著者 : 浅川純
出張途上、スーパーひたち3号の車中から忽然と姿を消した部長。失踪か、それとも何者かに拉致されたのか?しかもライバル企業の担当者まで消息を絶った。社内で起きた事件を担当する総務の「社立探偵」海老寺が難事件に挑む。ハイテク特急でしかありえないトリック、真犯人の予想外の動機…戦慄のミステリー。
出張、接待ゴルフ、アテンド、挙句に単身赴任…、今日も仕事仕事で忙しいカイシャインの皆様、ご家庭の危機管理は大丈夫ですか。熾烈なビジネス社会を生きるカイシャインとその家族を襲う不意の事件。ベストセラー『社内犯罪講座』の作者が贈る、ちょっぴり怖くてほろ苦いカイシャイン・ミステリー集。
「和を以て貴しと為す」を社是とする日出製作所。入社10年目の羽島民義は、本社から企業城下町・日出市へ転勤になった。そこで命じられた「企業ぐるみ選挙実行部隊長」。自らの出世を賭けて、羽島は悪戦苦闘、下請け工場28社の組織票をまとめていく。だが、投票前日、本社上層部が翻意、敵対陣営への鞍替えを指示された。カイシャ絶対主義に翻弄されるカイシャインの哀しい性を描く。
国際企業「浅田電気」で生じた「日本式経営」の軋み。それは、将来を嘱望される二人の管理職の相次ぐ変死が発端だった。急遽、筆頭専務に抜擢された吉本は、二人の死に会社上層部の異変を感じるが、今度は副社長の橋爪が…。会社の危機に直面し、「人事の神様」の異名をとる創業社長浅田が、断腸の思いで決断した「最終人事」とは?企業中枢部に働く人事の力学を通してカイシャを問う。
「刻苦勉励、切磋琢磨、率先垂範」がモットーの典型的な日本企業、吉平重機では「わが社本位主義」の軋みから「社内犯罪」が頻発していた。自らの出世の妨げとなる危機的局面において、骨の髄まで企業論理に染まった管理職たちは、いかに機略を巡らし危機を回避するのか?いかにもありそな彼らの滑稽な奮闘振りを、ミステリーの薬味をきかせて描く痛快カイシャイン小説。
夏のにぎやかさが去った9月、霧生湖の畔で若い女の死体が発見された。顔は鳥についばまれて無惨であった。派出所の警官である桐田は、湖の周辺に散在する別荘をあたったところ、事件前夜、銀行の保養所でオフラインパーティが開かれていたことを知る。パソコン通信の仲間が集まっていたのだ。その内の1人、「元姫」というハンドルネームの女が消えていた。死体が他殺か自殺か、「元姫」と同一人物かもわららぬまま、桐田の地道な捜査が始まったが…。大型新鋭が、智略の限りを尽して綿密に組み立てた書下し推理。
昼のニュース番組で報道された、親孝行な新聞配達少年が誘拐された。その放映元の東邦テレビに、身代金三千万円を要求する脅迫状が舞い込んだ。脅迫状で犯人は、現金受渡しについての詳細な指令を記すと共に、何と、事件の一部始終をビデオに撮影、東邦テレビが独占放映してもよい、と提案していた。犯人は新手の愉快犯なのか?それとも…。予想される高視聴率と引き換えに、社長の牛原は取引に応じることを決意。かくして始まった空前のドキュメンタリー番組「誘拐」の撮影、だが事件は意外な方向へ…。書下し長篇ミステリー。
地上40メートルにそびえる華麗な帆船レストランの屋上で、白骨死体が見つかった。わずか3日間で白骨化してしまったのだ。死体の身元は判明しそうだったが事件は二転三転!著者と犯人が仕掛けた大きな罠とは何か?奇抜なシチュエーションと緻密な密室トリック!推理ファン必読の大型新人デビュー快作。