著者 : 森村誠一
始まりは新宿発、松本方面行きの最終列車、急行「アルプス号」だった。浮気旅行の相手延子に袖にされた赤阪は、乗り合わせた美女美那子と旅先で一夜をともにする。だが、帰京すると、延子は殺害されており、美那子も何者かに殺される。一方、暴力団黒幕の暗殺に失敗したヒットマン北浦は、車中で隣り合った弘子と上高地へ逃亡し…。二組の男女の背後で蠢く驚きの殺意とは?
長野県高瀬湖畔の工事現場から、人間の白骨と犬の骨が発見された。白骨は三俣蓮華山荘管理人で、五年前に山荘の売上金とともに失踪した島岡太一であることがわかる。一方、警視庁捜査一課の棟居刑事は、自分と見知らぬ青年が一緒に写った一枚の古い登山写真と、白骨の発見現場が一致することに気付く。奇妙な偶然が、雪の北アルプスを舞台に、人間の憎悪を暴いていくー。国民的人気シリーズ、待望の新装版。
中学生の重光ゆかりは、元暴力団組長の九鬼直正からアドバイスを受け、いじめっ子らに立ち向かう。数日後、そのうちの一人が丹沢山中で死体となって見つかった。いじめの報復を疑われたゆかりのため、九鬼は真犯人を探す。一方、政財界の黒幕が殺された事件の真相を追う棟居刑事。二つの事件は、次第にひとつに繋がってー。
戦場カメラマンの大城は、海外取材中に妻子を惨殺されて生きる気力を失い熱海に隠棲した。ある日、助けを求めてきた少女、千種を保護した縁で、大城は金沢に本部のある救命組織ライフリンクまで彼女を送り届けることになる。ライフリンクの活動に共感した大城はしばらく金沢に滞在するが、台風一過の翌朝、能登金剛ヤセの断崖下の海に自殺防止ボランティアの樽井が死体で浮いているのが発見される。一方、警視庁捜査一課の棟居は、捜査本部が縮小した後も大城の妻子が殺害された事件が気になっていた…。
名君の道を歩む影将軍を護衛する伊賀忍者の末裔・流英次郎とその一統に、安寧は許されない。将軍の城外微行の途上、大道芸人が客に首を斬り落とされる。大店が襲われ、大川に骸が浮かび、凄腕の剣客が跳梁する。浮かび上がってきたのは石川五右衛門の影。徳川泰平の世に、かの大泥棒の幻影がなぜ幕府の喉元に!?
赤坂の高級クラブで日本最大の組織暴力団・三矢組組長が狙撃された。三矢組は直ちに狙撃犯への報復を企て、棟居刑事は一連の事件を追うことになった。一方、多摩川河川敷で1人の青年の死体が発見される。それはかつて棟居が偶然知り合った人物だった。棟居の執念の捜査によって、2つの事件は思わぬ接点を持ち、隠された悲しい真実が露わにされるー。国民的人気シリーズ第3弾!「棟居刑事の占術」併録。
図らずも三十二万石山羽藩の後嗣となった鹿之介は、隣藩の婿・立石家良に家臣を殺された。義妹の女忍・るいを従え、その仇討ちに乗り出すが、家良のもとには諸藩から恐れられる凄腕の剣客陣が集結。山羽藩の改易を目論む大老・榊意忠が家良の後ろ盾となっていた。凄惨を極める攻防の結末とは?予断を許さぬサバイバル・ドラマ、待望の第三弾!
漆原院長夫妻は、浪人中の息子の性欲処理のため、女性を誘拐する。だが、誘拐した松葉尚子を誤って殺害。スキャンダルを恐れて隠蔽をはかるが、なぜか死体が消えてしまう。一方、尚子の兄・潤一の妻が、多摩川で殺害される。刑事たちは、小さな糸口から二つの事件の繋がりを見つけ真相に迫っていくが…。性、金銭、名誉で心を満たすエリート。大都会の人間たちの激しい欲望と滑稽さを描くミステリー。
報道カメラマンの長井は、突然東北に旅立ち、東日本大震災に巻き込まれた妻の行方を捜していた。長井は妻が入信していた新興宗教「まほろば教」が、被災地の人々に熱狂的に支持されている様子を目の当たりにする。一方、棟居・牛尾両刑事は、原発職員の相次ぐ不審死を調査するうち、「まほろば教」の暗部に肉薄する。やがて長井が目にした、妻の失踪に隠された衝撃の真実とは!?震災の現実を正面から描いた森村文学の集大成。
公園の片隅で発見されたホームレスの死体。身元不明の被害者を洗う警視庁捜査一課の棟居は、八年前の迷宮入り強盗殺人事件との関連に気づく。二つの事件を繋ぐ糸を手繰るうちに、棟居はかつて北アルプスで出会った、失踪した夫を捜す美しい人妻と再会する。
警視庁捜査一課刑事・山科正人には誰にも話せない秘密がある。休暇先で強盗グループに遭遇した女性を助け、一度きりの秘めた関係を持ったのだ。帰京して殺人事件の捜査本部に加わった山科は新宿署の牛尾刑事とペアを組む。捜査が進展し、自身の秘密と事件との関わりに気づき、「悪の本性」に目覚めたことを自覚した山科。彼を疑い始め苦悩する牛尾ー。迫真の傑作推理!
新婚旅行先で、妻が暴力団員にレイプされた。夫は、縛り上げられて妻を救う一指もあげられず、妻は夫に卑怯者のレッテルを貼る。歳月と共に深まる夫婦の間の溝を埋め立てようとしてきた夫は、重い病で余命いくばくもなしと知る。わずかな余生を、捨て身の覚悟をもって最強の暴力団に挑む。不可能を可能にする、ただ一人の息つまる凄絶な復讐戦。妻よ、俺を見ていろ!サスペンスフル、リベンジ。
天下泰平の江戸に、神隠しが横行。伊賀の末裔・流英次郎が拉致から救った女は阿芙蓉の中毒に苦しんでいた。品川宿では女郎が異人の子を孕み、禁断の麻薬は大奥に忍び込む。海商と組み、密貿易や人身売買に手を染めるのは、あろうことか御三家か。幕府の屋台骨を揺るがす絶望的事態に英次郎一統が立ち向かう!
人間の坩堝・新宿を通過はできても根は下ろせないー松本の骨董商と歌舞伎町スナックのママが同時に消えた。失職と空ろな家庭を補う唯一のオアシスとしてスナックに通う蒔田は、骨董商の娘と牛尾刑事と合流して二人の失踪を追求する。二つの事件は交わり、やがて驚くべき真相が明らかになる。一度限りの人生を殺した邪悪に立ち向かう運命のミステリー。
1940年、不穏な世界情勢の下、外務書記生の富士森繭は敵性領シンガポールへと赴任する。世界に誇る文化財を保持する植物園に感動した繭は、そこで出逢った華僑のテオと惹かれ合うが、やがて太平洋戦争が勃発。戦火に晒された植物園の文化財を守るため、繭はテオとともに立ち上がり、交戦中の人々が国境や民族を超えて結束する。激しい戦乱の最中、人類が積み重ねた文化を守り抜いた人々の、永遠に語り継ぐべき愛と戦いの物語。
原子力科学の若き第一人者である新婚の夫・雨村を乗せた旅客機と自衛隊機が北アルプス上空で衝突した。乗客全員の生存が絶望視されるが雨村の遺体は見つからず、生存を信じる雨村の妻・久美子は捜索に乗り出す。やがて研究成果に群がる政財界の陰謀と、妖しい女の影が浮かび上がりー。最先端技術を巡る恐るべき“腐蝕の構造”の正体とは!?日本推理作家協会賞を受賞した、巨悪の癒着と戦う愛の行方を描く壮絶なロマン。
「浅野内匠頭、吉良上野介に刃傷」の報は、青天の霹靂のような衝撃となって江戸城を駆け抜けた。しかし、実態の江戸城中・松の廊下の刃傷事件の背後には、冷酷無比な罠が張り巡らされておりーー。
主君への忠義に殉ずる、吉良上野介家臣団。浅野方と対峙するその一人ひとりにも、胸に期する想いがあった。力と力、頭脳と頭脳の駆け引きが繰り広げられ、いよいよ対決の日が迫るーー。