著者 : 橋本紡
人気作家が「少女」をキーワードに紡いだ短編9本を収録したアンソロジー。少女の微妙な心情や確かな成長が感じられることはもちろん、各作家の個性も楽しむことができる贅沢な1冊。(解説/大森望)
デザイン事務所で働くわたしは上京して数年、流されるまま生きてきた。そんな単調な日々のなかで、ある年下デザイナーの存在がふと気になりだす。-不器用な生き方の二人が恋を始めるのに必要なのは、今この瞬間に交わすキスだった。(表題作)友達、恋人、家族…様々なシチュエーションのキス。そこにある温かくて切ないつながりを、繊細な筆致ですくいとった五編。
『チボー家の人々』に託されたラブレター 里香の病気は長い余命を許すものではない。だから僕は彼女に僕の生まれ育った町を見ておいて欲しい。怒涛の青春小説、感動の完結編。
主治医・夏目吾郎の明かされる過去 裕一と里香の恋愛を応援したり邪魔したり、不可解な言動が続く主治医・夏目には、一番大切な人を仕事の犠牲にしてしまった過去が?
学校へ行きたいーー彼女の夢をかなえたい 病院暮らしの里香に、悪友たちの協力で一日だけ高校生活を体験させるべく奔走する裕一。ライトノベルの歴史を変えた傑作、第二巻。
高野楓(たかの・かえで)はやる気のない中学校教師。熱血教師が次々に心を病んで辞めていく教育の現場で、自分は常に適当に仕事をしてきたからこそ生き残れたのだ、という自覚がある。恋愛経験がなくもないが、なんとなく独り身できた。しかし最近、ひょんなことから、年下の彼氏を居候させている。センスがよく料理上手な彼との日常はたのしいが、困ったことがひとつ。この彼は、ちょくちょく姿をくらませてしまうのだ。野崎先生は楓の先輩教師で、熱血なことが鼻につくが、なにかと頼られてしまう。この先生に問題児・市田君の面倒をみてほしいと頼まれ、いやいやながら引き受ける。市田君は、図抜けた卓球の才能があり、卓球部員なのだが、全くやる気がなく、卓球台の下で本を読んでいるというのだ。楓は、自分の管轄である社会科資料室の整理を市田君に頼む。市田君は分類と整理といったことが無類に好きらしく、本当は誰からも必要とされていない作業に嬉嬉として励む。恋愛不能、発達障害といった現代的問題をふわりと包み込み、見事な大人のファンタジーとして仕上げた傑作長篇。
進学校に通う陸には本当の友がいない。校内模試の順位に一喜一憂する日々のなか、幼なじみの嘉人を思い出す。中学の頃、乱暴な他校生から守ってくれた奴。札つきのワルだった。潔癖で繊細な少年たちの交流がひかる傑作「大富橋」ほか、水の都・深川で昨日と少し違う今日を生きる彼と彼女を描く秀作六篇。
なぜか“教主さま”だという女の子を預かることになった。彩乃ちゃんといって、一見ごく普通の、小学五年生の女の子だーー。花屋に勤める二十代の智佳子、進路に悩む高校三年生の徹平、東京から地方に越してきた小学五年生の佳奈が、彩乃ちゃんとの出会いで知った人生の奇跡。前に進むすべてのひとに捧げる物語。 なぜか“教主さま”だという女の子を預かることになった。彩乃(あやの)ちゃんといって、一見ごく普通の、小学五年生の女の子だーー。花屋に勤める二十代の智佳子(ちかこ)、進路に悩む高校三年生の徹平(てっぺい)、東京から地方に越してきた小学五年生の佳奈(かな)が、彩乃ちゃんとの出会いで知った人生の奇跡。前に進むすべてのひとに捧げる物語。(講談社文庫) 第一話 夜散歩 第二話 石階段 第三話 夏花火
広告会社に勤めるOL、友香。父と和解はできるのか『清洲橋』、銀座でならしたバーテンダー、耕平。深川で自分の店を持つが『亥之堀橋』、進学校の秀才と不良少年の再会『大富橋』、バツイチの佳子は英会話教室の生徒との逢瀬をやめられない『八幡橋』、新居探しで足を棒にする美穂と哲也のカップル『まつぼっくり橋』、世田谷から来た千恵と、祖父エンジとの交流の物語『永代橋』。水の都・深川を舞台に描く六つの人生。
学校から一歩足を踏み出せば、そこには日常のささやかな謎や冒険が待ち受けているーー。読者と選んだ好評アンソロジーシリーズ。放課後編には、浅田次郎、石田衣良、橋本紡、星新一、宮部みゆきの短編を収録。
素朴で真面目で礼儀正しくて。一見ふつうの5年生だけど彩乃ちゃんには、見えている。周りの人のちょっとした未来。うまくいかない相手と仲良くする方法。幸運をよぶ少女と迷える人たちのひと夏のできごと。注目の著者が描く優しいファンタジック・ストーリー。
あれほど憧れ続けた兄貴の背中を追いかけて、18歳の夏休み、僕は何もかも放りだして街を出た。兄貴の残した年代物のキャデラックに免許証。抜けるような夏空。ミニスカートにタンクトップの謎の美女・杏子ちゃんが、旅の相棒。個性あふれるヒッチハイカーたちと一瞬の出会いを繰り返しながら、僕は、ひたすら走り続ける!バカだからこそ、突き進める。真面目だからこそ、迷わない。-究極の青春小説。
大好きな人が死んじゃうよりも、世の中にはもっと悲しいことがある…。つらくって一睡も出来なくても、朝は来るし。涙が涸れるほど泣いてても、やっぱりお腹は空くもので。立ち直りたいなんて思ってなくても、時間はいつでも意地悪で、過ぎ去った日々を物語に変えてしまうー。玄関でしか眠れないわたしと、おバカな僕と、優しすぎる彼を繋ぐ「死」という現実。深い慟哭の後に訪れる、静かな愛と赦しの物語。