京・亀有で探偵事務所を開く小仏太郎。かつての警視庁の同僚・安間善行から受けた依頼は、調布市にある謎の家の主・宇堂忠次の正体を調べてほしいというものだった。“予修寮”と呼ばれるその家は「駆け込み寺」と呼ばれ、いじめで学校をやめた少年少女数人が住んでいるらしい。部下の下地に聞き込みをさせたところ、寮で家庭教師を務める女は北海道・旭川の出身だという。そんななか、その旭川に近い大雪山の麓にある層雲峡で、ホテル従業員の内村京子が殺される事件が発生。しかも彼女はかつて予修寮に勤務した過去があったことも判明。事件と謎の家とのかかわりは…!?
姉の結婚式に出席するため、安曇野に帰省した相沢啓一郎が刺殺された!刑事・道原伝吉は、啓一郎の交際相手が山野辺由夏であることを突き止める。アリバイは確認されたが、彼女は3年前に発生した「探偵事務所長殺人事件」の関係者だった。そんななか、ふたつの事件の試料に一致する物が見つかってー。相沢はなぜ、誰に殺されたのか?由夏と事件との関わりは!?被害者の足跡を辿って、道原伝吉は伊良湖岬へ向かった!
旅行作家・茶屋次郎の友人糸島が北アルプスで遭難死した。山に詳しい仕事仲間金堀に連れて行かれたのだが、糸島のみが死んでしまったという。茶屋はその死に疑問を抱き、登ったルートを確認。やはり故意に道を誤り、遭難させたのではという確信を得た。金堀の身辺を探るべく、鬼怒川へと赴いた茶屋。しかしその地で、遭難死に同じ疑問を持った女性が川に転落死し、殺人容疑が茶屋へと向けられたーその後も続く惨劇、女の魔性に翻弄される茶屋は真相に辿り着けるのか。世界遺産・日光の魅力も描いた旅情ミステリー。
奈良吉野から紀伊水道へと注ぐ大河・紀の川の取材にやってきた茶屋次郎。知人の諸越真名美を訪ねるが、再会の直前、彼女は勤務先のホテルで何者かに刺殺される。二ヶ月前に郷里に戻ったばかりの真名美に一体何が?調査に乗り出した茶屋の前に、白昼のデパートで自殺した、ある女性が浮かび上がる。不可解な事件を繋ぐ鍵とは?かつてない難事件に茶屋が挑む!
日本橋の老舗デパートに勤める純礼が突然消息を絶った。携わった陶器展示即売会で、作陶家能満院石舟から秘書に誘われた直後のことだった。純礼の両親から捜索を依頼された作家探偵茶屋次郎は、能満院の窯場がある山梨県石和温泉を訪ねるが、近くの笛吹川畔で身元不明の若い女性の遺体を発見、重要参考人にされてしまう。能満院の行方は杳としてつかめず、有名人がこぞって推薦したその陶器には贋作疑惑が浮上。事件は混迷を深めていく…。純礼はどこに?能満院の正体は?快調名川シリーズ第十五弾。
「週に五日、黒部峡谷を往復しています」宇奈月に住む須笑子という女性からの手紙に興味を抱いた旅行作家・茶屋次郎は現地を訪ねた。そこで、須笑子の恋人が黒部峡谷で行方不明となっていることを聞く。知り合った便利屋の父娘と捜索を始めた矢先、谷底の絶壁で宙づりになった恋人の遺体を発見。自殺か他殺か?登山経験のない彼がなぜそんな場所で?茶屋は調査を開始するが、今度は須笑子が失踪した。彼女の身に何が!?立山黒部を舞台に描く旅情ミステリーの傑作。
父の認知を得られず母子家庭で育った青年にとって、女子大生との同棲は夢のような毎日だった。しかし、ひょんなことから浮上した恋人の援助交際疑惑。悲劇の発端は真相を追及する青年に、恋人が偶然放った一言だった。逆上して恋人を絞殺した青年は、何かに引き寄せられるように駒ヶ岳に向かうが、そこには更なる悲劇が待ち受けていた。母でさえ「鬼畜」と呼ぶ男の遺伝子に翻弄される青年。その悲しみの魂が求めた安住の地とは。
西表の密林で発見の死体は失踪中の男?私立探偵・岩波をリーダーとする探検グループのメンバー真那津が、阪神大震災で母を亡くした少女・花をつれて神戸から帰京した。花の父親は妻子を捨てて石垣島へ愛人と出奔したらしい。沖縄へ飛んだ岩波だが、父親は三年前から再び失踪していた。彼の足取りを追って西表島へ渡った岩波たちは、島の密林で男の白骨死体を発見。遺体は花の父親なのか?彼の失踪の裏には何が…。
豊科署の刑事・道原伝吉もひいきにしている信州・安曇野のそば店「波奈屋」の社長梅村尚子が、豊科署を訪れた。支配人の沢尻が、従業員の給料と、造園業者などに支払うため銀行からおろしてきた約三千万円とともに昨夜から行方不明だという。持ち逃げするような人間ではないようだが、金庫の番号は知らないはずだという。ところが、牛山刑事が一週間前に、乗鞍岳で沢尻の姿を見かけていた。二人連れだったようだ。事件は複雑に絡み合って、連続殺人へ。
北アルプス西穂高で警察官が連続して転落死した。共に山に関してはベテランだった。その偶然に不審を感じた捜査一課の白鳥刑事は死んだ警察官の山仲間だった白バイ隊の月村を強引に巻き込んで捜査を始めた。目撃者もいない冬山の事件だけに捜査は難航したが、やがてひとりのアルピニストが線上に浮かんだ。だが、男には鉄壁のアリバイが…。本格山岳ミステリー。
屏風岩東壁基部で坂東真司の遭難遺体が発見された。彼は恋人の毛利晶子と屏風ノ頭で待合せすることになっていたのだが、行方が判らなかったのだ。遺体は頭部だけが割れていた。直登ルートをたどって落下した場合、最低二度は壁に衝突する。五体は満足でありえない。では壁の下の方で転落したのだろうか…。惨劇の裏に潜む温泉旅館の女将の失踪事件。
バレンタインデーの夜、長野県諏訪市の十九歳の新聞配達員・青島蕗子が行方不明になった。蕗子は販売店に住みこみながら、信州大学へ通う学生であった。連絡を受けた諏訪署の刑事・道原伝吉は、いやな予感がした。果して、蕗子は絞殺死体となって発見された。しかも、その後、蕗子の死体発見場所から、わずか150メートルの畑の中に、若い男性の刺殺死体が埋められていた。2つの殺人事件の捜査の過程で、繰り返し哀切なメロディーが聞こえてくるのだった。その曲、幼女の歌う童謡「砂山」と事件の関連は…。
道原は、部下の伏見刑事の耳に口を近づけた。「テントの中で死んでいた男が、このナイフでザイルを切ったとしたら、どうだろう?」「殺人ですか?」伏見は屏風岩を振り仰いだ。北アルプスの屏風岩で二人の登山者が死亡した。しかし、その死因は不可解で謎に満ちていた。事故か、殺人か。現場に急行した刑事たちがそこに見たものは。(「白銀の暗黒」)など、道原伝吉の名推理が冴える六つの事件簿。
北アルプス常念岳の山中で、丸めた新聞紙だけを詰めたザックを持って死亡した登山者が発見された。荷物の中身が古新聞だけという前代未聞のケースに疑問を持った豊科署の名刑事・道原伝吉は、男が持っていた手書きの地図を手掛りに雪解けを待って捜査を開始。その地図に明示された印の地点から、死後数年を経た白骨遺体と空のジュラルミン製トランクが出てきたことから事件は意外な方向に展開を見せ始めた。
警視庁捜査一課の荒竹十三は、大学の後輩村松から、山仲間の野中恒利が北アルプス・槍ヶ岳から北穂高岳への縦走ルートで遭難したことを知らされた。折から、現場に向かう準備にあわただしい留守宅に、“野中は帰宅したか”という不審な電話がはいる。数日後、今度は野中の友人の他殺体が横尾谷で発見されたのだ。二つの事件を結ぶものは?荒竹・白鳥の名物コンビの捜査が始った。長篇山岳ミステリー。
八ケ岳の岩場から、絞殺された若い女が投げ込まれた。彼害者は東京のOL西岡万沙子。事件を追う諏訪署の道原刑事は、同じころ万沙子の親友の塩谷涼子が、木曽川で水死体で発見されたことを突き止めた。しかもその前年、涼子の弟勝史までが木曽御岳で遭難死していたのだ。3つの事件に関連はないのか。だが3人につながる人物には、鉄壁のアリバイがあった。長篇山岳ミステリー。