著者 : 森村誠一
岩手県の山村で起きた住人の大量殺人事件。唯一生き残った少女・頼子は事件のショックから、「青い洋服を着た男の人」を見たこと以外の記憶を失っていた。捜査は難航するが、頼子を引き取った遠縁の男・味沢が被害者遺族に接近するなど、不審な動きを見せ始める。警察の容疑を集めながら、やがて味沢がたどり着く驚天動地の真相とはー。人の奥底に眠る“野性”を呼び覚ます、“証明”シリーズ中最大スケールの社会派推理巨編。
東京の巨大ホテルの社長が堅牢な密室で刺殺された。捜査線上に浮かんだのは、事件の夜に刑事の平賀とベッドをともにしていた美しき社長秘書。状況証拠は秘書と事件の関係を示していたが、間もなく彼女も福岡で死体となって見つかった。なぜ彼女は社長殺しを計画し、東京から遠く離れた福岡で殺されたのか。愛した女性の真実を求め、平賀の執念の捜査が始まるー。鮮やかなアリバイ崩しが光る、江戸川乱歩賞受賞の傑作。文庫書き下ろし短編収録!
新人作家の永井順一は、やり手の雑誌記者だった妻・由理を殺され失意のどん底に。妻と生前に約束していた韓国への旅に出かけた順一は老斤里で、人生の岐路に立つ四人の仲間に出会う。彼らは思いもよらない角度から事件に光をあててくれた。妻の死は、彼女が追っていた医大教授の黒い噂に繋がるのか?さらに、朝鮮半島の歴史的事件にもー。人間の苦悩と再生を描く傑作!
戦雲急な時代、詩人を志しながら海軍兵学校へと進み世界最強の零戦搭乗員になった降旗。日米開戦は同じ女性を愛したロバートと降旗を敵味方に分けた。戦争は若者の恋も青春の夢も容赦なく叩きつぶす。彼らは何のために生き、何のために死んだのか。ミッドウェイ海戦に命を賭けた防人たちを描く鎮魂の大作。
全国を制覇した暴力団が、町全体を組の「首都」にする大計画に着手した。標的となった山間の町は平穏な日常を失ってゆくが、危機に陥るその町を終の住処と定めた7人の住民がいた。戦わずして逃げた過去の自分を悔やむ元軍人や元泥棒たちは、己の存在を証明するため、暴力団に立ち向かう。それぞれの特殊技能を駆使して死中に活を求める彼らに、勝ち目はあるのかー。人生の復活を賭けた戦いを描く、傑作長編サスペンス。
江戸の街で頻発する神隠し。拉致されかけた娘を偶然助けた流英次郎は、彼女を手がかりに神隠しの正体に迫る。浮上した幕府の大屋台に巣くう恐るべき白蟻は、麻薬と人身売買により、幕政の根幹たる鎖国令を食い荒らしている。巨大な白蟻の巣に近づきすぎた流一統に、過去最強の海外からの刺客たちがぞくぞく襲いかかる!
雑誌記者だった妻・由理を殺された作家の永井順一は、妻が行きたがっていた韓国・老斤里へ旅し、四人の男女と出会う。銀座のクラブのホステス、経営していたコンビニを潰した自殺防止ボランティア、退職刑事、訳あって会社をやめた若いOL-新しい仲間たちは、思いもよらない縁で、由理の事件につながっていた!由理の死には、彼女が追っていた医大教授の黒い噂が関わっているのか!?さらに事件の根は、朝鮮半島へとつながっていたー。永井たち老斤里の同窓生は、由理の死の真相を暴き、再生への道を踏み出せるのか!?
過去を捨て、警備員として暮らす桐生。迷い猫が縁で、飼い主の少女・翔子と出合う。親しみ以上の気持ちを抱き始めた頃、彼女がボーガンで襲撃される。桐生は彼女を庇護し、ある殺人事件に関わっていることを突き止めるが…。秘密を抱えた少女との絆を守る為、男は封印した過去を掘り出し、圧倒的な巨悪に向かい合う。息づまる攻防の中に一筋の純愛を貫く男に、未来はほほえむか。傑作長編ミステリー。
元国際工作人の作家・武富の主宰する小説教室が合宿中の無人島に、記憶喪失の美女しぐれが漂着する。彼女を追う闇組織、そして国際的暗殺集団に、武富率いる受講生は知恵を絞り懐の窮鳥を護る果敢な闘いを展開する。凄絶な攻防の中に受講生は次第に秘めた野性に目覚めていく。一方、棟居刑事はしぐれの素性に国際的な秘密を嗅ぎ取り捜査の網を絞る。文明の利器の奴隷となり自らを失いつつある時代に人間性の回復はできるのか。
タクシードライバーの蛭間正は深夜、新宿で若い女を乗せた。だが、何者かに胸を刺されていた彼女は「佐賀へ連れて行って」と言い遺し、車内で絶命する。遺族の懇願もあり、いつしか蛭間は死者を乗せて佐賀までの1200kmを疾走することにー。正体不明の追跡者が現れるなか、蛭間は困難をくぐり抜けられるのか。豪雨、落石、そして謎の追跡者。数々の困難がドライバーを襲う。戦慄のサスペンス。
梅雨明け迫る豪雨の夜、都内で轢き逃げと女性の絞殺事件が発生した。手がかりが少なく暗礁に乗り上げた捜査陣に追い打ちをかけたのは、近くの新興宗教の元本部施設で絞殺死体が発見されたとの情報だったー。3つの事件を結ぶ見えない糸を手繰るほどに、人間の欲望のすべてを包む巨大な器・東京の構造悪が浮かび上がる。悪の狩人・棟居刑事は、いかにして「悪の器」を踏まえて笑う犯人を追い詰めるのか?傑作長編。
新宿で発生した殺人現場に到着した牛尾刑事は、思わず息を呑んだ。被害者はかつて彗星のごとく現れ、劇的に消えた歌手・蓼科由里。以前歌舞伎町で、上京したての彼女を危難から救ったことがあったのだ。彼女のネックチェーンが別件の殺人被害者の物と知り牛尾は執念の捜査を進めるが、浮上した容疑者は連続不審死を…。様々な人間模様に彩られた雑食の街・新宿の光と影。野望の狩人の悲劇を浮き彫りにした傑作長編ミステリ。
根本景子は一人息子・圭一の結婚式当日、その妻となった佳枝に対する殺意を固めた。景子に花束を贈呈する時ニヤリと笑った佳枝の顔に、自分の“同族”と感じたからだ。その半生で息子を守りたい一心から“完全犯罪”による殺人を繰り返した姑と、息子を食おうとする嫁。最後まで“神”になれなかった鬼子母の行く末を描く表題作を含む傑作六編の凄絶なる競演。
棟居刑事は出張先の四国霊場・遍路宿で元区役所吏員の野田と相部屋になる。彼は現役時代に世話をした行路病者やホームレスの遺書を、遺族に届ける旅をしていた。その日所持していた遺書の主は、新宿中央公園で就眠中を襲われ死亡したホームレスだった。娘のために買い、身につけていたネックレスが死亡時に紛失していたという。そのネックレスが、東京で起きたコンビニ強盗事件の防犯カメラに映っていた(表題作)。切ない余韻が美しい叙情推理の傑作全九篇。
文芸誌の新人賞を受賞した香山は舞い上がった。早速会社を辞め作家へと転身するが、第2作すら発表できず苦悩の日々を送っていた。ある日、路上で自作小説を売る男・青空から作品を買う。文芸誌に発表したその作品は圧倒的反響を呼び、一躍人気作家になった香山は青空の作品を買い占めた。事情を知った青空は徐々に要求を増してゆくが…。心の闇と不条理が生む7つの完全犯罪を警視庁捜査一課棟居刑事が解く、傑作短編集。
元特攻隊員の木島を中心に、戦友だった七人は、無人島での戦闘訓練を終え、ついに暴力団大門組と黒幕政治家に戦いを挑んだ。手始めに大門組幹部を拉致し、数々の悪行や新聞記者殺害事件の真相を自白させ、さらには、内部抗争までも誘発させる。大門組も武力で反撃に出るが、それこそ木島たちが望んでいたことだった。老いに屈せず、自分の可能性を信じて闘う男たちの雄姿を描いた著者入魂の物語、ここに完結。
権威ある小説新人賞を受賞した川名純子は、専業主婦から一転、華やかな人気作家に。しかし、受賞作は、ある男性から「あなたの名前で世に出して」と密かに託されたものだった。そして、その男性が山で転落死した後、一億円の保険金の受取人に純子が指定されていたことを知る。さらに、受賞作に描かれた殺人をなぞるような事件が発覚…。フィクションから真実を追う刑事と狡智に長けた犯人の息づまる攻防。
福永幸一は帰宅途中、美貌の女性・藤宮さやを暴漢から救った。衰弱していたさやを福永は自宅で看護する。やがてひかれあい、結ばれるふたり。だが翌朝、さやは福永の許から消えた。童謡詩人・金子みすゞの詩集から切り取った一片の詩と置き手紙を残してー。数年後、金子みすゞの本を持っていた少女の母親が殺される。本の中には福永の名前が書かれた紙片が…。警視庁捜査一課・棟居弘一良は再び人間の宿業と対峙する。
資産家の木部信夫が突然失踪、直後に彼が所有する6億円もの不動産が売買されたことが判明した。だが、契約には不審な点は見あたらない。木部はなぜ、姿を消したのか。真相を追う新宿署の牛尾は、無関係に思えたタクシー強盗殺人から、解決の糸口をつかむ。だがその後、関係者が次々と殺人や轢き逃げに巻き込まれ、事件は混迷を極めていく…。人生の路上で交錯する悲劇を描いたヒューマン・ミステリー。