著者 : 江戸川乱歩
江戸川乱歩のいわくつきの未完作「悪霊」 デビュー百年を越え、いま明かされる、犯人・蔵の密室・謎の記号の正体。 そして、なぜ本作が、未完となったのかーー 乱歩の中絶作を、芦辺拓が書き継ぎ完結させる! そのうえ、物語は更なる仕掛けへ……。 1923年(大正12年)に「二銭銅貨」でデビューし、探偵小説という最先端の文学を日本の風土と言語空間に着地させた江戸川乱歩。満を持して1933年(昭和8年)に鳴り物入りで連載スタートした「悪霊」は、これまでの彼の作品と同様、傑作となるはずだった。 謎めいた犯罪記録の手紙を著者らしき人物が手に入れ、そこで語られるのは、美しき未亡人が不可思議な血痕をまとった凄惨な遺体となって蔵の2階で発見された密室殺人、現場で見つかった不可解な記号、怪しげな人物ばかりの降霊会の集い、そして新たに「又一人美しい人が死ぬ」という予告……。 期待満載で幕を開けたこの作品はしかし、連載3回ののち2度の休載を挟み、乱歩の「作者としての無力を告白」したお手上げ宣言で途絶した。 本書は、『大鞠家殺人事件』で日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞を受賞した芦辺拓が、乱歩がぶちあげた謎を全て解き明かすと同時に、なぜ「悪霊」が未完になったかをも構築する超弩級ミステリである。 目次 INTRODUCTION 乱歩殺人事件ーー「悪霊」ふたたび 合作者の片割れによるあとがきーーあるいは好事家のためのノート
ミステリだけではないホラーだけではない。江戸川乱歩の魅力が凝縮された珠玉の18篇。全作品けんごによる解説付き!
毒華繚乱。 快楽・犯罪・不貞 ──過去や秘密を打ち明ける登場人物たちの語り口に思わず耳を傾けてしまう作品群。 常に冷徹な局外者であった乱歩がもつ、無倫理の思想と、 背徳のユートピア願望というイデオロギー。 二癈人 覆面の舞踏者 お勢登場 人間椅子 目羅博士の不思議な犯罪 芋虫 断崖 防空壕 吸血鬼 旅順海戦館 声の恐怖 性慾の犯罪性 張ホテルのこと 瞬きする首 残虐への郷愁 鏡怪談 フランケン奇談 国家ごっこ 【解説】疑念と戦争と暗黒のユートピア
思想としての本格指向と、 資質としての変格嗜好に引き裂かれる部分を持ちながらも、 双方を排斥しあうことなく交錯し蝕知させる作品群。 乱歩が覗く景色は、何かを明らかにするよりも 新たな迷宮や闇を増やし、 世界を甘美な恐怖の坩堝に突き落とす。 【収録作品】 赤い部屋 夢遊病者の死 白昼夢 百面相役者 毒草 火星の運河 人でなしの恋 木馬は廻る 押絵と旅する男 指 浅草趣味 映画の恐怖 墓場の恐怖 ある恐怖 群衆の中のロビンソン・クルーソー 人形 郷愁としてのグロテスク レンズ嗜好症 解説 嫌悪が描き出す甘美な世界 長山靖生 赤い部屋 夢遊病者の死 白昼夢 百面相役者 毒草 火星の運河 人でなしの恋 木馬は廻る 押絵と旅する男 指 浅草趣味 映画の恐怖 墓場の恐怖 ある恐怖 群衆の中のロビンソン・クルーソー 人形 郷愁としてのグロテスク レンズ嗜好症 解説 嫌悪が描き出す甘美な世界 長山靖生
私の膝の上には、いろいろな人が入りかわり立ちかわり、腰をおろしました。 作家である佳子に届いた1通の手紙。「奥様」と始まるその文章には、ある椅子職人の生活が綴られていた。 江戸川乱歩の『人間椅子』が、有名ゲームのキャラクターデザインなどで知られ、本シリーズでは夢野久作『死語の恋』、『瓶詰地獄』、泉鏡花『外科室』を担当する大人気イラストレーター・ホノジロトヲジによって描かれる。 名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
ボストンバッグを大事そうに抱く、挙動不審の男と会った河津三郎。 男を尾行し、怪しげなボストンバッグを巧みにすり代えた河津が見たものとは…! バッグを失ったと知った男は、上野公園内の五重の塔頂上で縊死をとげる…、 青年素人探偵の河津三郎が巻き込まれし奇妙な事件! =幻の作品『悪霊』を収録= 推理小説の専門誌『新青年』に1933年(昭和8年)11月号から翌年の1月号まで連載された。 乱歩が途中で創作意欲をなくし、2号続けて休載した後、4月号に読者への詫び状を書いた上で連載中止。 その後も執筆が再開されることはなく、乱歩の死によって永遠に未完の作品となった。
古くから娯楽の中心として発展してきた映画は推理小説と相性が抜群で、『第三の男』『オリエント急行殺人事件』『薔薇の名前』『犬神家の一族』『砂の器』など、ミステリー小説が原作の名画は枚挙にいとまがありません。本書はそんな映画の世界を題材に描かれた短編を集めたミステリー・アンソロジー。十二人の名手たちによる映像を超える傑作ドラマが開幕します!
大江白虹とその友人で新聞記者・折口幸吉が銀座で目撃した怪事は、 通行中の若い女に襲いかかる巨大な短剣の影であった。 イモムシを連想させる、緑色の衣に包まれた殺人鬼の謎!真相は二転三転!
H製糖株式会社取締役・川手庄太郎は差し出し人不明の脅迫状に悩まされていた。 川手氏とその娘たちの命をねらう不敵な復讐者、その正体とは? 川手氏の依頼を受け、素人探偵で法医学界の権威・宗像隆一郎博士が犯人究明に立ちあがるも、助手の木島が殺される。 さらに復讐鬼の悪魔の手は、娘たちへと伸びてゆき・・・。 かくて宗像博士を助けて、われらの名探偵・明智小五郎の登場となった!